バックナンバー: 2006年 7月 15日
● トップ: 成立が厳しくなった『ハワイアン先住民公認法(アカカ法案)』
       今秋の国会上院議員選挙の結果で第2段階へ

 * 6年越しのアカカ法案
 * もしアカカ法案が成立したら...
 * コンセンサスが取れてないアカカ法案
 * ハワイアン支援策と自立権
● ハワイは今
 * 「アカカ法案」支持率低下 --- 上院否決後の最初の意識調査で
 * リングル知事再選確実? --- 民主党、知事選捨てる?
 * 国会上院議員選予選 --- 民主党の有力候補者が激戦展開
 * イチロー、ジアンビーを育てた「ハワイ・ウインターベースボール」 10月に再開
 * 5月の観光客、全体で微増 --- 日本人客数は10%減
● Made in Hawaii : メイド イン ハワイ <新シリーズ>
 第3回: バニラ製品
バックナンバー: 2006年 7月 15日
● トップ: 成立が厳しくなった『ハワイアン先住民公認法(アカカ法案)』
       今秋の国会上院議員選挙の結果で第2段階へ
ハワイ王国が転覆し、米合衆国に合併されたのは一八九三年のこと。 歴史的にみると正式にハワイの合衆国
合併は二年後となっており、その間ハワイ共和国が樹立されている。 ハワイアンの悲劇はその頃から始まったとい
う歴史家もいる。
 
ハワイの先住民として歴代の国王に仕えてきたハワイアンはその後、政治的にも社会的にも指導的なポジション
から遠ざかった。 一九五九年、ハワイがテリトリー(統治領)から州に昇格された時に、米国政府はハワイアンの
取り扱いを州政府に一任した。 その時の約束事の中 にハワイアンの生活、教育、福祉を管理する機関の新
設があった。
 
州政府はまずハワイアンの居住地区として連邦政府から移譲された土地の一部をハワイアン・ホームランドとして
指定した。 一九七八年に は国と約束したハワイアンを管轄するOHA(ハワイアン関連事務局)を 設置した。 そ
して王族が所有し、合併時に国に所轄権が移ったシーデ ット・ランド(譲渡地)から上がるリース料の一部をOHA
に引き渡すこ とも約束した。
 
その後、このリース料の分割率の協議が難航、その交渉は二〇〇二年までかかり、一時金として三億五千万
ドルを支払うことで合意した。 しか し、毎年の支払額については、まだ交渉がつづいている。 二〇〇〇年七月、
アカカ国会上院議員を中心とするハワイ選出国会議員が、ハワイアンの自立を認める〈ハワイアン先住民公認
法案〉を議会に提出した。 同法案はその年の夏、国会下院を通過したが、上院で審議時間が足りず廃案とな
った。
 
同法案はアカカ法案としてその後も何度か議会提出が試みられてきたが、審議に至っていない。今年六月上旬、
アカカ上議はひるむことなく、上院議会に審議を求めて上程した。 しかし、必要な六十票に四票足りない五十六
票にとどまり、その道が閉ざされた。
 
アカカ上議は次期国会では必ず成立させると意気込んでいるが、アカカ上議は秋の選挙で再選を果たさなければ
ならない。 エド・ケース国会下議 (民)が上議出馬を表明し、アカカ再選の可能性が低くなった。 七年間も続けた
アカカ法案とは何を意味するのか、検証してみた。
 
* 6年越しのアカカ法案
ダニエル・アカカ上議を中心としたハワイ国会議員らの小グループが『ハワイアン先住民公認法案』を創案し議会
に提出した。 創案理由は、「一八 九三年の米合衆国へのハワイ合併は不法行為である。 領土等の返還を求
める一部ハワイアンの主張を認める。 不法手段で領土を失ったハワイアンは生活保障等を国家から受ける権利
がある。 領土の一部の返還。 アメリカン ・インディアンの様に生活保障と自立権の確立」という内容だ。
 
同法案は二〇〇〇年七月下院に提出され、八月には下院を通過した。 しかし、上院上程に失敗し同案は振り
出しに戻った。 上院では同案が特定の人種を擁護する米国憲法に違反する、また自立権を与える事は国家を
意味し、国の中に国を作るという異例措置となると、反対した。 以後同法案は再三に亘り、否決した上院に提
出された。 いずれも小委員会を通過することなく、時を経た。法案は二年間の通常国会枠内で上下両院を通
過しなければ一からやり直しとなる。
 
二〇〇五年の通常国会に再提出されたアカカ法案は今度は必ず成立すると アカカ上議は意気込んだ。 多数党
の共和党院内総務(ビル・フリスト上議=テネシー州選出)から「来年の議会にかけよう」という約束を得たアカ カ
上議は成立を信じていた。 二〇〇五年三月に上院のインディアン小委員会を通過、七月十八日上院本会議上
程日も決まった。 アカカ上議は上院通過に強気だった。
 
上院上程四日前の七月十四日、司法省が同法案に対する意見書を発表した。 その中で、「同法案は国策の
基本精神をゆるがす由々しい事態を招きかねない内容だと指摘した。 ギャンブルも危険。 ハワイアンへの特
定援助も国策に逆行する。 それに自立政権樹立に非ハワイアンが参画しない事は憲法に違反する。 大統領
も反対している」と発表した。 法案上程は先送りされ た。
 
