バックナンバー: 2006年 7月 1日
● トップ: ハワイのレストランに広がる地元農産物へのこだわり
 * 「お客様に安心して食べていただける食材を探しているうちに、ハワイの農場にたどりつきました」 
     --- 「レストラン サントリー」 青山延行総支配人
 * 「ハワイを意識したドレッシングを作っていこうと思っています」
     --- ミナトズ・ハワイ 社長 マック竹田さん 
 * 「ハワイのシェフたちと農業生産者が協力し合い、ハワイ・リージョナル・クィジーンを
     成功させました」
     --- エッセイスト 永田広美さん
 * ハワイの食文化の歴史
● ハワイは今
 * カメハメハ校の人種差別ケース 連邦上告裁が取り上げる
 * ヒルトンが新タイム・シェアに着工 「グランド・ワイキキアン」
 * 住宅の違法レンタル 1日、千ドルの罰金
 * 山火事取締法が施行 子供の放火は親に責任
 * 市長の年俸は12万2000ドル 公選職、任命職7月から昇給
 * マウイでブレンドされた 「オーシャン・ヴォッカ」 高陽社の深海水利用、ヒット商品になるか
 * オアフ島のホテル部屋数三万五千室を切る タイム・シェア、コンドテル急増
 * マストランジットは30億ドル? モイリリの高架鉄道は不評
 * ウォルマート9号店がカポレイに 2008年完成予定
● Made in Hawaii : メイド イン ハワイ <新シリーズ>
 第2回: チョコレート・カカオ (ハワイ島現地取材)
バックナンバー: 2006年 7月 1日
● トップ: ハワイのレストランに広がる地元農産物へのこだわり
「ワイキキで食べる料理はどれもいまいち」、「ハワイ産の料理が食べたい」 という言葉は、以前から聞かれたが、
ここに来て『ハワイの食材・身体に好 い食材』にこだわる店が増えてきている。
 
またスーパーマーケットでも、以前は見られなかったハワイ産の食材を目に するようになった。こうした食材の変化
は、十五年前から始まったハワイ・ リージョナル・クィジーンという運動が関係している。
 
今回は、「ハワイの食材にこだわる店」を取材、また最近ハワイの食文化に ついて著書を出したばかりの永田広美
さんに、ハワイ・リージョナル・クィジーンについて話を聞いた。
 
 * 「お客様に安心して食べていただける食材を探しているうちに、ハワイの農場にたどりつきました」 
     --- 「レストラン サントリー」 青山延行総支配人
当店では二〇〇〇年十二月から、こうした取り組みをはじめました。 サントリーロンドン店の勤務を終え、ハワイに
戻り、総料理長を任された直後の事でした。 当時の社長から「お客様に健康的で、安心して食べていただける食
材を提供しよう」という提案があり、色々な食材を見直す経験をさせて頂きました。 ハワイの 食材でいうならワイマ
ナロにあるナロ・ファームです。
 
最近はナロ・ファームの野菜を使っているレストランは多いようですが、当店ではそれ以来、生で食するレタス系の
野菜はこちらのものを使っています。 それ以来お客さまから、「サラダが美味しい」と言われる機会が多くなりまし
た。 ナロ・ファームの野菜は厳密に言うと「無農薬野菜」とは呼べません。 野菜自体に農薬は使っていませんが、
虫を寄せ付けないために、畑の周りに薬を使っているそうです。 ですから法律的には「無農薬野菜」とは呼べない
そうですが、野菜自体には使っていませんので、限りなく無農薬野菜に近い、安心して召上れる野菜で、他の野
菜と比べると、味、艶、日持ち、などが大きく違います。
 
例えば、他のレタスが冷蔵庫で二日で「しなっ」となってしまうとすると、この 野菜はその二倍、三倍もの間みずみ
ずしさを持続させています。 「生きている」 という感触でしょうか。食感も違います。ハワイの野菜といえば、マウイ
オニオンやトマトもハワイ産は美味しいですね。 しめじやエリンギ茸、オイスターマッシュルームなどのハワイ産のも
のが店頭に見られるようになったのも、ここ三、四年前ですね。 しかし、マウイオニオンは生産高が低くなってきてい
るのでしょうか、価格も他のスウィートオニオンに比べ高く、天気の影響で品切れになる事もよくあります。 貴重な
ものになってきたのでしょうか。
 
サラダというのはセットメニューには殆ど出てきます。 でも、付けあわせという イメージが強いので、料理への関心は
どうしてもお肉や魚に行ってしまいます。 そんな中で、「ハワイの野菜、美味しいね」と感心してくださる声が出るの
は、大変嬉しく、意義がある事と思います。 食材全体を見直そうという事ですから、野菜などの食材だけでなく、
勿論、調味料も見直しました。 塩は赤いハワイアン ・ソルトを使用しています。油に関しては、ハワイ産ではありま
せんが、非常に 精製度の高いカノーラ油(菜種油)と白胡麻油を使っています。 これはどちらと も値段も高いので
すが、癖のない香りとからっとした揚がりで「揚物は胃がもたれるから...」というお客様にも喜んで頂く事もあります。
醤油は無農薬大豆を使用した醤油で、こちらも安心出来る美味しいものです。
 
こうした調味料を変えたことにより、例えば塩、醤油の様に直接味を大きく左右するものの場合は、それぞれ塩分
や甘さ、こくが違いますから、料理への使い方も見直しました。 これらの調味料は、料理の全てに使うものですか
ら、やはり安心して使用出来る、安全な、美味しいものを選ばなければいけません。 いろいろと吟味しました。赤
いハワイアン・ソルトへのお客様の反応は大きかったです。 味だけではなく、見た目にもユニークというのもありま
すね。
 
