バックナンバー: 2006年 6月 1日
● トップ: さらに多角化が進むハワイの農業

  農作物の新傾向や農業ツアーについて探る

 * 「ハワイの有機作物生産が伸びそうです」
       --- ハワイ州農業局農業開発部部長のマシュー・ロク博士
 * 「”農業ツアー”は、将来大いに伸びると思います」
       --- ハワイ大学熱帯植物・土壌科学教授のケント・フレミング博士
● ハワイは今
 * 州議会閉幕 --- 6億ドルの余剰資金分配、 公立校施設整備に50%を振り当てる
 * 3度目の暴行犯を終身刑にスリー・ストライク法施行
 * ガス・キャップ法の廃止法案成立
 * 水道代58%アップ!!11年ぶりの値上げ
 * 州政府、ホノルル・シンフォニーに400万ドル支援
 * 今夏のサマー・ファン、キャンセル? --- 目玉バス・ツアーはコスト高
バックナンバー: 2006年 6月 1日
● トップ: さらに多角化が進むハワイの農業
    農作物の新傾向や農業ツアーについて探る
ハワイの主要砂糖プランテーションが閉鎖して約十年になる。 パイナップルも、労働賃金の安いタイ、フィリピン、
ブラジル、インド、中国など、外国から安 く輸入出来るようになり、「フレッシュ・デルモンテ・プロデュース社」は、
既にハワイでのパイナップル生産を二〇〇八年で終了すると発表している。
 
かつてハワイの主要産業だった砂糖やパイナップル生産が下火になるにつれ、多角農業が生まれていることは、
これまでも小紙で紹介しているが、今回は、砂糖プランテーションの跡地に生まれた農業が定着しているかどう
か、最近の農作物の傾向や問題点について、ハワイ州農業局農業開発部部長のマシュー・ロク博士に聞くとと
もに、最近静かなブームになっている「農業ツアー」について、ハワイ大学熱帯植物・土壌科学教授のケント・フ
レミング博士に聞いた。
 * 「ハワイの有機作物生産が伸びそうです」
  --- ハワイ州農業局農業開発部部長のマシュー・ロク博士
ハワイでは経済の低迷が続いていますが、ハワイの農業は拡張していますし、多角農業の生産高は、一九八四
年から着実に伸びています。 砂糖耕地は、かなり縮小されたとはいえ、ハワイ州でまだ一番作付け面積が広い
ですし、二番目がパイナップル、三番目がマカデミアナッツ、四番目がコーヒーです。
 
二〇〇四年度の作物別生産高の順位は、観葉植物や花などが一位、パイナップル、砂糖、トウモロコシの種、
マカデミアナッツ、牛肉、牛乳、コーヒーと続いています。 ハワイの農業関係の新たな傾向は、最近有機作物の
需要が伸びていることです。 その内の多くを本土などから輸入していますが、有機野菜や果物には虫が付きや
すいので問題です。
 
二か月ほど前、本土からの有機作物の輸送荷物を検査していた植物検疫官は、一つの荷物から三十六種
類の虫を発見し、その内、十九種類はハワイにいない虫でした。 本土や外国からの荷物と共に外来種が入
って来ると、ハワイの生態系を壊しかねないので問題です。 州農業局としては、ハワイの消費者が有機作物
を求めているのに、本土の生産者に「ハワイに輸送しないで下さい」と言う権限はありません。
 
消費者が求めているものを地元でもっと生産すべきですから、農業局では、ハワイ大学農学部などと協力して、
生産者にもっと有機野菜や果物を耕作するように指導しています。 本土のほとんどの州では、作物に虫が付い
ても冬の間に死んでしまいますから、春に新たな作物を耕作するのはそんなに大変ではありません。 でも、ハワ
イは暖かい所ですから、寒い土地に比べて虫が付きやすいです。
 
ハワイの有機作物栽培は、どうしても本土に比べて不利ですが、地元で耕作すれば輸送費がかかりません。
新鮮な有機作物の需要は確実にありますし、これから益々伸びると予測しています。 ハワイの農業も国際競
争に勝つためには、他で生産していない産物を作らないといけません。 日本では、四角いスイカが販売されて
いますし、本土ではハート型のメロンが生産され、高価にもかかわらずバレンタインデーにはよく売れています。
 
