バックナンバー: 2006年 9月 1日
トップ: 立件が難しい性的暴行事件
          被害者に手を差しのべる Sex Abuse Treatment Center

 * 加害者被害者共に日本人
     --- 却下された強姦事件
 * 「被害者のプライバシーは守る。 事件を闇に葬らないためにも告訴をしてほしい」 
      ---  マコーミック刑事
 * 被害者の駆け込み寺
     --- 性的虐待治療センター24時間体制のホットラインあり
 
ハワイは今
*ネイバーフッド・ボードの制度の見直しへ
*ハワイの七月の失業率3%に悪化
*ガス・キャップ法が続いていれば、ガソリン価格は安くなっていた?
*土地区画整備を万全に市議会が市長に要請
*ホノルルの一戸建て価格は全国で4番目
*予備選挙の登録有権者数は65万人 --- 投票率は40%弱?
*ワイキキのパレード1年間に39回だけ --- 地元市民、業者の要望を条例化
 
バックナンバー: 2006年 9月 1日
トップ: 立件が難しい性的暴行事件
    被害者に手を差しのべる Sex Abuse Treatment Center
 * 加害者被害者共に日本人
     --- 却下された強姦事件
 * 「被害者のプライバシーは守る。 事件を闇に葬らないためにも告訴をしてほしい」 
      ---  マコーミック刑事
 * 被害者の駆け込み寺
     --- 性的虐待治療センター24時間体制のホットラインあり
 
去る六月、日本人観光客女性への性的暴行罪が却下されたという報道があった。 被害者、加害者の両方が
日本人と言う事でなりゆきが注目された事件であったが、被害者がハワイに戻り証言することを拒否したため、
告訴は却下され、加害者は自由の身となった。 他の犯罪より被害者が心身共に大きな傷を負う性的暴行は、
この事件特有の公にしたくないという被害者心理が働き、立件は他の犯罪より難しい。 そして表沙汰になるこ
とが少ないことも加害者を増やす温床になる。
 
ハワイでは七人に一人の割りで何らかの性的暴行を受けた経験があるという。 若い女性だけが被害に遭うの
ではなく、被害者の六〇%は子供であることも許せない。 被害者年令は赤ちゃんから老女まで、また男も被害
者になることもあるというから、地域社会がもっと関心を持たなければならない。性的暴行事件に取り組む刑事
の声と、もし被害者となった場合はどこに助けを求めるのか。 緊急介入、そして心身の痛みを癒す「性的虐待
治療センター」のサービスをレポートする。
 
 * 加害者被害者共に日本人
     --- 却下された強姦事件
この性的暴行事件は昨年十二月十四日に起った。 空港で犯人逮捕、証拠もあることで、実刑に持っていける
事件だったが、被害者が告訴しなかったために事件は却下された。「我々にとって口惜しい結果に終わりました」
と、残念がるホノルル警察刑事事件課のグレッグ・マコーミック刑事に、事件の終始を聞いた。
 
同課では九人の刑事がオアフ島の性的暴行事件を担当している。一人の刑事が担当する事件は年間百件を
超え、全員で千件以上の事件を扱っているが、警察に届けられない数は、それ以上に多いと見られる。 この手
の犯罪は被害者の胸に閉められたまま解決されない例が多い。 これはまた、加害者が再び、犯行に及ぶ機会
を与えることとなる。
 
事件は女性二人が宿泊しているワイキキのホテルで起った。 日本から遊びに来ていた若い女性(十九才)二人
が、若い男性二人と知り合い、お茶を一緒にした後、意気投合したのだろう、場所を女性二人が宿泊しているホ
テルの部屋に移し、更にビールとテキーラを飲んだ。 女性二人は初めてテキーラを飲んだせいか酔い潰れてしま
い、気がついた時には男性二人の姿はなく強姦された跡があった。 自分達が男達を写した使い捨てカメラがなく
なっている事に気がつき、ホテルのごみ箱を探している時に、ホテルの保安員に見られ、旅行会社に連絡が行き
、そして警察に届けられ事件が発覚した。
 