ハワイ近海で取れる魚と言いますと、マグロ、かつお、シーバスやオナガ、オパカパカ(フエダイ)などの白身魚と結構
種類があり、どれも美味しいです。 ただ白身魚においては、海の温度や潮の関係などでしょうか、やはり日本の魚
とは味が違います。 他に、ビッグアイランドで養殖している平目、あわび、カンパチなどもあります。 これらは日本の
物と引くに劣らず美味しいものです。 平目は随分前から養殖しているようですが、カンパチ、あわびは比較的新し
いものでどちらも、海洋深層水を利用して行われているようです。 あわびは日本、カンパチはメインランドにも送って
いるほどだと聞きました。
 
マグロはハワイ近海でいろんな種類の物が取れますが、やはりメバチマグロが美味しいですね。 日本のお客さんも
、「ハワイのマグロは美味しい」と感激してく ださいます。 日本でも鮪は冷凍物が多いですから、生のメバチマグロ
が提供出来るのは大変嬉しい事ですね。 ハワイの海に感謝です。当店は地元のお客様にご愛 好頂いておりま
すが、夜は比較的、観光でハワイにいらしているお客様が多いです。 観光でいらした方は、特に「ハワイの物を食
べたい」という要望が高いと思います。
 
「ハワイ産の食べ物は、パイナップルとパパイヤ、コーヒーぐらいじゃないの...」 と半ば食事をあきらめた方もいますし
、「ハワイは海に囲まれているから美味しい シーフードの天国!」と高い期待度で食事を楽しみにしている方といろ
いろですが、どちらにしても、日本から来る観光客の方は、「ハワイで採れた、新鮮な食材」に大変喜んでくれます。
ハワイに住んで居られる方も同じだと思います。 これはお客様が求めていると共に、作り手の我々にとっても同じ事
です。 レストランビジネスが増えてきている中、今後も農業、養殖ともにどんどん力を入れて、ハワイ産の新 しい、
美味しい、安全な食材が増えてくれれば、お客様にとっても、作り手にとっても楽しく、嬉しい事だと思います。
 
 * 「ハワイを意識したドレッシングを作っていこうと思っています」
     --- ミナトズ・ハワイ 社長 マック竹田さん 
ハワイの特産品を使って作られるミナトズ・ハワイのサラダドレッシングの売れ行きが好調だ。 既に『パイナップルド
レッシング、マウイオニオンポンズドレッシング、ハニーレモンドレッシング』の三点が、多くのスーパーマーケットで販
売されている。 三点ともハワイ産の材料を使っていることが特徴で、現在は月に一万本以上を出荷し、メインラ
ンドからも注文がオンラインで入っている状態だ。
 
このドレッシングができるきっかけとなったのは、竹田さんのハワイへの思い入れからだ。 サンノゼで日本食レストラ
ンを経営していた竹田さん。 店はメインランドだが、若い頃留学したハワイの良さが忘れられず、サンノゼの店でハ
ワイをイメー ジするパイナップルをドレッシングに混ぜていた。 サラサラのドレッシングもパイ ナップルを入れると適
度なしっとりさが出て、当時からオリジナルのパイナップルドレッシングは好評だったという。
 
そして五年前ハワイに来てからは、「どうせなら他にもハワイを意識したドレッシングを作っていこう」となった。 パイナ
ップルドレッシングは果物独自の甘さ、マウイオニオンポンズはしゃぶしゃぶや麺類の浸けダレにも合う日本人好み。
そして一番新しいハニーレモンは、レモンのさっぱりした中に甘みが広がるという、三点ともまったく違った美味しさで
ある。 現在は、『パイナップル』は日本航空ハワイ便のエコノミークラスに、『マウイオニオンポンズ』はファーストクラ
スの機内食で使われている。 最初はローカルスーパーだけで販売していたが、観光客にも土産用として、ABCス
トアやドールプランテーション、ヒロ・ハッティでも売られるようになった。
 
竹田さんは、「観光で来られる方は、ハワイのものを意識していますから、目に留まりやすいんでしょうね。お陰さま
で、地元の人だけでなく観光客の方にも浸透して来ました。 勿論どの商品もハワイにこだわっています。 『パイナッ
プル』は、ドール社のもの。『マウイオニオン』はオニオンの中では甘みが強く、水分量が多いのでまろやかな味に仕
上げています。 今年四月に発売をはじめた『ハニーレモン』 のハチミツはカウアイ島・ハワイ島で採れたものを使って
います。
 
実は最初の二つは材料の選定が早かったのですが、『ハニーレモン』は、まずハワイの特産品を挙げていってその
中で決めていきました。 ジンジャー、とうもろこし、マカデミアナッツ、マンゴ、パパイヤなど色々な特産物の名前が
出たんですよ。 今後もこうした食材で新しいシリーズを考えていきたいと思います」という。 ハワイだからこそできる
ドレッシング。 今後も注目株である。
 
 * 「ハワイのシェフたちと農業生産者が協力し合い、ハワイ・リージョナル・クィジーンを
     成功させました」
     --- エッセイスト 永田広美さん
ハワイ・リージョナル・クィジーンの立ち上がった年は、一九九一年。 ハワイの若いシェフたちが十二人集まって、新
しいムーブメントを起こそうと、この運動が始まりました。 それ以前は、「ハワイの料理はあまり美味しいものがない。
ステーキ・アンド・ロブスターしか食べるものがない」といわれた時代があり、「ハワイの料理はこれだ」という代表する
ものもありませんでした。 そうした所に技術も才能 もあふれた若いシェフたちが集まって、ムーブメントを始めようとい
うことになりました。 ここで面白いのは、ハワイ・リージョナル・クィジーンが「うちのレスト ランでは創作料理を出してい
ますよ」というレベルではないところです。
 