スイカも黄色いスイカと赤いスイカを交配させたオレンジ色のような新しいス イカも出回っていますから、ハワイ
も競争相手に勝つためには、食用になる蘭を生産するとか、何か新しいことを考えないといけません。 ハワイ
島ハマクア砂糖プランテーションの広大な跡地は、プランテーション式農業から、小規模農場の特産品生産
に移行しつつあります。 作物に付加価値を付けて売れるものや、単価の高い農産物の生産が増えつつあり、
この傾向は益々続く見込みです。
 
ハワイの主要作物
■砂糖
ハワイの砂糖プランテーションが閉鎖して約十年が経ちます。 一九九四年にはハワイ島ハマクア砂糖会社が
閉鎖しましたし、翌年には、ヒロのプランテーションが閉鎖しました。 オアフ島では、クニア、カポレイ、ワイアル
アの砂糖きびプランテーションが一九九五年に閉鎖しています。
一九九九年にはマウイ島ラハイナの砂糖プランテーションが閉鎖しましたが、ハワイの砂糖生産は終わったわ
けではありません。 カウアイ島の「ゲイ&ロビンソン社」と、マウイ島の「ハワイアン・コマーシャル&シュガー社」
は、二〇〇三年には、六千四百万ドルの砂糖を生産しました。
 
今ガソリンの値段が随分上がっているのは、ガソリンを殆ど輸入に頼っていることが原因の一つです。 これから
益々ガソリン以外のエネルギー源が必要になりますから、「ハワイアン・コマーシャル&シュガー社」では、砂糖
を使ってエタノールを生産することを研究しています。
「ゲイ&ロビンソン社」もエタノール生産を考えているようですから、ハワイの砂糖生産は随分縮小されましたが、
砂糖でガソリンに代わるものが出来るの なら、砂糖生産が復活するかもしれません。
 
■パイナップル
パイナップル生産も縮小されています。ハワイの三大パイナップル生産会社が全て縮小の方向に向っています。
「ドール社」と「マウイパイナップル社」は 生産縮小していますし、「デルモンテ社」は、二〇〇八年にハワイでの
パイナ ップル生産を中止すると発表しました。
ハワイの主要作物生産の縮小は、ハワイの農業に大きな影響を与えていますが、同時にハワイの多角農業の
生産高が伸びています。 これまで生産していた一般的なパイナップルの生産が減り、バラエティに富んだパイ
ナップル生産に移行しています。 以前のパイナップルより甘く、低酸度のパイナップルや、ピンクや白いパイナ
ップルも生産され始めています。
 
■マカデミアナッツ
マカデミアナッツは、賃金の安い外国でも生産を始めたので、一九九七年には、四千三百五十万ドルの生産
高がありましたが、二〇〇三年度は、三千九万ドルに落ちています。
マカデミアナッツは、オーストラリア、南アフリカ、ケニア、中国、グアテマラ、ブラジルなどでも生産していますから、
これから益々国際競争が厳しくな る見込みです。
 
■コーヒー
コーヒー生産は順調に伸びています。以前コーヒーはハワイ島だけで生産されていましたが、今ではマウイ島、
カウアイ島、オアフ島、モロカイ島のコーヒ ー生産も順調になりましたし、有機栽培のコーヒーも伸びています。
普通のコーヒー豆は、種が二つに分かれていますが、種が分かれていないピーベリー・コーヒーは、普通のコ
ーヒーより凝縮された味がするので、エスプレッソコーヒーや苦みの強いコーヒーを好む人に人気があり、生産も
増えています。
一九九二年の生産高は、四百八万ドル。 一九九七年がこれまでの最高で、二千八百二十万ドル、二〇
〇五年は、二千四百三十二万ドルでした。 今年は、作付け面積も昨年より八千エーカー増えていますから、
収穫も増える見込みです。
 