女性二人は加害者のフルネームを知らなかったが、ゴローという名前の男が白いヴァンを運転し、もう一人の男、
タイゾーが十六日に日本へ帰る事を知っていた。 タイゾーという名前をてがかりに、警察は同日出発の乗客名簿
を調べタ イゾーの名前を全日空の乗客名簿から発見。 移民局の協力を得てタイゾーの写真を入手し、被害者
に見せた所、二人のうちの一人と証言した。
 
出発の朝、空港で張っていると、タイゾーを乗せたヴァンが到着した。 運転していたのはゴローであったため、二人
を同時に逮捕。 彼等の所持品の中から被害者の使い捨てカメラは発見できなかったが、被害者を強姦している
様子を撮影したゴローのデジタルカメラを見つけることが出来た。
 
ゴローこと、ミキ・ゴロー(二十五才)は米本土の大学を卒業後、ホノルルに 十一月から二月まで休暇で滞在、
友人のタイゾーこと、キリハラ・タイゾーは 四日間、ゴローを訪ねてハワイに来ていた。 十二月二十一日にオアフ
大陪審は、タイゾーに第二級性的暴行十の罪状、第三級性的暴行一つの罪状で、ゴローは第二級性的暴行
四つの罪状で告訴。 両者にそれぞれ二十五万ドルの保釈金が設定された。
 
両者共、巡回裁判所で無罪を主張、裁判は三月六日に設定された。 タイゾーは 二十五万ドルの保釈金が
用意できなかったために身柄はそのまま拘留されたが、 ゴローは保釈金を支払い、裁判には戻ってくると言って
日本に帰った。 二月二十八日の公聴会にはゴローが出頭しなかったため、法廷は三月十日の公聴会出頭を
命じた。 ところが三月十日に開かれた法廷公聴会にも出頭しなかったため、州判事は法廷侮辱罪で逮捕令
状を出し、二十五万ドルの保釈金を没収し、新たに保釈金五十万ドルを設定した。
 
六月初め、裁判開始のための陪審員選任を始める前、市検察局は、被害者二人が証言のためにホノルルに
戻る意志はなく、また、告訴する意志もないことを書いた被害者からの手紙を公表した。 これにより六月七日、
判事はこの事件の告訴を却下した。 しかし、タイゾーの告訴の差し戻しを禁じていないため、被害者の気持が
変われば再び告訴はできる。 しかし、弁護士は被害者の手紙の内容に対し、タイゾーが再び告訴されることは
ないだろうと見ている。 タイゾーの弁護士は、この事件に関しては、被害者が性行為に同意したという弁護をし
ている。
 
二人の加害者の性的暴行罪は却下されたが、二回も法廷出頭をしなかったゴローは逃亡者としてみなされ、
この件は審理継続中である。 しかし、第二級性的暴行罪は最高十年の実刑に処せられるのに比べ、法廷侮
辱罪は軽犯罪なので、日本からハワイに戻って来ないゴローは日本のどこかで告訴却下のニュースを聞き安堵
しているかもしれない。
 
告訴却下を聞いたタイゾーは、日本から裁判の傍聴に来ていた母親とガールフ レンドと抱き合って喜んでいたと
いうのだが、自分達のした事を反省し、被害者へ謝罪する言葉があったのだろうか。 検察局はいつか被害者が
証言のために戻ってくる事を期待し説得を続けるというが検察局に強制力はない。
 
 * 「被害者のプライバシーは守る。 事件を闇に葬らないためにも告訴をしてほしい」 
      ---  マコーミック刑事
「このケースは告訴しないために却下された典型的な例です。 逮捕しても被害者が告訴しないためにケースは
却下され、彼等は日本に戻りました。日本では彼等が話さない限り、何の問題にもならないでしょう。 そのうち、
加害者は犯罪を犯したという意識も薄れるでしょうね。
 