ハワイ・リージョナル・クィジーンの核は、「ハワイで取れる食材を確保しよう」というものでした。 実はこのムーブメント
が始まる前のハワイで取れる食材というのは、クオリティが低く、量も少ないものでした。 ハワイの食材を確保する為
には、シェフが頑張っても、農家が同じ意思を持って協力してくれなければダメです。 農家だけでなく、果てはハワイ
大学の研究プロジェクトが協力して、「こうした料理を作りたいけれど、こうした野菜を作ることはできるだろうか」という
風に盛り上がっていき ました。 ですからただ単に美味しいレストランが増えたというレベルの問題ではなく、 農業、
畜産業、漁業などがハワイ・リージョナル・クィジーンによって、巻き込まれていったところが、この運動の有意義な所
だと思います。 産業革命の一部とも考えられますね。
 
ハワイで取れる食材が増えたことは、大きな意味があります。 以前ならスーパーマー ケットでメインランド産の食材し
か売られていなかったものが、ハワイ産のものも売 られるようになりました。 またロイズやアラン・ウォングは、観光客
というより地元の人のためのレストランですから、地元の人が行って美味しいフードを食べれば、「我が家でも同じも
のが食べたい」と舌が肥えてきます。 そうしたことから需要も増え、農家もレストラン用だけでなく、一般消費者向け
に作物を作るようにもなりました。
 
 * ハワイの食文化の歴史
この運動には、ハワイの食文化の歴史が関わってきます。 西洋の文化が入ってくる 前、ハワイの人たちにとって食
べることとは『魂のために食べる』という考え方で した。 これは、当然愛情が込められたもので、農産物一つとっても
、作物を育てる段階から、愛情が込められていたのです。
 
ところが宣教師が入ってきた後は、あれもダメこれもダメとハワイ独自の文化が否定され、土地もばらばらに切ってい
かれました。 今までは、山から川、平地、海へ と繋がっていたものが、土地がばらばらになったために、山の恵みが
他の土地に繋がらなくなってしまいました。 そして昔ながらの『人間の魂と体のために物を作る』 という考え方がなく
なってしまいました。
 
次に出てきたのが商品作物、サトウキビやパイナップルを代表とする商業プランテーションの時代です。 これは元々
ハワイにあったのではなく、メインランドからの大資本による土地を利用したもので、世界へ向けて輸出していくもの
です。 地元のためのものではありませんでした。
 
そして移民の時代となりまた新しい食文化が入ってきました。 中国、日本、韓国、ポルトガルなど色々な国の人た
ちが、自分達の食文化を持ってやってきました。 皆さん大変な思いをして、言葉が通じない近所の人ともおかずを
交換し合うなどして、食文化がミックスしていきました。 今のローカルフードに繋がるものです。 実はこれはとても珍
しいことです。 ニューヨークなど大都市なら大抵、色々な国の料理が食べられます。 中華料理、イタリアンレストラ
ン、韓国料理屋など様々な料理を楽しむことができますが、その料理は独自の味をそのまま受け継いでいます。
 
でもハワイの場合は、いくつもの国の料理がミックスされて、ハワイの料理となっているわけです。 アイデンティティを
守りながらもブレンドできる所はしていくという おおらかな中で生まれたのがハワイの料理で、インターナショナルな、
クロスカルチ ャーのローカルフードです。 これが数十年後の、ハワイ・リージョナル・クィジーンの基礎になっています。
 
話は戻りますが、パイナップル産業に陰りが見えはじめ、以前からあったサトウキビ産業も廃れて、別の作物を作っ
ていこうという機運が生まれました。 次に出てきたのがコナコーヒーやマカデミアナッツなど。観光業用の新しいレベ
ルの商品作物が作られるようになりました。 でもその時期でも、『ハワイの人が、ハワイの人が食べるものを作る』と
いうところまでは戻っていませんでした。
 
そうした時に出てきたのが、前述したハワイ・リージョナル・クィジーンでした。 新 しい農業者や養蚕業者もシェフたち
に誘発されていきました。 一緒になってよい農産 物を作ろうと協力しました。 これが今の基盤を作っていると思い
ます。 そしてハワイ ・リージョナル・クィジーンもすでに十五年の歳月がたち、次の世代のシェフたちに 受け継がれ
ています。 地元の高校や大学でも、こうした考えを伝えています。 特にカ ピオラニ・コミュニティ・カレッジは、フード
に関してのイベントを開いたりと、力を注いでいます。
 
一方で農業者達も若い子をどんどん取り入れています。 例えばナロ・ファームは以前ハーブを作っていました。 今
は殆どのトップクラスのレストランはこのファームの野菜を使っています。 レストランに卸す場合、内容はレストランに
よって違います。 「 このレストランは日本テイストが強く、ドレッシングの味も強いので、野菜はこのよ うにしよう」と
いう具合です。 ですからそのお店の特徴にあわせて卸していきます。 大変手間のかかる作業でもあります。
 
ワイマナエのマオ・ファームでは、野菜を育てているだけでなく、若い農業家も育てています。 その中には最初から
農業を目指した子もいれば、一度人生を踏み外してしまったけれど、頑張って更生している子もいます。 そうした
子が、元々ハワイアンの ベースにあった『魂のための作物作り』をもう一度、大地の恵みを育てることで感じていま
す。
 
農園で働いている子供達は、時々レストランへ行って自分達が作った作物がどのようになり、どのようにお客さんに
食べてもらっているのか見る機会もあります。 この時は「こんな野菜を作ったらどうだろう」と考え、これはまさに十五
年前にハワイ・リ ージョナル・クィジーンが始まった当初に行われていたことと同じです。 もう一つ、ハワイ・リージョナ
ル・クィジーンの特徴は、単にアジアン料理、創作料理という意味だけでないところです。
 