■観葉植物
造園用の観葉植物は、目覚ましい生産高の伸びをしています。 二〇〇四年には、九千四百五十二万ドル
の生産高があり、現在ハワイの主要農産物の一つとして君臨しています。
一方、蘭の生産高は落ちています。 最近東南アジアからも安価で蘭を輸入出来るようになったので、ハワイ
の蘭の栽培者は強力な競争相手が出来てしまいま した。 やはり国際競争に勝つためには、常に市場調査を
して競争に勝つ工夫をしないと、安くて良いものを提供する競争相手に負けてしまいます。
 
■トウモロコシの種
種子、特にトウモロコシの種は、ハワイでとても伸びている産業です。一九九 五年から一九九六年にかけては、
種子の生産は二百二万ポンド、生産高は一千三百万ドルでした。その九六%がトウモロコシの種の売上です。
種子の生産も生産高も、毎年順調に伸び、二〇〇四年から二〇〇五年にかけては、六百八十万ポンド、生
産高は六千二十万ドルでした。 その内の九二%がトウモロコシの種によるものです。 トウモロコシの種子は、
今ではハワイの主要産物の一つであり、これからも益々伸びると思います。
 
■バナナ
生産高は、一九九七年には、五百二十万ドル、二〇〇一年がこれまでの最高で一千六十四万ドル、二〇
〇四年は八百八万ドルでした。 バナナは、市場の五五%が 地元ハワイ産のバナナで、四五%が、グアテマラ、
コスタリカ、エクアドル、ホ ンジュラス、コロンビア、メキシコなどからの輸入品です。
二〇〇〇年には、地元産のバナナが七六%、輸入が二四%で、年々安い中南米産のバナナに押されている
状態です。 国際競争が激しくなっている上に、ハワイではビールスなどの病気が発生しているので、地元生産
者は厳しい競争を強いられています。
 
■パパイヤ
ハワイのパパイヤ市場は一〇〇%ハワイ産のものですが、生産高は最近落ちています。 一九九七年には、
一千八百九十七万ドルでしたが、二〇〇三年には、一千三百六万ドルでした。
以前は日本へ少し輸出しており、伸びる産物だと期待されていましたが、日本では遺伝子組み換えしたパ
パイヤを輸入しない方針なので、生産者の思惑が外れてしまいました。 今年は長雨の影響もあり、生産は
落ちるだろうと予測しています。
 
■サラダ野菜・ハーブ
最近みんな健康的な食事をすることに気を付けていますから、サラダ野菜やハーブの需要が増え、生産も伸
びています。 二〇〇三年、ベイジル(ハーブの一種)の生産高は、四百九十六万ドルで、ハワイ州の作物別
生産高順位では、しょうが (十九位)を上回る十七位でした。
パセリも、ハワイで七〇%が生産されていますし、その他のハーブも生産が伸びています。 ハーブは軽いです
から、航空便で本土に送られていますし、これから 益々伸びると思います。
 
■しょうが
ハワイ州で売られているしょうがは、ほとんど地元で生産されていて、その内のほとんどがハワイ島で生産され
ています。 一九九三年は、九百九十万ポンドが生産され、五百二十四万ドルの生産高がありました。 二
〇〇五年は、五百十万ポンドが生産され、生産高は四百八万ドルとやや下がっています。
生産や生産高が減ったのは、バクテリアなどによる病気が発生しているのと、本土では中国産のしょうがが出
回っているため価格が下がったことが原因です。
 
■トマト
最近、トマトや小さいチェリー・トマトの生産は目覚ましい伸びがあります。 二 〇〇四年は、一千百十万ドル
の生産高があり、ハワイの農業総生産高の二〇%がトマトによるものでした。
 
■タマネギ
ハワイでは、マウイオニオンが有名ですが、ハワイのタマネギ市場の地元産の占 める割合は少ないです。 二〇
〇〇年には二一%でしたが、二〇〇四年は八%に減 っています。 本土ではタマネギを大規模農場で生産し
ていますから、価格競争で 負けてしまいます。
 
■タロ芋
ハワイ州では、一九九三年に、六百万ポンドのタロ芋を生産しましたが、二〇〇五年には、四百万ポンドに
減りました。 生産高も、一九九七年には二百八十万ドルでしたが、二百十六万ドルに減っています。
タロ芋の需要は減っていませんが、アップル・スネイルというカタツムリがタロ芋を食べてしまうので、商品にならな
いものが増えてしまったことが一因です。 二〇〇四年、ハワイ州のタロ芋市場の地元産の割合は三%でした。
 