これは日本人同士の事件でしたが、我々は特にワイキキで何人かの人間が日本人をターゲットにし悪巧みを
企てている事を掴んでいます。 そういう人間は日本人が被害に遭っても何もしないことを知っている。 特に日
本へ帰ってしまうと裁判のためにわざわざ来ないことを知っています。 これらをまずストップさせるためには被害届
を出す事。 それでなければ我々は捜査もできないし犯人を逮捕し裁判にかけることもできません。
 
私達は日本人の女性の多くは被害届を出さないと見ています。このケースにしても、被害者が自分達のカメラを
ごみ箱周辺で探していたのを保管員に見られてことで発覚し逮捕に繋がったのですが、結局、ハワイに来て証言
をしなかったために事件は却下され、彼等を野放しにすることになるのです。
 
私達は被害者を責めているのではありません。 自分達が部屋に入れたのが悪かったなどという考えは持たない
で下さい。 性的暴行は犯罪です。 被害者が自分 を責める事はありません。 私達は、毎日、このようなケース
を見ていますから、被害者に話を聞く時も、批判めいた事やお説教をしません。 ただ、犯人を逮捕するために、
何が起ったかという事実を知りたいだけです。
 
日本人の方に知ってもらいたいのは、被害に遭っても被害者の名前が公表されることは一切なく捜査が行われ
るので、勇気を持って告発してほしい。 我々は被害者の傷ついた心を尊重していますから、テレビや新聞などで
被害者のプライバシーがわかる事は一切ありません。 被害届を出した後の被害者へのサポート体制は完備して
います。 医療手当て、妊娠、性病の有無などの検査や心のケアなど、英語がわからない人のためには通訳が
いるので心配はありません。
 
日本の家族に知られたくない時は、私達から家族に連絡をとることはありません。 ただ、被害者が十八才以下
の場合は、家族に知らせる義務があります。 日本人が巻き込まれる事件が多く発生するのは、やはりワイキキ
、アラモアナ、特にダイエー周辺です。 先月、日本人女性から、ダイエー近くのアパートのエレベーターで手を掴
まれたまま、部屋に連れ込まれそうになったというレポートがありました。 しかし、性的暴行事件の加害者はまっ
たく知らない人というより、近親者、知り合い、友達といった知り合いが多いことを知っておいて下 さい。
  
この場合は告訴するとなると被害者の気持がより複雑になるようです。 しかし、被害届を出す事で、被害者が
恐怖を感じるようなら、加害者が被害者に近付かないような手続きを取ることもできるし、逮捕をすれば拘置
所に入れる事もできます。 この間の事件でも、街で知り合って親しくなったから、部屋に呼んだのであって、部
屋に無断で侵入したわけではないのです。 友達の知り合いだから安心して部屋に入れた、車に乗せてもらって
暴行を受けたという例はいっぱいあります。
 
それと日本では慎重に行動している女性も、ハワイではリラックスさを感じ、 ハワイは安全と思っているところも
しばしば見られます。 ハワイは他の米本土の都市と比べ安全と思いますが、どこにいても悪い人がいることは
頭に入れておいてほしい。 これは日本にいてもハワイでも同じ事が言えると思います。 休暇でハワイにきて事
件に遭ったとします。警察にレポートを出し我々が犯人を逮捕した場合は、被害者が日本に帰った後に、加
害者がどんな人間だったかを法廷で証言するためにハワイに戻ってもらわなければなりません。 この場合、数
日間の滞在になりますが、州が旅費を負担しますので、費用の面は心配しないで下さい。
 