例えばロイズのシェフ、ロイ・ヤマグチさんは日系アメリカ人です。 日本で生まれて高校まで日本で育っています。
そして彼は、フランス料理を学んでいます。 技術的に はフランス料理のベースを持っていますが、お父さんが日系
のアメリカ人で、お母さんは日本人です。 すると彼の作る料理はお父さんの影響でローカルフードが入り、お母さ
んの影響で日本料理のエッセンスが入っています。 アラン・ウォングさんの場合 は、お父さんが中国人でお母さ
んが日本人です。 そうすると中国のエッセンスが入ってきます。 また育った場所により、フードの内容も変わってき
ます。 ですからロイ・ヤマグチの料理と、アラン・ウォングの料理は同じはずがないのです。 自分のアイデ ンティティ
を出していくのが、本来のハワイ・リージョナル・クィジーンなのです。
 
和洋折衷は日本でもありますし、どこででも食べられますが、その人のアイデンティティによって変化し、『魂のため
のハワイの食材』を食べる事のできるハワイ・リージョナル・クィジーンは、大きな意味があります。 伝統的なハワイ
料理も、ローカルフードも混じっています。 今後も『レストランと生産者が協力して、ハワイならではの食文化を作
っていく』という考え方は受け継がれていくでしょう。 それは大きな価値のあることだと思っています。
(楽園 BENTO BOX、ソニー・マガジンズ)
 
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● ハワイは今
   * カメハメハ校の人種差別ケース 連邦上告裁が取り上げる
   * ヒルトンが新タイム・シェアに着工 「グランド・ワイキキアン」
   * 住宅の違法レンタル 1日、千ドルの罰金
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   * ウォルマート9号店がカポレイに 2008年完成予定
カメハメハ校の人種差別ケース 連邦上告裁が取り上げる
カメハメハ・スクールのハワイアン系のみのの入学規則は米国憲法が認める 人種平等令に抵触するというケース
の上告裁審理が六月二十日、サンフランシスコの連邦上告裁で行われた。
 
一八八七年にパウアヒ・ビショップ王妃の遺言で創設されたカメハメハ・スクールは、同妃の資産を利用してハワイ
アンの子弟に教育機関を設置、運営するとなっている。 以後カメハメハ・スクールはハワイアン血縁子弟の教育を
行ってきた。 現在では総資産六十八億ドルの全米一の私立校となったカメ ハメハ・スクール(旧ビショップ財団)は
、疑惑絡みの五人の管財人を解雇し健全なスクール運営に専念する管財人を選出し、理事長もCEO(最高
経営者)として再スタートした。
 
カウアイ島でカメハメハ校入学を一度は認められたが、ハワイアンの血縁が 無いという理由で白人系の小学生が入
学を拒否されるというケースが起きた。 ハワイの連邦地方裁は学校側の主張を支持し、少年と母親の主張を棄却
した。 以降、同ケースは少年対カメハメハ・スクールのケースとして上告された。 二〇〇四年に上告裁は小法廷を
開き、被告カメハメハ・スクールの敗訴とな った。 小法廷は三人の判事で行われたから、カメハメハ・スクールの特殊
性を広い視野から理解できなかったと、十五人の判事による大法廷の開催を要求し、了承された。
 
二十日の審理は約一時間半に亘り、双方の弁護団が各々の主張を述べた。 被告カメハメハ・スクールの弁護団は
五人の管財人とCEOを同席し、カメハメハ校の特殊性を強調し、人種問題に抵触しないと主張した。 これに対し、
原告側弁護団は、一九七六年のラニヨンVSマコレイ・ケースで黒人生徒の入学を拒否した私立校の行為は憲法違
反という合衆国最高裁判所の判例を参考にカメハメハ校も違憲であると主張した。
 
十四人の上告裁判事(一人は電話で法庭外から参加)は両者の主張は十分拝聴したとして結審は後日に先送り
した。 上告裁の裁決がどうなっても敗訴した方は合衆国最高裁まで上告するとほのめかしているので今回の上告裁
も通過点にしか過ぎないとみられている。 なお、上告裁の裁決は少なくとも六か月後の予定。
 
* ヒルトンが新タイム・シェアに着工 「グランド・ワイキキアン」
ヒルトン・グランド・バケーション(ヒルトン・ホテル子会社)が、ワイキ キのヒルトン・ハワイアン・ビレッジの駐車場とイリ
カイに挟まれた長方形 敷地に四棟目のタイム・シェア・ビル「グランド・ワイキキアン」を建設す る。 その鍬入れ式が
六月十五日、行われた。 同敷地にその他三棟のホテルが あり、計七棟目の高層ビル建設となる。 新ビルは三十
八階建て、一〜三ベッ ドルーム三百三十一室を有し、一〜四階までは商業用、完工は二〇〇八年秋 の予定。 
同敷地にはタヒチアン・ラナイとワイキキアンというハワイアン風 俗豊かなロッジとレストランがあった場所。
 
アラモアナ・センターに近いワイキキの入口に位置するヒルトン系の開発事 業はホテルとしても稼働できるタイム違
法シェアで資金を集め、揺るぎない地盤の最終整備に入ったと業界ではみている。 あとラグーンを整備すればワイ
キキで最も完備されたリゾートが完成される。同計画には交通渋滞の更な る原因になると地元民の反対もあった
が、道路整備により、反対意見を一蹴 した。 日本人にも根強い人気があるタイム違法シェアの人気はまだ続くと、 
ヒルトンの開発に業界ではエールを送っている。
 
* 住宅の違法レンタル 1日、千ドルの罰金
閑静な住宅地区の住宅を長期滞在の観光客に貸し出すことは違反行為だとして、ホノルル市政府は取り締まり
強化している。 今年に入って上五か月だけですでに十九人の住宅所有者に違反通告が出され、その罰金額は
四十二万九千ドルになると当局から発表された。
 