七月二十九日、フリスク院内総務(共)は、アカカ法案を終結法案として本会議へ上程するしかないと言明した。
ところが、同決議を行う会議は、ハリケーン・カトリーナの被害対策でまた延期。 その間にアカカ上議は司法省
の懸念を解消するため、修正案を発表した。 「ギャンブリングはしない。非ハワイアンを暫定政権に加える等」と
修正したが、人種問題については言及しなかった。 二〇〇六年五月四日、合衆国公民権委員会がアカカ法案
否決を議会に呼びかけた。 五月十一日、アカカ上議、フリスク院内総務が同法案を終結宣言、上院上程は間
近かと発表した。
 
六月七日、創案以来六年ぶりに上院本会議でアカカ法案が終結宣言法案として三時間に亘り審議され、翌八
日票決された。 結果は賛成五十六、反対四十一(欠席三)で否決された。終結宣言法案の可決には単純な
過半数ではなく、六十票の賛成票が必要だった。
 
アカカ上議は同法案の成立に引き続き努力すると言明したが、今年の議会では残された時間は十分ではない。
来年一月からの新しい二年間にかけるしかない。議会の手順として、同法案の修正法案を今議会終了までに
小委員会に提出し、継続審議法案に指定する方法がある。 イノウエ上議もアカカ上議とは別に同修正案提出
を考慮していると言う。 下院の方でもニール・アバクロンビー下議とエド・ケース下議が同手順を確立させたいと
動いている。
 
* もしアカカ法案が成立したら...
ハワイアンの土地が、不法手段で王国が転覆された時に失われた。 米国政府はその不法行為を反省し、ハ
ワイアンに謝罪し、アメリカン・インディアンの様に先住民族として容認し、自立権を与えるべきだと言うのが、『
ハワイアン先住民族容認法案』(通称アカカ法案)の主旨である。
 
法案反対者は「自立権を認めることは国の中に国を作ることになる」、「ハワイアンに自立権を与えれば、他の
人種も自立権を認めなければならない前例となる」と反論した。 そこでもしアカカ法案が成立すればどんなこと
になるのか、以下は英字紙・アドバタイザーを参考に紹介する。
 
Q:もし法案が成立したら、どんなことになっていたか。 
A:即座に何かが変わるという事はあり得ません。 法案にはまず、ハワイアン 先住民による自立機関が組織
されます。 その自立機関がどのような事が可能で、どのような事は出来ないかは、自立機関を含んで米国政
府、州政府が協議するとなっています。 現行法案では、ハワイアン以外の市民がどのように関わるのかは言及
していません。 また、協議内容は国会と州議会の承認が必要です。
 
Q:それでは最初に何が起るのですか。 
A:もし法案が成立すれば、法案反対者はまず同法の合憲性を問う訴訟を起こすでしょう。ハワイアン・オンリ
ーの投票による合憲性です。OHAの管財人や投票人がハワイアンだけと言うやり方は合衆国憲法に違反す
る例を示した、先のライスVSケースが引用されるでしょう。
 
Q:訴訟ケースもあるでしょうが自立機関新設への準備は進みますか。
A:自立機関新設への手順は進みます。 まず、成立百八十日以内に内務長官がハワイアン・コミッションを
指名します。 九人のコミッショナーは全員ハワイ アンの有識者で構成され、ハワイ先住民の台帳の作製にか
かります。 同コミッションはハワイアン居住台帳を二年以内に内務省に提出する。 同コミッションは自立機関
が設置されると自然消滅する。
 
Q:ハワイアン先住民としての資格は? 
A:十八歳以上の人で王国転覆の一八九三年一月一日以前に祖先がハワイに居住したハワイアン血族と
証明できる人。 また一九二一年のハワイアン・ホームステードに登記した人の子孫と証明出来る人。
 
Q:先住民台帳が完成すると、どうなりますか。
A:台帳に登記され た公認ハワイアン市民が自立機関の暫定政権評議会を樹立する。同評議会は公認
ハワイアン市民の選挙で選出する。 同評議会は自立政権下の政府の機能、市民の権利、義務等を制定
する。 同制定事項は内務長官に提出される。 同協議は制定事項が、国家、州政府評議会三者が合意
するまで何度も修正が出来る。
 
Q:同制定が終わると正式な自立新政権樹立となるのですか。 
A:全ての協議がまとまれば、公認ハワイアン市民は選挙で代表者を選出する。 公平な投票で代表者を選
び新政権が樹立される。 新政権は国と州の代表者間で協定の審議に入る。
 
Q:どの様な協定が審議、交渉されるのですか。 
A:まず領土の線引きが行われる。 その他、天然資源を含む新政権が所有する資産を決めます。 これらの
協定は国会と州議会にかけ、必要な法整備が行われます。
 
Q:インディアン・レザベーションは新政権の財源にギャンブリングを合法化さ せたが、ハワイアンの場合も同
様措置が予想されますが? 
A:はい。 確かにアカカ法案の初期の段階ではギャンブリングは禁止されていませんでした。 根回しのときに当
然、ギャンブリングの件が懸案事項として浮上してきました。 アカカ上議は少しでも反対議員を少なくする作戦
として、去年秋にギャンブリングを禁止する事項を自主的に法案に付け加えました。 新政権がギャ ンブリングを
公認する動きに出る時は、州及び国の承認が必要とされています。 その他、アカカ法案支持者獲得のために
いくつかの譲歩をしました。
● 新政権と国、州は互いに法廷争議を起こさない。
● 米国の軍隊及び軍政策に新政権は一切関与しない。
● 刑法、民法は州政府及び連邦政府の司法制度が全ての市民(ハワイアンを含む) を保護する。
 