■蜂蜜
ハワイの養蜂業は伸びています。 二〇〇〇年の蜂蜜の生産高は、六十四万ドルで したが、二〇〇四年には
百八万ドルに伸びました。 ハワイには、キアベの木が沢山生えていますから、養蜂業者はハワイ全土にいますし、
オアフ島では、マノア、ダイアモンドヘッド、ナナクリ、カライロアなどの地区で養蜂が行われています。
 
■大根
ハワイのスーパーで売られている大根は、100%地元産で、日本語の「ダイコ ン」という名前で売られています。
二〇〇〇年には、二百七十五万ドルの生産高がありましたが、二〇〇四年には百七十万ドルに落ちています。
 
新しい作物
■ラベンダー
ラべンダー生産は、オレゴン州やワシントン州が有名ですが、最近はマウイ島でも三社がラベンダーを生産してい
ます。 ラベンダーは精神安定剤のような働きがあるのでアロマセラピー用のオイルが作られていますし、石鹸、乳
液やクリームなどのスキンケア製品も作られています。
また、ラベンダーティー、ラベンダーコーヒー、ラベンダーサラダドレッシング などの食品も作られていて、意外な組
み合わせですが美味しいです。 ハワイのラベンダー生産はこれから増える兆しがあります。
 
■ドラゴンフルーツ
オアフ島ノースショアやハワイ島コナコーストでは、東南アジアの人にはよく知られているドラゴンフルーツの生産
を始めました。 ピンクと黄緑色のカラフルな果物ですし、長持ちするので、食べる前に、三週間ほど見て楽しめ
ます。 やや高価ですが、珍しいので贈物にも向いています。
 
■カカオ
ハワイのカカオの生産は多くありませんが、ハワイの新しい作物として定着しそうです。 ハワイ島ヒロでは、「ハワイ
・チョコレート・カンパニー」が、カカオを耕作し、チョコレート製品を販売していますし、オアフ島のノースショアでは、
「ドール社」がカカオの生産を始めています。
カカオには、いろんな栄養素が含まれているので、最近では砂糖や牛乳を加えて チョコレートにするだけでなく、
様々な料理に使われています。 「アラン・ウォング・レストラン」は、ハワイ産のカカオを購入し、本土に送って加工
させ、料理に使っています。
 
■いちご/ブルーべリー
マウイ島ウルパラクアでは、いちご生産が定着しましたし、ハワイ島では、色んな種類のブルーベリーの耕作を試
していて、うまくいけば生産に入ると思います。
 
■マッシュルーム
ハワイ島ハマクア砂糖きびプランテーションの跡地には様々なものが栽培されていますが、中でもマッシュルーム
は新しい作物です。 高級レストランなどにも卸されていて好評ですから、これから伸びる可能性は充分あります。
 
■バニラ
バニラは、最近ハワイで成功している農作物の一つです。 バニラエッセンス、バニラビーンズ、バニラティー、バニ
ラコーヒーなどの食品に加えて、シャンプー、シャワージェル、ローション、クリームなどのスキンケア製品も作られ
ています。
「ハワイ・バニラ・カンパニー」は、ハワイの著名レストランと提携してビジネスをしていますし、以前は、「メドウ・ゴー
ルド」と提携してアイスクリームを作っていましたが、今は「ロゼラニ・アイスクリーム」と提携してバニラアイスクリー
ムを作っています。 バニラ製品の種類も豊富ですし、これから益々伸びる だろうと思います。
 
■トロピカル・フルーツ
ランブータン、ライチー、ロンガン、チェリモヤ、スターフルーツなどのトロピ カル・フルーツは、比較的高価ですが
需要はあります。 トロピカル・フルーツの 二〇〇〇年の総生産高は、百三十二万ドルでしたが、二〇〇三年
には、二百十二万ドルに伸びています。 トロピカル・フルーツは、主にハマクア地区で生産されていますが、こ
れから伸びる可能性の高い産物です。
 