ハワイの観光業界は去年、七百六十万人と記録を更新した。ワイキキのホテルは多くがコンドに切り替えられた。
ホテルよりも一軒家を借りる方が安上がりと住宅をレンタルで貸し出している住民が増えた。 レンタルで部屋代を
とれる住宅はホノルル市の特別なパーミットが必要で、二〇〇五年の同条例 違反者は五人で罰金も三千ドル
であった。
 
ところが近年、投資目的で住宅を購入した米本土の住民が空屋になっている住宅(カイルア、カネオヘ、ラニカイ)
の貸し出しを始めた。 これらの宣伝告知はインターネットで行われ、中には夜中大声でわめいたり、奇声を上げる
利用者が増え、隣近所の住民がクレイムを出す様になった。 一般住宅の貸 し出し規制は去年の夏から厳しくな
り、罰金も一日、五十ドルから、一日千ドルにハネ上がった。
 
ホノルル市は今年すでに十九人に罰金通告を出し、その総額は四万三千ドル近くになった。 これまで市当局に
罰金を払うか、調停を申し込んだ違反者は九人。 払われた罰金は五千ドル。ヘンリー・エング担当官は、「ホノル
ル市 は一般住宅のレンタル・パーミッションを発行したのは一九八九年まで。 それ以降はパーミッションを発行し
ていません。 正式なパーミット所有者は約一千人ですが、現在インターネットに告知している件数は二千軒を超え
ます。 通告を受けた十九人の中、十人は無視しているようですが、早く調停に来な いと罰金は毎日千ドルづつ、
タクシー・メーターの様に上がっていきます」と説明している。 なお、一戸建て住宅をインターネットで借りる観光客
は何もとがめられない。
 
* 山火事取締法が施行 子供の放火は親に責任
去年一年間で、ワイアナエ地方の山火事は九百四十九件にのぼる。今年の州議会を通過し州知事が署名した
山火事取り締まり規制で、山火事の発生数が大幅に削減されると期待されている。 山火事の四割は放火によ
るとみられているが、これまでは山火事規制が州法にはなく、野放しの状態だった。 焼失したのは枯草で罰金も
罰則も何も規制されていなかった。 今年の州議会は山火事の原因が放火と解った段階で刑事事件として取り
扱われる。
 
規制は器物損失罪で一級から四級まで四段階に分けられ、罰金も二千五百ドルから一万ドルまで四段階。 勤
労奉仕を科せられる時もある。 さらに未成年者が放火した場合、その責任は親が背負うことになる。 「子供の放
火責任を親が負担する規制に賛成出来ないですネ。 今の子供は親の云うことを聞きますか? 全部無視されてい
ます。 そんな子供の責任を親にまわすのは親が可愛そうです」と反論する市民もいる。 「消防署が放火による恐
さを子供たちに教えることが先でしょうネ」とは教育関係者の一言。
 
* 市長の年俸は12万2000ドル 公選職、任命職7月から昇給
ホノルル市長、市会議員外任命職の給与(年俸)が七月から上がる。ホノル ル・サラリー・コミッションは四月下
旬。 三・七%から四・四%の昇給案を承認した。 同昇給案は市議会が否決しない以上、六十日後の七月一
日施行される。 これまでの市議会の動きでは否決する気配はない。 市長の意向も不明 だが、側近の情報では
去年につぐ昇給だが、否決の意向は表明していない。
 
同案で公選職と任命職の四十九人が恩典を受ける。 年間で十八万ドル余りの予算増になり、総額四百七十
万ドルになる。 昇給に反対する市民グループは、「不動産税が急上昇し、水道、下水代が軒並みに増税された
時期のお手盛りは好ましくない」と反対する。 更に、「局長は一律、四千万ドルの増額で十万七千八百五十ドル
に上がり、副局長も四千ドル増の十二万ドルになる。 二年前に四千ドル上がったばかりなので、二年間に八千ド
ルも上がる計算にな る」と苦情をこぼす。
 
チャールズ・デジュ市議も、「十八万ドルもの昇給は厳しい現状で市民に納 得して理解してくれという方が難しい」
と昇給案には不満だが、アン・コバヤシ予算委員長は、「任命職の昇給は久しく行われていない。 民間企業との
比較でも新年俸は高くない。 ただ我々の公選職の昇給案が含まれているのでお手盛りと云われても仕方がない
が、一括法案なので承認しないとなると苦しい」と公選職の昇給には賛成しないが否決もしにくい苦しい立場を表
明している。
 
市長の年俸が十二万二千ドルと四・六%上がるが、パートタイマーと云われる市会議員も四%の昇給が含まれ、
四万六千九百ドルと約千八百ドル上がる。 市会議長は約二千ドル上がって五万二千四百ドル(四%増)となる。
その他、検察官や補佐の年俸も平均、十万ドルを超える。
  
* マウイでブレンドされた 「オーシャン・ヴォッカ」 高陽社の深海水利用、ヒット商品になるか
オハイオ州で生産された無農薬で育ったトウモロコシ、大麦のアルコール成 分をコナ沖合の深海水でブレンドした
ヴォッカが七月から市販される。酒好 きの若者たちが自分たちだけで新しい酒が出来ないかと日夜研究を続け、
コ ナ沖の深海水とオハイオ州のアルコールをブレンドして完成させたのが、マウイ産の「オーシャン・ウォッカ」会社
ハワイ・シー・スピリット有限会社。
 
今年二十九歳のシェイ・スミスさんが社長。兄弟と仲間が完成させた。 「酒の良さは水で決ります。 我々が試行
錯誤中にコーヨーUSA社の深海水に出会ったことが良質の『オーシャン・ウォッカ』完成の秘密です。 コナ沖、海
底三千フィートの深海水は地球の反対側のグリーンランドから来た水と聞いています。 この深海水を蒸溜させた
水と無農薬のトウモロコシ、大麦から抽出した、アルコールをマウイ島のカフルイの小さな実験室でブレンド。 これ
がマウイ高級なウォッカとなったわけです」。
 