Q:先住ハワイアンはアメリカン・インディアンと同様のプログラムを模索しているのですか。 
A:いいえ、ハワイアン先住民として独自の特殊プログラムの作成を計画しています。
 
Q:新政権にはどんな資産が認められそうだったのですか。 
A:色々な資産が浮上していましたが、現金と不動産がメインです。 先住民ハワイアン信託基金としてすでに
OHAに支払われた現金、それにハワイアン・ホームランドの土地、カホオラベ島と譲渡地の一部等が含まれて
います。
 
Q:新しいハワイアン先住民は税金を払うのですか。 
A:連邦所得税はどんな形式下でも支払う義務があります。 しかし、もし先住民政権が認められれば、州の
所得税は払わなくてもよくなります。 また、もしハワイアン領土内に住めば、不動産税も免除されます。 領土
内の勤労に対しては州所得税は免除されますか、領土外での勤労所得には州所得税を支払う義務がありま
す。 領土内での所得でも連邦所得税を払うことには変わりません。 ギャンブリングから多額の収入を得ている
インディアン民族は収益の一部を州政府に支払っていますが、税金としてでは なく、他のインディアン民族助成
金として取り扱われています。 ハワイ州でも領土内に収容しきれないハワイアンの生活補助をしているハワイ州
政府にもその種の助成金支払いが協議されそうです。
 
Q:新ハワイアン領土が設置されたら非ハワイアンは領土内立ち入りは厳しく制限さ れるのですか。 
A:確かにインディアン・リザベーション内への立ち入りを制限しようという動きが米本土ではありますが、ハワイアン
の場合、そういう措置は現実的でないと問題には なっていません。
 
Q:ハワイアン先住民としての恩典を受けたいと非ハワイアンが公認市民として申請できますか。 
A:何を恩典と言えるか、不透明な点が多いのですが、先住民としての血縁立証をしなければならないので、ハ
ワイアンの血縁者以外は時間の浪費と言えるでしょう。
 
* コンセンサスが取れてないアカカ法案
アカカ法案の今議会成立の道は断たれた。 終結宣言法の指定を受けて、今議会に上程されたアカカ法案は
必要な六十票を獲得できず、廃案となった。 百人の上議 の中で五十六人が賛成した。四十三人の民主党
議員と十三人の共和党議員が賛成 した。 四十一人の共和党議員は反対投票。 二人の民主党議員と一
人の共和党議員が投票を棄権した。 棄権した三人を加えても必要な六十票に一票不足していた。
 
五十五人の共和党議員と四十五人の民主党議員で構成される今国会上院で、六十票を獲得するのは勝
率の低いカケだった。 それでもアカカ上議は上程に努力した。六年かけての上程である。 勝算はあったのかと
調べて見ると、去年の夏には成立の見込みは高いとアカカ上議は言及していた。
 
その後の推移はアカカ上議には不利なものばかりだった。 司法省の懸念から米公民権協会の反対声明は反
対側の勢力に拍車をかけた。 各々の懸念に対応したとす る法案の手直しもした。 結果は本会議にもあげら
れずに終わった。 ハワイ政治評論家のドン・クレッグ氏は上院否決が決定した後、「アカカ上議には大きな痛手
になるでしょう。 今年は同上議の再選の年です。エド・ケース下議(現)が同上議席獲得に出馬表明していま
す。 民主党予選でアカカ上議敗退の公算が強くなりました」と今回の否決投票がアカカ上議の政治生命を短
縮させる結果になるのではないかと予想している。
 
それに今年三月にタイム・マガジンが、何もしなかったワースト五人の上議の中にアカカ上議が加わっていたこと
も含んで、アカカ上議の再選が究めて難しいと指摘している。 「もうひとつ考えられる事は共和党上議にとって党
利党略で投票するアカカ上議よりも幅の広い思想を持つ、エド・ケース氏の方が組み易いと否決に動いたと見る
向きもあるのです」とクレッグ氏は共和党のアカカつぶしを指摘している。 三週間前の民主党ハワイ大会では、ア
カカ上議は大きな拍手の中で舞台に上がったのに対し、エド・ケース下議は気のない拍手で迎えられた。 これは
逆効果になるだろう。  これらを含んでケース下議が秋の選挙に向けてリードしているとクレッグ氏は読んでいる。
 
「ただこの問題が秋の選挙の選挙公約となるかというとそうでもないと思います。 ハワイアンの自立権を認めるア
メリカ先住民として公認するといっても、ほとんどの市民が理解していないのです。 それにハワイアンという特定
人種の支援をするとなれば、非ハワイアンの多くは反対するでしょう。 それにハワイアンの中でも同法案に反対
する人が多いのです。 ハワイアンの中だけでも同案に対する住民 投票も取られていません。 それに非ハワイアン
を含んだ住民投票もされていないのです。 これだけの懸案には住民投票を行なうのが先きだったのです。 要は
コンセンサスが取れていないのです。 二〇〇〇年に国会下院小委員会が議員を送り込 んできたことがあります。
そのときにハワイアンは全く別々に勝手な意見を述べたので議員たちはあきれて帰って行ったことがあります。 そ
の時以後、いまだに世論調査もされていない案件なのです」
 
同法案はハワイ州民のコンセンサスを得ていないのを、小委員会がハワイを訪れて実感した。 州内でも得られて
いない同法案成立は当然最初から無理だったのだと同氏は強調する。 議会に提出する以上、成立の見通しを
立ててからするもので、否決されるかも知れない法案なら時間の浪費だという。 アカカ陣営には成立見通 しの読
みが甘かった。 政治家としては致命的なミスをしたことになる。が、本人には、そのような気配はない。秋の選挙
で再選を果たし、再度の挑戦を試みようとしている。 果たして州民はもう一度アカカ上議にチャンスを与えるだろう
か。
 