法廷で証言しても裁判にならない限り加害者と顔を合わすことはありません。 容疑者が容疑を認めれば、裁
判はありません。 しかし、容疑を否認すれば裁判になりますが、多くのケースは裁判まで行かないことは一般
にあまり知られていません。 裁判が開かれるまでには六か月から一年近くかかり、その間に検察官と容疑者
の弁護士との間で話し合いが行われます。 仮に被害者が拒否したのに、殴って押し倒しレイプしたとします。
これは性犯罪でも重い処罰を受けることになり、容疑者が重い処罰を避けるためにレイプのみを認めるとしま
す。  これを被害者が納得すれば裁判まで行かなくてレイプという罪で加害者は有罪となるという司法取引が
行われるからです。
 
しかし、加害者、被害者どちらかが法廷で争うという意志を見せれば、裁判と なり、両者が初めて法廷で顔
を合わすことになります。 ですから、被害届を出 したからといって、すぐ裁判になるということではないので
す。 この辺の事情 を皆さんに知ってもらいたいと願っています。 犯人が再び罪を起こさないため にも、被害
届を出してほしい。 性的暴行の加害者は告訴されなかったために、味をしめて再び同じ被害者を狙うこともあ
るし、違う人を狙う。 性的暴行は再犯が多いです。 被害届を出さないことは、被害者にとって解決になってい
ないと思うのです。
 
今回の事件が却下されましたが、無罪になったわけではありませんが、再び告訴されることは多分ないでしょう。
でも、私の心の中には、もしかしたら被害者の気持が変わるかも知れない。女性は一旦決断すると強くなるも
のです。 それを期待している部分もあります」。
 
 * 被害者の駆け込み寺
     --- 性的虐待治療センター24時間体制のホットラインあり
強盗、窃盗事件等ならすぐに警察に連絡するだろうが、性的暴行の被害に遭った場合の反応は異なってくる。
「被害者がまず考えるのは警察に連絡することです。しかし、レイプということから警察に届けることに戸惑いを
覚えるかもしれません。 そういう時に、私達の存在を知っていたら、警察に最初に届けな くても助けを求める事
ができるのです」と、性的虐待治療センター(The Sex Abuse Treatment Center, 以下SATCと称す)の存
在をより多くの人に知ってもらいたいとシンディ・シモミ・サイトウさんは望む。
 
サイトウさんは性的暴行を受けた後の被害者を助けるSATCの緊急介入プログラム部長である。 警察に届け
る届けないは後で考えてもよい。 とにかく緊急ホットライン524-7273に電話をすることをサイトウさんは強調す
る。 性的暴行の被害者というと、若い女性が多いと思われているが、被害者の幅は生後六か月の赤ちゃん
から九十才の高齢者まで、特に子供の被害者が半分以上を占める。
 
高齢者でもこんな例がある。 去る六月に三十年の懲役刑が言い渡されたモイリイリの男は、隣家に押し入り、
八十五才の老女を強姦した。 犯人には妻がおり老女とは近所付き合いをしていたが、妻にセックスを拒否され
て以来、襲う相手を物色していたのだ。 この男の性的暴行歴は五才から始まり、九八年にカウアイ島で六才の
少女を強姦し五年間服役した。 今回はこうした過去の犯罪歴を考慮 した上での厳罰であった。 しかし、犯人
が捕まっても老女が受けた心の傷は深 く、事件後、恐怖が去る事はなく精神不安定の日々を送っているという。
 
「多くの人が考える犯人像は、暗闇に潜んでいて突然女性を襲ったり、車に連れ込んだりして犯行に及ぶと思っ
ているでしょうが、まったく知らない人に被害を受けるより知った人に襲われるほうが多いのです。 観光客でも知
り合い親しくなってからという例が多いのです。 ローカルの多くの事件の犯人は顔見知り。だから、身体の傷より
心の傷が深いのです。
 