七月から出荷の予定だが、ディストリビューターもこれから決めると云う。 一本三十五ドルから四十ドルというから
値段は高級。 メイド・イン・ハワイ の新しい目玉商品になるとスミス社長は意気込んでいる。
 
* オアフ島のホテル部屋数三万五千室を切る タイム・シェア、コンドテル急増
DBEDT(州企業経済開発・観光局)はこの程、二〇〇五年度末でのハワイ 州内の観光客宿泊施設動向を
公表した。 それによるとホテル部屋数は七万二千八百八十九室(前年度比0.4%増)と微増した。 豪華部屋
数は2.2%増だ が、エコノミー・クラスの部屋数は3.5%だった。
 
オアフ島ではタイム・シェアリングが25.9%と大幅に延びている。 ホテル からコンドに改装したコンドテルも11%と
二桁の伸び。 逆にホテル部屋数は、8.5%減少した。 州全体でのタイム・シェアリングは六千八百三十九ユニ
ットで、前年度より15.5%増えている。
 
ハワイ島は13.1%、マウイ島も4.4%とホテル部屋数は増加したが、カ ウアイ島は0.3%減にとどまった。 オアフ島
は5.1%減少して、三万四千 百六十七室となった。
  
* マストランジットは30億ドル? モイリリの高架鉄道は不評
オアフ島の朝夕の交通渋滞の緩和策として導入が予定されているマストランジット計画の中間報告がまとまり、
住民への説明会が始まった。 同計画はパーソンズ・ブリンカーオア・クエード&ミーダラス社が一千万ドルの予算
で分け、まとめが勧められているが、六月下旬中間報告を公表した。
 
今回の報告書では、高架鉄道のコンクリート柱上を走る二十三マイル(ルートによっては二十四マイル)。 平均
高さは三十フィートだが、モイリリのユニバーシティ・アベニューはH1ハイウェーの六十フィート上空を通るコンピ
ュータ完成予想図が公開されている。
 
同地区選出のアン・コバヤシ市議(予算委員長)は、「他の地区はまあまあですが、ハワイ大学終着駅近くの高
架道はかなり醜いですね。 最初はきれいな予想図を見せておいて、最後のHI上空にかかる高架道はいただけ
ませんネ」と不満気。 その他、技術が向上しトンネル工事が経費安となった。総工費は三十億を超えると公表。
 
ルート指定も終えていない。説明会では四候補ルートがそのまま説明されている。 一日の利用者数は十二万か
ら十五万人を予想しているが、料金も絞り込んでいない。 今回の報告書ではまだ全体像が浮かんでこない内容
になっている。 トンネルを利用するのか、民間企業との合弁はあり得るのか、同計画が完成しても投資金額に見
合う渋滞緩和は望めないという反対意見がプロジェクト担当者の中で堂々と述べる者もいる。
 
* ウォルマート9号店がカポレイに 2008年完成予定
世界最大手のディスカウント小売店、「ウォルマート」が、ハワイ九号店をカポレイに開店する。 オアフ島の第二都
市として開発が進むカポレイにウォルマト店は今年一月に開店したパールシティ店並みの九号店を開く。 完成は
二〇〇八年の予定。
 
同店のケビン・マコール・スポークスマンは、「カポレイ地区は若い世代中心のタウンとしてこれからも発展する。 そ
んな地区に似合った店舗開発をする」と、開店に自信をのぞかせている。
 
カポレイ店はマカキロ・ドライブのダイアモンドヘッド側のファリントン・ハイウェイ角に店舗面積十五万平方フィートの
統合ディスカウント店を予定。 ウォルマー ト店は州内にウォルマート店八店、サムス・クラブ(会員制)三店を運営、
四千五百人の雇用を抱える。
  
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● Made in Hawaii: メイド イン ハワイ <新シリーズ>
 第2回: チョコレート・カカオ (ハワイ島現地取材)
マヤ文明で知られるマヤ人は、西暦六〇〇年頃からメキシコのユカタン半島でカカオを耕作していたといわれる。 
メキシコ神話によると、カカオ飲料は、パラダイスの神々によって飲まれ、カカオ豆は、大気の神様の恵みとして人
間に与えられたという。 カカオを飲むと知恵や力が授かると信じられ、貴族の飲み 物であり、カカオ豆は貨幣とし
ての役割もしていた。
 
「世界ココア基金」の発表によると、カカオは、世界で毎年約三百万トン生産 され、過去百年間、カカオの需要は
毎年三%ずつ伸びている。 カカオ総生産の七〇%は西アフリカで生産され、残りの三〇%は、中南米、東南アジ
アなど、赤道に近い国々で生産されている。 最近ハワイもカカオ生産に加わり、ハワイ島やオアフ島でカカオが耕
作されている。
  
ハワイは、アメリカで唯一カカオが生育する土地だが、アメリカで唯一、アメ リカ産カカオ豆だけを使ったチョコレート
を作っているハワイ島コナの「オリ ジナル・ハワイアン・チョコレート・ファクトリー/The Original Hawaiian Chocolate
Factory」のカカオ農園と工場を訪ね、ボブ・クーパー社長に話を 聞いた。
* ひょんなことからチョコレート作り
ノースカロライナ州でカントリークラブのマネージャーをしていたボブ・クー パーさんは、何度かハワイにバケーションで
来るたびに、引退してハワイへ住むことを考えるようになり、一九九七年、ハワイ島コナに六エーカーの農場付の住
宅を購入した。
 
農園には、既にコーヒー、マカデミアナッツ、カカオの木が植えられており、敷地内には、カビたカカオ豆の入った袋が
放置されていた。 それまで農業には全く縁がなく、どうやってカカオからチョコレートが出来るのかさえ知らなかった
クーパーさんだが、農園のカカオの木に実が成っているのを見て感激し、その実からなんとかチョコレートが出来な
いものかと、試行錯誤を始めた。
 