アカカ法案のコンセンサスがとれていない以上、同法案を選挙戦で取り上げる事は致命傷になりかねない。 ケー
ス下議もその辺は心得ているようで、最近のアカ カ攻撃はイラク戦争に関する投票内容である。 イノウエ上議も
次期国会に修正案件を提出すると発表しているがどの様に修正するのか、具体的には何も言及していない。
 
* ハワイアン支援策と自立権
ハワイ州内の領土を一部ハワイアンに譲歩し、自治権を与える、ハワイアン・オ ンリーの政治が行われる。 本
当にそんな事態がくるのだろうか。 国の中の国。 自治運営が出来るよう、国と州が支援するというのでしょうか。
 
米国政府はハワイアン支援としてすでにこの二十六年間だけで十二億ドルという 莫大な額をつぎ込んできた。 
支援策数(プログラム)からみると百五十を超える。 イノウエ上議はアカカ法案の成り行き次第ではこれらの支
援策が中断されるのではないかと懸念した。 去年の暮れに同懸念をブッシュ政権に問い正した。現段階で国
の支援策が中断されるようなことはないとの確約を得た。 この確約がないと、ハワイ選出四議員は同法案の審
議を中断せざるを得なかっただろう。
 
国の支援策が中断されてもアカカ法案を推進するという重さがないからである。 支援策も欲しい。自立権もほし
い。 そんな簡単に行くはずがないと、アカカ法案に反対する地元ハワイアンの『アロハ・フォー・オール』(全ての
庶民にアロハを) のリーダーのウィリアム・バージス氏がいう。
 
「そもそも、ハワイアンに自主権を与えてというのが無理難題ですよ。 国家は全て市民に平等かつ公平です。 と
すれば、ハワイアンに自立権を与えるというのは国家の公平を失うことになります。 この法案はそこでストップす
べきなんです。 それに今まで国がハワイアン支援にスタートした支援策は百五十を超えます。 現在教育から福
祉、文化まで広い支援プログラムが継続しています。 それだけでも十分です。 自立権を得たらこれらのプログラ
ムは中断されると考えなければなりません。 今よ り良くなるという保証はありません。 それより悪くなる方を考え
るべきでしょう」
 
バージス氏は自立権を要求することは人種平等という米国憲法の人権擁護法に違反するからハワイアンでも同
法案には反対するという。 バージス氏は更に「ハワイアンが善良な米国市民だからアカカ法案を成立させてはい
けないのだ」と強調する。 今年の秋の選挙で国会の上下両院で、もし民主党議員が過半数を獲得すれば修正
アカカ法案の成立は期待できると全国民主党リーダーは言う。 しかしそのときには修正案が超党派で支持でき
る内容に衣替えしていなければならない。果たしてそんな両方の意を含む都合のよい法案が明文化されることが
あるのだろうか。 ハワイアン先住民公認法案は第二段階をスタートしようとしている。 そのスタートはハワイ国会
上院議員選挙予選のアカカVSケースで始まる。
 
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● ハワイは今
   * 「アカカ法案」支持率低下 --- 上院否決後の最初の意識調査で
   * リングル知事再選確実? --- 民主党、知事選捨てる?
   * 国会上院議員選予選 --- 民主党の有力候補者が激戦展開
   * イチロー、ジアンビーを育てた「ハワイ・ウインターベースボール」 10月に再開
   * 5月の観光客、全体で微増 --- 日本人客数は10%減
「アカカ法案」支持率低下 --- 上院否決後の最初の意識調査で
国会上院本会議は六月八日、アカカ法案の終結宣言票決を行い、本会議 上程に必要な賛成六十票に
四票足りず、否決された。 ハワイアン民族を米国先住民と公認する同法案の今議会上程の道は閉ざされた。
 
ホノルル・アドバタイザー紙(日刊英字紙)は六月二十一〜二十七日、ハワイ州成人六百二人にアンケート
調査を行った。 その結果、ハワイアンの自主権(自立権)を認めるという質問に四八%が賛成、先住民として
公認する案にも六三%が賛成している。 しかし、同案が創案された二〇〇〇年には、七三%が支持を発表
したのに対し、十ポイント以上も支持者が減っている。
 
支持者減少について、同案反対を最初から主張していたアドバタイザー紙の元編集者・トウィッグ・スミス氏は、
「当然の減少でしょう。 最初 は法案内容も理解出来ず、支持する事がハワイ住民の常識のような雰囲 気が
あった。 ところが、法案内容が少しずつ釈明あるいは修正されるたびに、自立権の意図する点が明らかになっ
た。 国の中の国を容認する同案の不備に、州民も気付いたのだ」と、同氏は同法案の成立は合衆国を連邦
国に再編することを意味する危険な法案だと警告する。
 
当初、アカカ法案不支持はハワイアン不支持を意味するようなムードが六年間に正常化したのだ、と同氏は指
摘する。 ハワイアンを先住民として公認する案には州民は六三%と依然として高い支持率を示しているが、自
立権となると四八%と五割を下回っているのが、その現われだとトウィッグ・スミス氏は強調する。
 