まったく知らない人に襲われるより、知った人に襲われたほうが警察に届けに くいです。 知らない人の場合は
自分が被害者の意識が強くなりますが、知り合いの場合は、犯人と自分の家族や回りとの付き合いを考え、
自分に非があると思い自分を責める。だから警察には言いたくない。 そうした被害者の支援を行っているのが
私達のサービスです。 私達は警察に届けるよう説得はしません。あくまで届け出は被害者がきめる亊です。
警察に届けた場合は、警察から私達にすぐに連絡が入り緊急担当カウンセラーが被害者と面会します。 警
察の仕事は犯人を見つける事ですが、私達の仕事は被害者を心身共に助ける事です」。
 
SATCはカピオラニメディカルセンターフォアウーメン&チルドレンの医療プロ グラムの一環として、三十年前に
設立、ホノルル市郡、州、連邦政府の資金と 民間企業の寄付で運営されている。 緊急センターはカピオラ
ニ病院内に、管理一般業務や被害者とのカウンセリングはダウンタウンのハーバーコート二十二階のオフィス
で行われている。
 
SATCのサービスは緊急介入プログラム、法律相談、カウンセリングの三つの部 門に分かれていて、被害を
受けた場合は、すぐに二十四時間体制のホットラインに連絡すること。 連絡を受けた緊急担当カウンセラ
ーは直ちにカピオラニ病院の緊急センターで被害者と会い、最初に治療と妊娠や性病検査、それに法的証
拠品の収集を行う。
 
「なぜ、すぐに連絡してほしいかというと、七十二時間以内に収集した精液、 唾液、血液等犯人の残存物は
証拠になるからです。 また被害にあった箇所の写 真撮影など、将来、訴訟を考えて証拠集めをしておきます。
ですから、入浴をしたり歯を磨いたりしないで、そのままの状態で来院するほうがより証拠が残 ります。 そのた
めに七十二時間以内という時間制限があるのです。 冷静に行動するのはとっても難しいです。 ですから私達
がすべてをサポートするのです。 そののち、冷静になって被害届を出す決定をするのは被害者次第です。 もし
出すのなら私達がお手伝いします。その時に収集した証拠が役に立つのです」。
 
ホットラインは日本語でも大丈夫なのだろうか。「最初だけは英語のわかる人に 頼んで下さい。 こちらが指示
した所に行かれる時には、通訳を用意しておきます。 外国人の場合、ビザ申請中で、暴行されたことがばれる
と取得がだめになるか心配し怖くて連絡してこない人がいます。 私達のサービスは厳重にプライバシーを守り、
あなたが通告をしてほしくない事は一切致しません。 もし、移民ステイタ スで法的手続きが必要な場合は、専
門の弁護士を紹介致します」。
 
ハワイでは七人に一人が何らかの強制的な性的虐待を受けた経験があるという。 しかし、五〇%以上が警察
に届けていない所に、この犯罪の複雑な事情がある。性的暴行の被害者は身体だけでなく心を傷つけられる。
ショックは何年間も続き極度の恐怖と孤立感にさいなまれ死さえ考えるという。
 
SATCが昨年扱ったケースの実態は次の通り。
■ 緊急、カウンセリング、医療法律サービスを受けた被害者数六百三十五人(前年からの継続は除く)。
■ 被害者の性別・女性五百七十五人/男性五十八人。年令は十一か月〜八十五才。
   男性被害者の平均年令は十・一才。 女性被害者の平均年令は十八・九才。 SATCが扱ったケースの
    四七・六%が十七才以下、十才以下は二五・五%に当る。
■ SATCに来た被害者の四六・九%が警察に被害届を提出している。
■ 加害者は顔見知りが八九%。 十才以下の被害者では八七%、十八才以上では七〇%が加害者を
    知っている。
■ 性的暴行が行われた場所は、一八・九%が被害者宅、一二・八%が加害者宅。 十二才以下の二四%
    は被害者宅、二一%は加害者宅。 地域で一番多いのはワイキキ、次いでダウンタウン、ワイアナエと続く。
 