ハワイで引退するつもりだったクーパーさんだが、カカオ生産に夢を膨らませ、一九九八年に、ケアアウにあった十四
エーカーのカカオ農園の経営を引き継いだ。 一九九九年には、ハワイ州企業経済開発観光局から二十五万ドル
のローンを得て、「オリジナル・ハワイアン・チョコレート・ファクトリー」を設立した。
 
クーパーさんは、フロリダ州のチョコレート・コンサルタントに相談したところ、「ハワイ産のカカオ豆と安い外国産のカ
カオ豆を混ぜれば、ハワイでもチョコレート生産が出来る」と言われたという。 クーパーさんは、それでは、ほんの僅
かしかコナ産のコーヒーが入っていないのに「コナ・コーヒー」と称しているコーヒーと変わらないと、プロのアドバイスを
受け入れなかった。
 
* 生粋のハワイ産チョコレートへのこだわり
ハワイ産のカカオ豆だけで作ったチョコレートを作ることにこだわったクーパーさんは、更なる試行錯誤を重ね、二〇
〇〇年九月二十一日、初めて生粋のハワイ産チョコレートが生まれた。
 
クーパーさんは、「チョコレートは世界中で作られていますが、大部分のチョ コレート会社は、カカオ豆を外国から
輸入してチョコレートを作っていて、カカオ農園まであるチョコレート会社は殆どありません。 ハワイには、カカオ農園
はありますが、チョコレート工場まであるところは今のところウチだけです。 
 
当社は、実際に農園で育てたカカオの木からチョコレートを作っています。 殆どのチョコレートは、エクアドルなどの
中南米で採れたカカオ豆を数種類ブレンドして作られていますが、当社のチョコレートは、ウチの農園とハワイ島の
カカオ農園で採れたカカオ豆だけを使ってチョコレートを作っています。 多分 世界で一番小さなチョコレート生産
会社ですが、アメリカ唯一のアメリカ産カカオ豆だけを使って作るチョコレート会社です。
 
砂糖きびやコーヒー、パイナップルを生産するには広大な土地が必要ですが、作付け面積の割には利潤がありま
せん。 当社は、かつての砂糖耕地のような広大なカカオ農園はありませんが、ハワイ島の六十五のカカオ農園か
らカカオ豆を買っています。 殆どがコナ、キャプテンクック地区の農園ですが、ヒロやパハラ、カウにもカカオ農園が
あります。 強い風はカカオの木によくないので、ハマクア地区やコハラ地区では カカオの木は育ちにくいです」という。
 
* 期待されるカカオ栽培
クーパーさんは、カカオは、ハワイの産物として伸びる可能性があり、将来コ ーヒー農園よりカカオ農園の方が増え
るかもしれないといい、その理由を次のように説明する。「ハワイの広大な砂糖耕地の跡地は、小規模多角化に
移行しつつあり、カカオもハワイのすきま農業の一つとして定着しました。 かつての砂糖プランテーションのように、
独占企業的な農業の仕方だと、会社に利潤があっても労働者に還元されることはあまりありません。
 
当社は、利潤を皆で分け合う方針ですから、カカオ豆を購入している農園に純益の一〇%を還元して います。
地域を大切にすれば、お金は地元ハワイに留まると思います。 コーヒ ー生産は、労力がかかる割には儲かりませ
ん。 コナ地区のコーヒー農園主が、『コーヒー生産では生活出来ない』と言って、最近何軒も本土に引っ越してい
ます。 カカオは、コーヒー栽培より数倍労力がかかりますが、利潤はいいの で、コーヒーよりカカオを栽培した方
が効率的です」
  
カカオの木
あおぎり科に属するカカオの木は、学名をTeobroma Cacaoといい、「テオブロマ」は、ギリシャ語で〈神様の食べ物〉
という意味を持つ。 カカオは、赤道の南北緯度二十度以内、年間平均気温二十七度C以上の高温多湿の所に
生育する。
 
木の高さは、七メートルから十メートル。幹の太さは十センチから二十センチ。 日陰を好み、大きな木陰の下で耕
作する。 大事に耕作すれば、百年近くカカオ豆が収穫出来るという。 カカオの木は、大きく分けて三種類あり、耕
作し易いため、市場の約八五%を占めるのが「フォラステロ種(Forastero)」。 香りが強く、実は熟すと黄色になり、
中のカカオ豆の果肉は紫色で、主に西アフリカと東南アジアで耕作されている。 病害虫に弱く、耕作が難しいため
耕作率は、全体の約一三%と低いが、独特の香りがあり、最高のカカオだと言われるのが 「クリオロ種(Criollo)」。
実は熟すと赤や黄色になり、カカオ豆の果肉は白 く、主に中南米で耕作されている。
 
カリブ海のトリニダッド島では、十七世紀後半に「クリオロ種」のカカオを耕作していたが、ハリケーンで全滅したので
、次に「フォラステロ種」の耕作を始めた。 実は、全滅したと思われた「クリオロ種」が僅かに生き残っており、「フォラ
ステロ種」と「クリオロ種」の自然交配種である「トリニタリオ種 (Trinitario)」が生まれた。
 
「トリニタリオ種」は、主にトリニダッド島に生育しているが、自然交配種ゆえに品質にばらつきがある。 同じ種類の
カカオでも、産地や土壌、気候、カカ オ豆の乾燥や醗酵の仕方の違いにより、味に違いが生まれる。 クーパーさん
は、「当社では、かつてはフォラステロ種だけを生産していましたが、最近クリオロ種の生産も始めたので、その内ク
リオロ種のチョコレートも作る予定です。 あるデータによると、世界人口の約八〇%がチョコレートを食べています。 
食べない二〇%の人は、食べると頭痛がするとか、病気やダイエットのため、食べないというのが理由です。 チョコ
レートは、殆どの人が食べる人気商品ですから、カカオは市場が確保された、耕作がいのある作物です」という。
 