支持率が低下したことについてあるハワイアン・グループは、「上院審議の後に過半数の住民支持を得られた事
は、次のステップに繋がる好サインだ」と評価している。 あるハワイアンの学生は、「ハワイアンが本 当に望んで
いるのは先住民としての公認なのか。 それとも自主権確立が最終目標なのか、ハワイアン内での統一が取られ
ていないような気がする。 もう一回、国会に上程するのなら、その辺のコンセンサスをはっき りさせて大幅な修正
案の上程をすべきだ」とやり直しを強調した。
 
なお、同調査はカメハメハ・スクールのハワイアンオンリーの入学規定について支持すると答えた人は七九%に
及ぶ。 カメハメハ・スクールの人種偏見規定は百年以上続くだけあって、住民の理解度は著しく寛大である。
 
* リングル知事再選確実? --- 民主党、知事選捨てる?
今秋の中間選挙でハワイ州のリンダ・リングル州知事が再選に出馬する。 立候補届締切り日、七月二十五
日を前にホノルル・アドバタイザー紙(日刊英字紙)が民間のワード・リサーチ社に世論調査を依頼、その結果
が七月三日の紙面で発表された(六月二十一日〜二十七日、州有権者六百二人に聞く)。 その結果、リン
グル州知事の知事としての評価は 七二%が「高く評価する」と答えた。 「評価しない」は二二%に留まっ た。
 
その中で共和党有権者は九〇%以上が「高く評価」したのに対し、民主党支持者四八%が評価すると答えた。
浮動票の有権者も七〇%が知事と して高く評価している。 人種的にも幅広く多人種から支持された結果となっ
た。 「共和党知事だが、政党にこだわらず諸問題に対応してきたのが、評価されたのだと思う」とリングル知事は
高い支持率にご満足。
 
四十年ぶりの共和党知事は安定多数を誇る野党、民主党議会相手にそれなりの指導力を発揮したと評価され
た。 特に支持率七二%は次期政権で更に大きな期待がかけられる結果となった。 なお、同世論調査で行われ
た秋の選挙の模擬投票は次のような結果となった。
 
Q:もし、今、投票が行なわれたらあなたは誰に投票しますか?
    リングル知事(共)かランダル・イワセ元州上議(民)?
 ・リングル 六四%
 ・イワセ 一八%
  ・未定 一八%

Q:リングル対ウィリアム・アイラ・ジュニア 
  ・リングル 六八%
  ・アイラ 九% (アイラ氏はワイアナエ港の港湾長)
  ・未定 二三%
 
いま、下馬評には民主党の州知事候補としてはこの二人しか上っていない。  イワセ元州上議もオアフ島中央か
ら上議に選出されたのは一九九〇年代。 その後政界から退いた形で州労務局の査定委員会に席をおいていた
が、今回、リングル知事に対抗しても当選は困難とされている。 リングル知事に四十六ポイントと大きく引き離さ
れているが、イワセ陣営は従来通りの選挙運動を続けると一月から事務所を開設しているが、今一つ盛り上がり
がない。
 
アイラ氏も先月カウアイ島で選挙運動を開始したが、知名度はイワセ氏より 下。 民主党から他の候補者が立候
補しない限り、予選は二人で戦われる。 勝者がリングル知事に挑戦する。民主党のほとんどの強力候補者がエ
ド・ケース国会下議の席を狙って出馬しており、リングル知事再選は確定的になってきている。
 
* 国会上院議員選予選 --- 民主党の有力候補者が激戦展開
州知事選は重要レースだが盛り上がりに欠ける。 一方、今秋の国会上議選がケース国会下議の出馬で急に加
熱している。 国会議員十六年のアカカ上議(民)の再選は間違いないとみられていた。 ところが同じ民主党から
国会下議二期目のエド・ケース氏が先輩アカカ上議に挑戦状をたたきつけたのである。 上議選が加熱しただけで
なく、空席になった国会下議席に脚光が集まった。 七月一日現在で民主党から八人、共和党から二人の候補
者が出馬表明した。
 
八人の内、現役議員は六人もいる。 その中、シャッツ氏は州下議のため、選 挙で破れれば議員職を失う。 コリー
ン・ハナブサ氏、クレイトン・ヒー氏、ギャリー・フーザー氏、ロン・メイノー氏の四人は州上議で、あと二年の任期が
残っている、という事はこれら五人の候補者は国会下議選に破れても現在の上議及び市議に戻ることが出来る。
もし勝てば(本選でも)国会下議になれる。 そのときに現公選職を退けば良い。
 
これらの議員にメイジー・ヒロノ前州副知事、マツナガ元州上議という二人の民主党ベテランがどう絡んでいくか、
本番はいよいよこれからだ。 秋の予選は九月二十三日(土)に行なわれる。
 
* イチロー、ジアンビーを育てた「ハワイ・ウインターベースボール」 10月に再開
MLB、メジャーリーグのプロ野球選手を養成するハワイ・ウインターベースボール(HWB)が十月一日、ワイパフ
のハンス・エル・オレンジ球場で開幕する。 HWBはMLBのマイナーリーグの金の玉子や日本プロ野球機構の二
軍選手をあずかり、冬場に気候の良いハワイで野球の選手として技術の向上を計る目的で一九九三年にオー
プンした。 同リーグは一九九七年に資金不足で中断、HWBはホノ ルル市のドウェイン・クリス氏が営利目的で
企画したが、五年間で運営を断念、閉鎖した。
 