「この数字でもわかるように、被害者の六〇%は未成年です。 その多くは家族や親戚、隣人、知人など知って
いる人から性的暴行を受けている。 子供は受けた事を何年も言わないで、トラウマになることが多いです」。 オ
フィスを訪ねた時、待ち合い室には子供のプレイルームがありおもちゃやぬいぐるみが置いてあった。 子供が相
談に来た母親を待つためのルームかと思っていたら、そのルームで被害を受けた子供と遊びながらのセラピーを
行っている。
 
性的犯罪の加害者は配偶者、子供、英語を話せない移民など、相手が警察に届けな い自分に都合のよい
人を狙う。 SATCでは性的暴行の防止、子供や保護者への教育、 社会が性的暴行の被害者に対して偏見
を持たないための啓蒙教育を進めている。 狙 いやすい相手と言えば、旅行が終われば帰国する外国人観光
客も狙いやすい対象に なりえる。 前述の日本人女性も毒牙にかかったわけだが、日本人観光客や観光客の
お世話をする旅行会社にも、万一、こうした性的暴行事件が起った時には、SATCホ ットラインの存在を知って
いてほしい。
The Sex Abuse Treatment Center 24-Hour Hotline 電話 524-7273
 
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ハワイは今
   *ネイバーフッド・ボードの制度の見直しへ
   *ハワイの七月の失業率3%に悪化
   *ガス・キャップ法が続いていれば、ガソリン価格は安くなっていた?
   *土地区画整備を万全に市議会が市長に要請
   *ホノルルの一戸建て価格は全国で4番目
   *予備選挙の登録有権者数は65万人 --- 投票率は40%弱?
   *ワイキキのパレード1年間に39回だけ --- 地元市民、業者の要望を条例化
*ネイバーフッド・ボードの制度の見直しへ
オアフ島(ホノルル市郡)を三十二のコミュニティ(地区)に分けて、各々の市民の意見を行政が有効に処理
する民主主義社会の基本体制を構築する目的のネイバーフッド・ボード(NBS)制度が、充分に稼動していな
いと市監査官から大幅な機構修正が指摘された。
 
このシステムは一九七二年に、広いコミュニティから意見を聞いたり、条例の施行を世話人に説明し、世話人
が各々の地区で市民に適切に通達するという理想的な民主主義社会の構造として市憲章に添付された。 
世話人(三十二人)、NBSの機能を監督するコミッション(九人)と事務局(行政事務官とスタッフ)の三機能
が設置された。 各々が機能を果たせば三位一体となって、重要な役割を果たす制度として期待され た。 しか
し、どうも期待通りに機能していないとして、会計監査の手が入った。
 
レス・タナカ市監査官はNBSの二〇〇二年七月から〇五年六月の三年間 の業績を調査した結果、「NBSは
各々の分野の機能があいまいで、必要な権限の分割が不明瞭で何もできない(しない)制度である。 各々に
は権限が与えられていない分、責任もない。 会議もでたらめで規制も礼儀も全く無視されている。 世話人は
三十二人いるが、その約半数は空席となっている。 各々が何をしなければいけないかを再度、教育する必要
がある」と酷評している。
 
NBSの中枢となる事務局が市長の指名職になっており、今回二人のベテ ラン職員を解雇したことにより事務
局が未経験者だけで構成された形に なっている。 タナカ監査官は更に、「NBSの重要性を誰も理解していな
いのがそもそもの原因だ。 歴代の市長にその責任がある。理想的な民主 社会の構築に役立つ機能を充分
に稼動してこなかった行政責任者の責任は大きい。 ちゃんと稼動すれば、NBSは行政と市民の大きな絆にな
り、生きた政治を実現できる」とつけ加えている。
 
マンケ行政事務官は、「私は事務官に就任して、まだ半年です。NBSがフル稼働するように制度の再建に努
力したい」と語っているが、NBSが正規に稼動するかどうかはハネマン市長の手腕に絡んでくる。
 