■ポインセチア
ノースショアの「アルヴィオン」という会社は、クリスマスシーズンに合わせて ポインセチアを生産しています。 

の会社は、ワイアルア高校と提携して、次世 代の農業生産者を育てるために積極的に高校生を雇っています。
 
林業と水産業
■林業
一九九七年より、ハマクア砂糖きびプランテーションの跡地にユーカリプタスの植林を始めましたが、まだ伐採
するには至っていません。 充分に成長したユーカリプタスは、合板を作る予定ですが、まだその合板を作る工
場などの設備が出来ていません。 コアの需要は常にあるので、コアの植林もされていますが、コアは成長が遅
く自然林で生育させる方が楽なので、伐採出来るようになるには長い年月がかかります。
 
■水産業
ティラピア、エビ、ヒラメなどの海洋生物の養殖は、最近ハワイでとても伸びている産業ですし、あわびや海洋深
層水は、日本への輸出が伸びています。 藻類から作られるサプリメントの需要が伸びているので、二〇〇三年
の藻類の生産高は、一千百八十四万ドルで、作物別生産高の順位は、バナナ(十二位)より上位の、九位
でした。
「コナ・ブルー・ウォーター・ファーム」というハワイ島の会社は、カンパチを養殖していますが、本土でも日本語の
〈カンパチ〉という名前で売出しています。
 
農業の問題点と新分野
■盗難
ハワイの農業に於いて、盗難は大変深刻な問題になっています。 二〇〇四年、ハワイ州の農業関係の盗難
や畑荒らしによる被害総額は、農業総生産の一七%の一千四十万ドルにも上り、ハワイ州の六農場に一件
の割合で被害に遭っています。
 
ホノルル市郡地区では、全ての農場の二七%が、盗難か畑荒らしの被害に遭っていますし、マウイ島のワイル
ク地区では、四三%の農場が被害に遭っています。 オアフ島のカフクやノースショア地区には、警官が三、四
人しかいません。 しかもその人数で、交通事故や他の犯罪なども全て扱わないといけないので、農作物の盗
難や畑荒らしにまで手が回らない状態です。
 
被害は、作物だけに限らず、肥料や農薬、農機具なども盗まれたり、壊されたり していますし、家畜や蜂蜜、
養殖している魚介類も盗まれています。 魚を盗むには、タモや網、バケツなどの道具が必要ですから計画的
な犯行です。 作物や農機具を壊したり、畑荒らしをするのは、若者の犯罪が多いですが、作物や肥料などを
盗むのは、ドラッグ中毒者が現金欲しさにする犯罪が多いです。
 
蜂蜜を盗むには、蜂に刺されないようにしないといけませんから、同業者か養蜂についてよく知っている人が盗
んでいる可能性が高いです。 盗んだものは、自分で食べてしまう場合もありますが、チャイナタウンやオープン
マーケットで売って現金に変えている可能性が高いです。 ハワイ島カウの農場では、カウ・オレン ジという見栄
えは悪いが美味しいオレンジを生産していましたが、木の上に見張り台まで作って盗む悪質な泥棒が絶えませ
んでした。
 
被害総額や警備にかかる費用が高くなり過ぎて、どうも農場閉鎖に追いやられたようです。 盗難被害が続くと
採算が合わず、農場の運営自体が難しくなる場合もありますから大変深刻な問題です。
 
■農業ツアー
「農業ツアー」は、農場が副業として、観光客のために農場や作物について学ぶツアーをしたり、農場で作物
や商品の販売をすることです。 農場が運営している民宿や、農場で行うお祭りやイベントも「農場ツアー」に含
まれます。 観光業は、最近やや伸び悩み状態ですが、「農業ツアー」は伸びています。 二〇〇〇年には、ハ
ワイ州では八十四の農場が「農業ツアー」をしていましたが、二〇〇三年には、百四十五の農場に増えました。
  
二〇〇三年の「農業ツアー」による総収益は、三千三百九十万ドルに及んでいますし、HTA「ハワイ・ツーリス
ト・オーソリティ」は、「農業ツアー」の開発に予算を取り、様々な調査をしています。 「農業ツアー」が成功する
には、行きやすく、キレイで、いい香りがするようなツアーでないといけません。 農場が遠かったり、行きにくい
場所だったら面倒だし、臭かったり泥まみれになるようなツアーは敬遠されてしまいます。
  