その後再開し努力し、「営利ではあるが、野球は私の夢です。 メジャーであるいは日本で、今回は韓国プロ野
球機構も参加して、金の玉子を育てようという目的で一致した」と六月二十七日記者会見でHWB再開を発表
した。 今回のMLBが参加する選手、コーチの人件費を一〇〇%保証、日本野球機構と韓国プロ野球機構はリ
ーグの運営費を分担することで契約した。 チームはオアフ島の四チ ーム。 東部と西部に二分する。 東部のシャ
ークスとビーチ・ボーイズのチームはハワイ大学のレス・ムラカミ球場を本拠地に。 西部のケーン・ファイヤーズと
ノースショア・ホヌはワイパフのハンス・エル・オレンジ球場を本拠地とする。
 
各チームは各々四十試合行ない、十一月二十二日にチャンピオン決定戦を行なう。 同試合はテレビ中継も行
なわれ、日本と韓国に中継。 ハワイは毎水曜、午後十時半からKFVEで録画中継される。 「テレビの放映権
も入るし、以前よりは健全経営が期待されます」と待望のHWB再開にクリス氏は満足気。
 
HWBの最初の計画に参加し、その後、メジャーリーグで活躍している選手はイチ ロー・スズキ、ジェイソン・ジア
ンビ、ディレック・リー、タダヒト・イグチ、アダム・ケネディー、ダット・ヘルトン、AJピアジンスキー、マイケル・バレ
ット等がいる。 マイナー、二軍選手は各々のコミッショナーから養成選手として派遣される。 一チーム二十八人
(中二人はハワイ枠も認められている)。 入場券等の情報は、以下で。
Webサイト: http://hawaiiwinterbaseball.com/
電話: 973-7247
  
* 5月の観光客、全体で微増 --- 日本人客数は10%減
今年五月にハワイを訪れた観光客数は微増にとどまったが、消費した額は三・四 %と堅調に伸びた。 DBEDT
(州ビジネス経済開発観光局)の観光客動向速報によると今年五月の観光客数は五十七万七千人と前年
同月比で僅か一・七%増。 客数では九千人の増加だが、消費した額は八億八千六百六十万ドルと三・四%
伸びた。 滞在日数の伸びとホテル代の増加が、消費額の増加に繋がったという。
 
客足では東部客が一・一%減少し、日本客も一〇・九%減少したが、西部客が二十五万人を超え、六・三%
増を記録。 カナダ客も一二%増と好調、州平均で一・七% 増となった。 一月から五月までの累計では、客数
で二%増の四百九十七万人に対し消費額は六・六%増の四十七億ドルを超えた。 昨年一年間の客数は七
百四十六万人、消費額は百十五億ドル。 DBEDTでは今年の目標を客数で七百六十四万人、消費額で百
二十四億ドルを予想している。
 
日本人客は十万九千四百九十一人と辛うじて、十万人台を維持したが、前年同月比で一〇・九%減と大幅に
減少。 それでも一人当りの一日の消費額は前年同月比で、一四・二%アップ。 五か月間の累計でも前年度
より三・一%増加している。
 
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● Made in Hawaii: メイド イン ハワイ <新シリーズ>
  第3回: バニラ製品
バニラは蘭の実からつくられる。 ハワイは全米で唯一、そのバニラ蘭が生育する土地である。 二〇〇〇年夏、
全米初しかも唯一、商業的にバニラを栽培 している「ハワイアン・バニラ・カンパニー/Hawaiian Vanilla
 Company」 の、当時ハワイ島ケアラケクアにあったバニラ農園のジム・レデコップ社長 を訪ねた(同年八月十
五日号一面「ハワイ島コナのすきま産業を探る」に掲載)。
 
バニラは、実を収穫するのに四年程かかるため、当時バニラ農園を始めて三年余りのレデコップさんのバニラは、
初めての実が成り始めたところだった。 実を加工して商品となるのは二年近く先のことだったが、彼はバニラに
将来を賭け、「バニラは、かつてのハワイの砂糖やパイナップルのように、将来 ハワイの主要産業に成り得ると
見ています」と言い、色んな夢や抱負を語っ てくれた。
 
あれから六年経ち、彼はバニラ農園をハマクア地区パアウイロに移し、農園 内でバニラを使った昼食会やお茶
会をし、バニラ製品を販売する売店も出来たと聞き、夢を実現したレデコップさんのバニラ農園に再び訪れた。
 
■バニラ蘭
蘭の種類は、二万種ほどあるが、バニラはその中の唯一の食用蘭である。 バニラは、コーヒーやカカオが育つ地
域とほぼ同じ、赤道の南北緯度二十五度以内の範囲に育つ。 原産地のメキシコに加え、バニラの主産地は、
マダガスカル、インドネシア、タヒチ、カメルーン、レユニオン、コモロ、トンガ、 カリブ海諸国。
 
アメリカは世界最大のバニラ消費国だが、一九九八年からレデコップさんが ハワイ島でバニラ栽培を始めるまで
は、誰も商業的にバニラ栽培をしていなかった。 レデコップさんは、それまではマイクロバスで農園を廻る観光ツ
アーをしていたが、観光客をコナのトム門岡さんの蘭園に連れて行くうちに、彼自身もバニラに魅せられ、バニラ
を栽培するようになった。
 
門岡さんは、二〇〇四年に八十三才で亡くなったが、ハワイのバニラ栽培の 第一人者と言われる人で、一九
九一年から試験的にバニラを栽培していた。 門岡さんからバニラ栽培のノウハウを教わったレデコップさんは、
国から農業援助金を得て、コナの南、ケアラケクアでバニラ栽培をしていた。
 