*ハワイの七月の失業率3%に悪化
ハワイ州の七月の失業率が二年ぶりに三%の大台に増加した。 州労務局は、八月中旬に七月の失業率
(季節調整済み)を三%、失業者数を一万九千七百五十人と発表した。 労働市場(六十五万千九百五
十人)の中、就業者数は六十三万二千二百人、失業者数は一万九千七百五十人。 去年七月には就業
者数が六十一万七千五百五十人、失業者数は一万七千四百人だった。
 
前月に比べ、州政府関連が七百人、観光関連が七百人、更に七百人が州衛生局関連で解雇された。 今
回の失業率は教育関連で授業日が大幅に改変され、カウアイ島のウィルコックス病院の看護士ストによる職
場の減少が大きく数字に表れたと労務局では説明している。
 
全国失業率平均も七月に〇・二%ポイント増え四・八%になり、ハワイの平均失業率は全国平均より、一・
五%ポイント以下を五十二か月連続で更新。 島別はモロカイ島が一〇・六%から七%に改善した他、全ての
島で七月の失業率は増加した。
 
*ガス・キャップ法が続いていれば、ガソリン価格は安くなっていた?
ガソリン価格を統制するガス・キャップ法が五月五日に廃止されて、ハワイ州内のガソリン価格はレギュラー・
ガソリン一ガロンの価格は、三ドル以上となり、八月二十日現在、三ドル二十五セントがハワイの平均価格と
発表された。
 
三ドル以内の米本土価格に比べ、一〇%前後の高値で、ガス・キャップ法 がもし継続されていたら、八月二
十日のハワイの平均価格は二ドル九十一 セントで市販されていたはずと、英字紙ホノルル・アドバタイザーは
ガス・キャップ法下の方が消費者には良かったのではないかと報じている。
 
米本土の卸売価格にスライドさせ、卸売価格を統制する同法は、自由市場 の原理を規制する悪法とリングル
州知事も真向から反対し、先の州議会も、「予想していた価格低下には至らなかった」と判断し、廃案とした。
その当時の世論調査では六八%が廃案に賛成していた。
 
同法が施行された〇五年九月一日は米南部を襲ったハリケーン・カトリーナの三日後。 同ハリケーンは南部
の精油所を閉鎖させ、国内のガソリン価格が急高騰した。 ガス・キャップ法が導入されたが価格の低下には
至らなかった。 以後、中東での紛争が続き、イスラエルのレバノン侵略も起きて、石油価格は下がらなかった。
それでも米本土のガソリン価格は一ガロン三 ドルを超えることはなかった。
 
一方、ハワイ州のガソリン価格は三ドル二十五セントから三十セントを維持した。 レバノン侵略が終わった八
月には米本土の価格は急落した。 ハワイの価格は高値を維持した。もしガス・キャップ法が続いていればレギ
ュラーが一週間前と今の値では二十四セント、九セントと三十三セントも下がり、三ドル二十五セントの現行
価格は二ドル九十一〜九十二セントにな っていたと推測している。
 
*土地区画整備を万全に市議会が市長に要請
八月十八日、全米不動産協会は、第2四半期(四〜六月)の不動産価格の 動向を発表した。 それによると
中古一戸建て住宅の部で、ホノルル市の価 格は六十四万ドルで、全国四番目の高値を記録。 最も高い市
場はサンフラ ンシスコ、オークランド、フリモント都市圏の七十五万千九百ドル、次いでサンホゼ・サンタクララ都
市圏の七十四万八千二百ドル。 アナハイム、サンタアラ都市圏が第三位、第四位のホノルルに次いでサンディ
エゴ、ロサンゼルスのカリフォルニアの都市圏が上位を独占していた。
 