ハワイの「農業ツアー」は、主にハワイ島の農園ツアーが主流で、蘭や苗木を育てている農園を訪れるツアーに
一番人気があります。 コナのコーヒーやマカデミアナッツ農園を訪れるツアーや、農園が運営している民宿も人
気があります。 ハワイ島の「農業ツアー」は、小規模のものが多いですが、オアフ島では、「クアロア・ランチ」や
「ドール・プランテーション」がかなり大規模な「農業ツアー」 をしています。
  
「農業ツアー」の問題点は、地域にはそれぞれ住宅地区とか農業地区という区画設定がありますし、カイルア
地区のように、地域によっては、観光客が来ることをあまり歓迎しない所もあります。ノースショア地区の住民
も、沢山の観光客が訪れるのを歓迎していませんし、道も狭いので大型観光バスが行き来するようになると、
道を塞いでしまいますし、交通渋滞の懸念もあります。
  
 * 「”農業ツアー”は、将来大いに伸びると思います」
       --- ハワイ大学熱帯植物・土壌科学教授のケント・フレミング博士
「農業ツアー」には、色んな定義がありますが、農業や農作物に関して何か学ぶ要素があるツアーを「農業
ツアー」と呼ぶのが一番正当だと思います。 「農業ツアー」は、実は「農業ツアー」という言葉が出来る何十
年も前からありました。 アメリカ東部では、ボストンなどの都市から車で郊外にリンゴを買いに行く人がいます。
 
車を一時間ほど運転して農園でリンゴを買うと、時間がかかる上に、ガソリン代もかかり、街でリンゴを買うよ
り随分高く付きます。 でも、そうやってリンゴを 買う人は沢山います。 それは、郊外へドライブして、景色を楽
しんだり、リンゴ 園やリンゴの木を育てて収穫するのは、どういうことかを知るのも楽しいからです。
 
ほとんどの人が、それまでリンゴの木や花がどういうものかさえ知らなかったのに、リンゴ狩りを機に、多かれ
少なかれリンゴについて学んで帰ります。 彼らは、買ってきたリンゴを友人に配り、リンゴ狩で知ったことを自
慢したりするので、それを聞いた友達は、自分も行ってみたくなって出かけます。 リンゴ園を訪れた人は、今
度からスーパーでリンゴを買う時には、そこのリンゴを選んで買うようになります。 リンゴ狩りをした顧客は、定
着率が高いのも特徴です。
 
本土ではカリフォルニアのナパ地区が「農業ツアー」で成功しています。 ナパには沢山のワイン醸造所があり、
カリフォルニアからだけでなく、世界中からワイン好きが訪れています。 ハワイでは、ハワイ島のコナからキャプ
テンクックの通称「コナ・コーヒー・ベルト」という地区が一番成功しています。 この地域には、コーヒーやマカデミ
アナッツの他、カカオやトロピカル・フルーツを生産している農園が沢山あり、農園ツアーをしています。
 
マウイ島のクラも「農業ツアー」で成功している所です。 クラには、プロテア農 園、ラベンダー農園、ワイン醸造
所、牧場などが、わりに近い場所に固まってあるので、農園が協力して農園地図を作りました。 その地図は、
空港や主要場所に置いてありますから、観光客は地図を見て、自分の好きな農園を巡れるのです。
 
「農園ツアー」で成功するには、狭い範囲に様々な農園があり、人が飲んでみたいとか、食べてみたいと思うも
のがないといけません。 「コナ・コーヒー・ベルト」には沢山のコーヒー農園がありますが、よほどのコーヒー好き
でない限り、コーヒー農園のはしごをするようなことはなく、色んな種類の農園を訪れているようです。
 
コーヒーを飲む人は多いですが、コーヒーの木がどういう木か知っている人はあまりいません。 「農業ツアー」に
行く人は、毎日自分が飲んでいるコーヒーが、どういう木になって、どのように収穫されて、どのように加工されて
いるか興味のある人が多いです。
 