バニラに将来を賭け、成功を夢見たレデコップさんだが、それまで農業とは 無縁だったので、成功への道のりは
長く、失敗もあり、お金も沢山使ったと いう。 バニラは、組織培養したものから実を収穫するのに四年、その実
を熱処理し、天日乾燥して商品となるのに九か月程かかるため、育てたバニラの品質のいかんは、五年後しか
分からない。
 
レデコップさんは、最高級だと予測した最初のバニラの品質が予測以下だったので、また最初からやり直したとい
う。 パアウイロの築九十年のコーヒー 焙煎所と土地を買い、壊れそうだった焙煎所を自宅兼作業所に改築し、
近所 にバニラ栽培の温室も建てた。
 
■失敗から学ぶ
 レデコップさんは、「バニラ栽培には、土壌が鍵だと失敗から学びました。ケ アラケクアでバニラ栽培をしていた時
は、バニラを土に植えていましたが、温 室をパアウイロに移してからは基本的に水耕栽培をしています。
 
バニラの根はあまり下に伸びず、横に広がり、根に充分空気が行かないと、良い実が成りません。バニラを土に
植えると、根に充分空気が行かないことが五年経って初めて分かったので、今は土を一切使わず、椰子の実の
繊維や殻を砕 いたもの、落ち葉などを使っています。
 
バニラは繊細で強い日差しに弱いので、今は温室の日差しを三段階に調節出来るように工夫しています。 バニ
ラに限らず、作物栽培で大事なのは、種子や苗木の素性です。 いくら土壌や日差しに気を配っても、種や苗木
自体が悪かったら良い作物は出来ません。 今はかつて以上に血統にこだわり、温室栽培に強いマダガスカルの
バニラをコスタリカで培養したものを栽培しています」と語る。
 
■国際バニラ会議に参加
全米初の農業には苦労も伴う。 アメリカにはバニラ生産の前例が無いので、バニラに関する情報や手本を外国
から得ないといけない。 今年はメキシコで初めて国際バニラ会議があり、世界の推定二万人のバニラ生産者の
内、約二千人が参加したが、レデコップさんは米唯一の参加者だった。
 
レデコップさんは、「殆どが開催国のメキシコからの参加者だったので、会議 はスペイン語で行われ、私は通訳を
通して講義をしたり、聞いたりしました。 毎年世界で約一万八千トンのバニラ生産がありますが、今年は、約二万
六千トンになる見込みだとこの会議で知りました。 バニラは、需要より供給の方が少ない作物なので、常に市場
が確保された作物でしたが、これから変わるかもしれません。
 
バニラの世界最大生産国のマダガスカルで数年前サイクロンがあり、バニラ農園に被害がありましたし、インドネ
シアのバニラ農園も津波の被害に遭いましたから、益々供給が減るという予測でした。 しかし、パプアニューギニ
アでも最近バニラ生産を始め、自国では、さばききれないので、世界に市場を求めています。 世界市場は常に
動いていますから、作物を作るには、どうやってどこで作物を売るかという市場のことを常に考えないといけません
」と語る。
 
■バニラ豆
バニラは、商品化するのに五年かかり、手間もかかるので、サフランに次ぎ高価な香辛料である。バニラの花は、
一月下旬から五月下旬の一日、しかも四時間しか咲かない。
 
原産国のメキシコには、バニラの花を受粉するメリポナ蜂がいるが、それ以外の国にはその蜂がいないため、受
粉は、花の咲いている四時間の間に、一花ずつ手でしないといけない。一本のバニラ蘭に、花が沢山咲いても、
受粉させるのは八個から十個。実は長さ二十センチ程のインゲン豆のような形をしているため、バニラの実をバニ
ラ豆(VanillaBean)という。
  
熱処理し、天日加工したものもバニラ豆と呼び、シェフはバニラ豆をそのまま 料理に使うが、一般的にはバニラ
豆から抽出したバニラエキス(Vanilla Extract)を菓子類の香り付けに使うことが多い。 一つのバニラ豆の中には、
二十万から三十万個のケシの実より小さい黒い種がびっしりと入っている。 市販されているアイスクリームに、こ
の種が入っているものもある。
 
バニラの香りの元は、種の中のバニリンという成分で、バニリンの量が多いほど香りが高く、高級なバニラになる。
広く栽培されているバニラ蘭は、Vanilla Planifolia というバニラだが、コーヒーやカカオと同様に、同じ種類のバニ
ラでも、栽培地や土壌、水や肥料の加減、加工の仕方で香りや品質に違いが生まれる。
 
■昼食会・お茶会
バニラ栽培に加え、レデコップさんは、二年半前から農園で昼食会やお茶会を 家族ぐるみでしている。 火・水・
木曜日に行われる昼食会の料理を担当するのは、主に奥さんのトレーシーさん。 給仕をしてくれるのは、レデコ
ップさんの三才から十二才の六人の子供たち。
 
食事作りに忙しいトレーシーさんを除く家族全員が、食事の前にバニラについ ての説明をし、微笑ましく暖かい雰
囲気の中で昼食会が行われる。 レデコップ さんは、「当初は、ハワイ諸島を廻るクルーズ船のオプショナルツアー
として、週一度だけ二十四人限定の昼食会をしていましたが、少しずつ改良しています。
 
一年前までは、食器はプラスチックで、バイキング形式の昼食会でしたが、今はバニラ蘭を連想させる図柄の陶器
を使い、バニラを使った三コース料理とデ ザートを出しています。 本物のバニラは、人工的に作られたバニラエッセ
ンスとは違いますし、最近の傾向は、人工的なものから自然なものに変わりつつあ ります。
 