一方、中古コンドの部では、ホノルル都市圏の中間価格は三十万五千ドル で第七位。 同部でもサンフランシ
スコ、オークランド、フリモント都市圏が六十四万七千二百ドルで断トツ。 コンドの部ではホノルルより上位の六
都市圏にフロリダ州のマイアミ、サラトガ、それにペンシルバニア州のニワーク都市圏が入っている。 全米不動産
協会では第2四半期は販売戸数が軒並みに減少している。 二十八州(ホノルルを含む)で販売戸数は減り、 
第1四半期比で一八%減となっている。
 
*予備選挙の登録有権者数は65万人 --- 投票率は40%弱?
九月二十三日は、ハワイ州内で予備選挙の投票が行われる。 州選挙管理委員会は、予備選挙に投票する
有権者の登録を八月二十四日締切った。 同委員会では、今年は二年前より約二万四千人多い六十五万
人が予備投票に参加できると発表。 二年前までの投票率を推計すると、約四〇%が実際に投票すると見込
んでいる。 推計では約二十六万人が投票し、内三〇%の八万人近くは不在投票(内三〇%の二万四千人
はインターネット投票)。
 
年々低下する投票率に歯止めをかけたい同委員会では直接、混雑する投票所に出向かないで投票する便宜
を拡大してきた。 E投票も今後は更に増えると見込んでいるが、今年は大きな伸びはまだ期待できないと見てい
る。 その他、投票の前日までに投票を済ませることができるウォーク・イン・ ヴォート(簡易投票)もある。
 
この簡易投票は、近くのサテライト市役所や市庁舎で済ませることができる。 下記は選挙に関する日程。
  ◎九月十一日〜二十一日=予備選挙の簡易投票期間
  ◎九月十六日=不在投票用紙を郵送する最終日。 九月十六日の消印まで有効。
      不在投票 は市役所に持参できる(二十三日まで)
  ◎九月二十三日(土)=投票日
  ◎十月九日=本選挙の投票権を申請する最終日
  ◎十月二十四日〜十一月四日=簡易投票受付期間
  ◎十月三十一日=不在投票郵送締切日
  ◎十一月七日(火)=本選挙投票日
今年の秋の選挙は百二十議席に二百八十人余りが立候補している。 今年は州知事選があるが、リングル現
職知事に対抗する民主党候補者が弱く、投票率は更に低下するとみられている。
 
*ワイキキのパレード1年間に39回だけ --- 地元市民、業者の要望を条例化
ワイキキ地区のカラカウア・アベニューは各種パレードのために、去年五十八回、今年は六十回に渡り通行止め
となっている。 この地区の旬民は帰宅に支障を期し、タクシー、バス等は観光客搬送に不便を味わってきた。
 
ホノルル市議会では、イベントに対し、条例案を審議してきた。 八月十六日、同市議会は年間のイベントを
三十九回に制限するという法案を可決した。
  ◎過去十五年以上続いた有意義なパレード・イベントを十四回
  ◎抽選によるイベント十五回
  ◎抽選もれしたイベントを市長が指定=十回
 
上記のように計三十九回のイベント・パレードが来年一月一日から実施される。 地元選出のチャールス・デジュ
市議員は、「地元市民の苦情も理解できるが、表現の自由等を擁護する米国憲法第一修正条項も無視で
きない。 市議会はこれら両面から創案を進めてきたが、二年後にやっと成文化するところまで来た」と同法案成
立がいかに困難だったかを説明した。
 
今年六十回を予定しているワイキキのパレード、イベンドは予定通り行われる。 施行は来年一月一日から。 年
間三十九回という数字がどの程度市民に緩和策として受けとられるか、まだ、多いという声もある。 これに対し、
米国市民の民権擁護グループのACLUは、「現段階で米国憲法に照らし合わせてコメントはしない。 パレード開
催権が当たらない団体から必ず不満が出てくる」と、同条例の施行に不満グループが出てきた時には訴訟問題に
発展する可能性を残していると忠告している。
 
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