ハワイの観光は、美しい海岸やゴルフ、ショッピングだけでは、他の南国の観光地とあまり変わりません。 ハワイ
は、もっとバラエティに富んだ、しかもハワイにしかないものを売り物にしないといけません。 コーヒーやマカデミア
ナッツは、本土にはありませんから、こういう「農業ツアー」は、これからのハワイの観光業にとって目玉になると思
います。
 
ナパへ行く人の目的がワイン醸造所であるように、ハワイへ行く目的が、海岸やゴルフではなく、コーヒーやマカ
デミアナッツ農園を訪れるためという人が益々増えると思いますし、それが第一目的でなくても、海岸やゴルフに
加えて、そういうことが出来るのは、ハワイの観光地に付加価値が付くことです。
 
「農業ツアー」をすることは、農園にも有利です。農産物の価格は変動しますから、丹精こめて作った作物を安
く売らざるをえない時もあります。 しかし、ツアーをすることで収入を安定させることが出来ますから、リスクが減
ります。 また、家族で農業を営んでいる場合、夫婦だけでなく家族全員で仕事分担して、ツアーをすることが
出来ます。
 
数年前、日本人観光客に行った調査によると、ハワイの海岸、ゴルフ、ショッピングには満足していても、「それ
以外に、あまりすることがない」という人が多かったのです。 でも、最近は日本人観光客もコナの農園によく訪
れています。 コ ーヒー農園の多くは、店舗を介さず、一般客に直接コーヒーを販売しています。  ある農園主に
聞いたところ、コーヒー売上の二五%は、農園での売上ですが、七五%はウェブサイトの販売だそうです。 その
七五%のほぼ全員が、その農園を訪れたことのある人だそうです。 つまり、一度訪れた人は、定着した顧客に
なる可能性が高いので、「農業ツアー」は、効率のよいビジネスだといえます。
 
マカデミアナッツは、賃金の安いブラジルや中国でも栽培を始めていますから、ハワイは厳しい競争を強いられて
います。 ハワイのマカデミアナッツはどうしても高くなってしまいますから、マカデミアナッツ自体を売るよりは、マ
カデミアナッツ農園ツアーを売った方が利益が上がると思います。
 
ノースショアのシュリンプ・ファームや牧場は、ツアーに興味を示していますが、反対している住民もいます。 大型
バスで観光客がどっと押し寄せることを懸念している人もいますが、ノースショアをワイキキ化するような計画はあ
りません。 ハワイ島で成功しているツアーは、クルーズ船が来た時に、マイクロバスで迎えに行き、いくつかの農
園を訪れた後、船に送り届けるものです。
 
ナパでも、今のところ農園を訪れる手段は、レンタカーやマイクロバスが主流ですから、小グループでのんびり行け
るのが「農業ツアー」の良さでもあります。 「農業ツアー」が成功するには、都市や観光地から近くないとダメです。
ナパは、 サンフランシスコから近いですから、サンフランシスコを訪れたついでに行けますし、「コナ・コーヒー・ベル
ト」もコナを訪れたついでに寄れます。 「農業ツアー」が成功する条件を色々考えると、ハワイ島のワイメアやヒロ、
マウイ島のハナなどは、今後「農業ツアー」が伸びる可能性のある場所です。
 
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● ハワイは今
    * 州議会閉幕 --- 6億ドルの余剰資金分配、 公立校施設整備に50%を振り当てる
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州議会閉幕 --- 6億ドルの余剰資金分配、 公立校施設整備に50%を振り当てる
二〇〇七年と、二〇〇八年の二年間の予算審議をする今年の州議会が、 予定通り六十日間の会期を五月
四日に閉幕した。
今州議会の焦点は税収入の余剰資金六億ドルの用途に終わった。 ハワイ 州経済の好調から税収入は当初
の予想を大幅に上回り、当初五億六千万 ドルの余剰額は、州議会半ばには六億ドルを上回った。 (同税収は
二〇〇六年六月三十日で終わる会計年度の実績でまだ会計年度は二か月を残 している。 余剰額は更に増
えるとみている)
  