* カカオ豆からチョコレートを作る過程
クーパーさんに、農園を案内してもらいながら、カカオの実からチョコレートを作る過程を説明してもらった。 カカオの
実は、パパイヤの実のように、木の幹に直接成っている。 カカオの花は、白くて小さい可憐な花で、花の側には、
三センチ程の実もすでに成っている。 これが熟すと、長さ二十センチ程のラグ ビーボール型の実になる。 熟した
実に切れ目を入れて、半分に割ると、中には白いネバネバしたパルプ(Pulp)に包まれたカカオ豆が詰まっている。
カカオの実は、一つずつ手で切り、中の実を出す。 カカオ豆の周りのパルプは甘いので、その部分を食べるために
実を買う人も中にはいるという。
 
● 醗酵/Fermenting:
パルプの付いたカカオ豆は、屋外にある木箱に入れて、六日間醗酵させる。
● 乾燥/Drying :
カカオ豆の五五%は水分なので、天日で乾かし、三週間から四週間で水分を七%に減らす。
この水分七%のカカオ豆は、七年間保存することが出来る。
 
クーパーさんは、「大量生産をしているチョコレート会社は、せいぜい六か月くらいしか寝かせませんが、ウチでは
二年間寝かせています。 そうすることで芳醇なフレーバーが生まれます。 殆どのチョコレート会社は、乾燥したカ
カオ豆を買いますが、そうすると乾燥の仕方の違いで、フレーバーにばらつきが出来てしまいます。 ですから当社
では、パルプが付いた状態のカカオ豆を他の農園から買っています。 そうすることで、当社の基準に合った醗酵や
乾燥をさせることが出来ます」と説明する。
 
水分七%になったカカオ豆は、住宅を改造した工場に運ばれる。 クーパーさんは、チョコレート会社を始めるのに
一番困ったのは、チョコレートを作る機械が、どれも大企業向きに作られているので、家内工業的な工場には、
大きすぎて、高すぎたという。 彼は、色々工夫を重ね、コーヒー焙煎機やエクササイズマシーンのトレッドミルな
どを改良して作った機械に、ガムテープをフル活用し、次の行程を行っている (ちなみにクーパーさんは、ご自身
の創意工夫にかなりご満悦の様子)。
 
● 選別/Cleaning:
悪い豆やゴミを取り除き、品質の良い豆だけにする。
 
● 焙煎/Roasting:
豆を煎ってカカオ豆特有の味を引き出す。
 
● 分離/Winnowing:
豆を砕き、殻を取り除く。殻が取り除かれたものは、カカオ・ニブス(Cacao Nibs)と呼ぶ。殻は、花壇にばらまくと、
チョコレートの香りのする花が咲くので、殻の需要もあるという。
 
● 精錬/Conching:
コンチェ・レファイナーという機械で、カカオ・ニブスをすり潰し、ペースト状に なったものをカカオマスという。 長時間
かけてカカオマスを滑らかになるまで練り上 げ、チョコレートの香りを最大限に引き出す。 滑らかになったカカオマ
スに、砂糖、ミルク、バニラエッセンス、ココアバター(カ カオ・ニブスから搾油したカカオ豆の脂肪分)などを作るチ
ョコレートの種類により分量を加減して混ぜ合わせる。 よくかき混ざったら、レシチンを加え、更に練り上げる。
 
● 調温/Tempering:
チョコレートの温度を調節して、含まれているココアバターを安定した結晶にし、液体状のチョコレートにする。 
 
●充填/Molder:
充分滑らかになった液体状のチョコレートを一つずつ型に流し込み、振動を加えて気泡を取り除く。 
 
● 冷却/Cooling:
冷却室でチョコレートを冷やして固める。  ココアバターや砂糖などが分離して、結晶が均一にならないことをブル
ーミン グ(Blooming)と呼び、商品にならないが、ブルーミングした場合は、もう一度溶かしてやり直す。 
 
● 型抜き/Demolder:
チョコレートが冷えて固まったら、一つずつ手で型からチョコレートをはがして包装する。 丁寧に手作りされたチョコ
レートなので、ハワイだけでなく本土のシェフからも注文があり、大部分をレストランに卸しているという。
 
カカオは甘いと思われがちだが、実は苦い。甘いのは砂糖やミルクなどを加えられたチョコレート。チョコレートは、
基本的に三種類あり、カカオ含有率が高いもの(五〇%〜七〇%以上)は、ビターチョコレート。カカオ含有率
が低く(約三〇%)、ミルクが加えられたものは、ミルクチョコレート。 カカオマスを全く含まず、ココアバターだけで
作られたものは、ホワイトチョコレートという。ココアは、カカオ・ニブスを搾油し、ココアバターを除いたものを、砕い
て粉状にしたもの。
 
カカオには、ガンや動脈硬化などの原因と言われる活性酸素を抑える効果のあるカカオポリフェノールが含まれて
いる。 この他にもビタミンA、B1、C、D、Eなどに加え、マグネシウム、カリウム、リンなどのミネラルも豊富に含まれ
ている。 だからと言ってミルクチョコレートを大量に食べると、糖分や脂肪分も沢山摂ってしまうので、一番いいのは
カカオ・ニブスを食べることだという。 カカオ・ニブスは、自然食品店などで買えるが、チョコレートとは程遠い苦い味
がするので、健康食品の域を出ない。 やはり多少甘みのあるビターチョコレートを少しだけ食べることをお勧めする。
 
Acknowledgements:
 ・ Hawaii Visitors Convention Bureau
 ・ Big Island Visitors Bureau
 ・ PacRim Marketing Group, Inc
 ・ Hilton Waikoloa Village
 ・ Dollar Rent A Car
 ・ Ken Love
 
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