この農園で本物のバニラを使った料理やデザートを味わい、バニラについて知って帰るので、訪れた人は本物のバ
ニラにこだわるようになると思います」と いう。 最近レデコップさんは、農園にオレンジ、レモン、ライチー、シナモン、
ランブータン、ロンガンなどの木を植えた。 実が成れば、昼食会やお茶会のメ ニューにお目見えするというので、農
園での試食は益々充実しそうである。
 
■子供を自宅教育
レデコップさんは、昼食会などに訪れるお客様を、レデコップ家に訪れるお客 様のように接しているというが、小さい
子供も、給仕しながらゲストと上手く 交流している。
 
義務教育年令の子供たちが、平日の昼間、ゲストに食事を給仕しているので、 中には不思議に思う人もいて、
 「今日学校は無いの?」という質問から子供たちとの会話がはずみ出す。 レデコップさんの子供たちは、近くの
小学校に在籍しているが、トレーシーさんがホームスクーリング(自宅教育)している。
 
子供たちは、基本的に午前中勉強し、昼食会やお茶会の時間は、バニラの説明や給仕の手伝いをし、その後、空
いた時間にも勉強をしている。 教科書や教材はトレーシーさんが選択し、毎年、それぞれの学年に合ったSAT(標
準学力試験)を受け、その成績が教育局に提出される仕組みになっている。 学校教育は、他の生徒との交流から
学ぶことも多いが、ここではその替わりに、幅広い年齢層のゲストと交流し、大勢の人の前で説明をし、質問にも答
えている。 彼らは農園の運営を幼い頃から体で学び、学校教育にない社会勉強をみっちりと している。
 
■バニラ製品
農業で収益を上げるには、農作物そのものを売るより、加工したり付加価値を付けて売る方が効率が良いという。
その点バニラは、食品や化粧品など、いろんな製品が出来る強みがある。 レデコップさんは、バニラ豆のほか、バ
ニラエキス、バニラコーヒー、バニラ紅茶などに加え、ローション、リップクリーム、シャンプーなど、様々なバニラ製
品を、主に農園とインターネットで販売している。
 
彼は、「何もかも自分でやろうとすると無理があるし効率も悪いので、農園で は、バニラ豆を完成するまでの作業
をしています。 バニラエキスは、農園で作ったバニラ豆を、抽出液を作る会社に送ると、ドラム缶で完成品が送り
返されるので、それを農園で一つずつ瓶詰めにして、ラベルを貼り、密封して商品にしています。
 
他の製品も同様に、ここで出来たバニラ豆やエキスを製造会社に送り、完成品が送り返される仕組みになっていま
す。 昼食会に訪れた人がバニラ製品を買って帰り、無くなるとEメールにメッセージを添えて注文してくれることが多
く、インターネット販売は順調に伸びています。 消費者に直売した方が、売店にマージンを払う分だけ安く出来るの
で消費者にもいいと思います」という。
 
■バニラ農園の運営
レデコップさんは、「農夫一人だけなら、何を栽培しても贅沢をしなければ、 食べていけますが、私には妻と六人の
子供がいて、家族を養わないといけません。 家族が、のどかなハマクアの自然の中で暮らせて、家族全員で出来
る家内工業的な事業を模索していて、バニラ農園に行き着きました。
 
一年前までは、家族だけで運営していましたが、人手が足りなくなったので、 今は従業員が六人いて、受粉作業
や昼食会の手伝いをしています。 バニラ農園を始めるのに国から農業援助金を頂きました。そのお金を地域の人
にも還元しようと思っていましたから、製糖会社の閉鎖で失業したハマクア地区の人を雇うことが出来て良かったと
思っています。
 
でも農園が軌道に乗り始めたからと言って、大企業にしようという野望は、全くありません。ウチの農園は、カリフォ
ルニアのナパのワイン醸造所に似ていて、ワインの試飲が、ウチではバニラ試食になっているだけです。 ナパのよう
な牧歌的な農園が理想なので、家族が一緒に居られて、生活していければいいと思っています」という。
 
■バニラ栽培の将来
亡き門岡さんは、四エーカーのコーヒー農園の生産高は、四分の一エーカー のバニラ農園の生産高に匹敵する
と言い、効率の良いバニラ栽培をみんなに奨励していた。 そんな門岡さんを師事したレデコップさんは、バニラ農
園を成功 させ、バニラ栽培のセミナーをするまでになった。 ハワイ島の農家を対象にした彼の三時間の講義に、
これまで四百人ほどが参加したという。
 
その影響もあり、今ハワイ島では、レデコップさんの他に、少なくとも五人が バニラ栽培をしていて、これからも増
えそうだという。 コナ地区には、約七百 人のコーヒー耕作者がいるが、かつて門岡さんは、少なくともその内の百
人がバニラ栽培に転換して、少しでもましな生活をするのが夢だと言っていた。
 
門岡さんの両親は、熊本県出身の一世で、コナでコーヒー農家をしていた。 コーヒー耕作の重労働を身を持って
体験したので、彼はコーヒーより効率の良い蘭園で生計を立てていた。 そんな門岡さんだから、近隣の農家が少
しでも楽をして欲しいと願っていた。亡き門岡さんの夢が現実となる日も遠くないかも しれない。
 
ハワイアン・バニラ・カンパニーのWebサイト: www.hawaiianvanilla.com
 
Acknowledgements:
 ・Hawaii Tourism Japan
 ・Big Island Visitors Bureau
 ・PacRim Marketing Group, Inc
 ・Hilton Waikoloa Village
 ・Dollar Rent A Car
 
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