リングル州知事は同余剰資金の用途として、「納税者が多く払ったのだから、少なくとも半分の三億ドルを納税
者に還元すべきだ」と、一月には議会筋にメッセージを送った。州議会は同資金を次のように振り分けた。
○ 遅れている公立校施設の整備費=三億三百万ドル
○ 公衆衛生、福利厚生費=七千六百万ドル
○ ハワイ大学施設整備費=五千五百万ドル
○ ホームレスの居住施設を含む住宅補助費=五千万ドル
○ エネルギー研究補助費=三千万ドル
○ 災害補助費=二千万ドル
○ 農業補助費=千五百万ドル
○ 納税者への還元=五千万ドル
    (納税者への還元額は三億ドルから一億二千万ドル、更に五千万ドルへと削減された)
 
三分の二以上の議席数を持つ、野党の民主党が法案審議の主導権を持つ 州上下両院は、リングル州知事
(共)の「納税者還元額は三億ドル」という主張を無視し、大半を公立校舎の施設整備に回した点について、「
公立校二百六十五校が抱える施設の整備問題は二十年間の積み重ね、予算不足で整備がないがしろにさ
れた。 三億ドルでも遅れを取り戻すには少ない。 子供たちを危険な施設に通わせる訳にはいかない。 それほど
にひどい実情を州民に理解して欲しい」と説明した。
  
* 3度目の暴行犯を終身刑にスリー・ストライク法施行
殺人から強盗まで広い範囲の暴力的犯罪者は、三回目の犯行で最低三十年から終身刑に付すという、通称
『スリー・ストライク法』(三振法)が成立した。 今年の州議会は暴力犯が繰り返し犯されていることから、米本
土の二十五州がすでに採用している「三振法」を審議、可決した。
 
リングル州知事は五月八日、「同法は州民の治安を守るために絶対に必要 な法案」と署名した。 暴力的犯罪
は殺人罪、謀殺罪、暴行罪、誘拐罪、性的暴行罪(レイプ)、十四歳未満に対する性的暴行罪、強盗罪、夜
盗罪「二度の夜盗罪の前歴がある十九歳の未成年者が三度目に他の暴行犯罪を犯した場合には終身刑に付
す」等である。 出入獄を繰り返す犯罪者が多い近年は、善良な市民の治安を脅かしているとして、暴行犯の取
り締まりを強化する「三振法」の採用に踏み切った。
 
同法の施行で検察当局は喜んでいるが、反対グループは、「ハワイ州の犯罪者は収監しきれない程多い。 すで
に千人余りを州外の刑務所に収監している。 同法を施行すれば刑務所不足は更にひどくなる」と主張する。 マ
ーク・ベネット州検事総長は、「暴行犯は、例え一人でも減る方が社会の治安を保てる。これでハワイはもっと安
全になるでしょう」と署名式に同席し、コメントした。
  
* ガス・キャップ法の廃止法案成立
ガソリン卸売り価格を統制し、安いガソリンを消費者に提供しようとしたガス・キャップ法の修正案が州議会最終
日に成立した。 同修正案は昨年九月に施行されたガス・キャップ法を廃案とした。 と同時に、今後ガソリン価格
をコントロールする時には、卸売り市場(米国内のニューヨーク、湾岸、西部の三市場)の他にシンガポール市場
を加えた四市場の平均価格にスライドさせるという算定方式を条件づけで修正案が成立した。
ガス・キャップ法に最初から反対していた共和党のリングル州知事は、五月五日(議会閉幕の翌日)に早々と関
係者を集め、同法案に署名した。 席上同州知事は、「ガソリンは一般市民の生活に密接に関係した重要な商
品だ。 その価格が高いといって統制することは、自由市場の制度を否定する不当な行為だ。 価格統制は公共
事業には適応できるが、一般市場は自由競争にゆだねるべきだ。 需要と供給で価格は決まる」と語り、ガス・キャ
ップ法の廃止を喜んだ。
 
* 水道代58%アップ!!11年ぶりの値上げ
ホノルル水道局理事会は五月十五日、十一年ぶりに料金引き上げを決定し た。料金引き上げは今年十月一
日から二〇一〇年七月一日までに五回、延べ五八%の引き上げを含んでいる。
試算は一般平均家庭が消費する水道量を二か月で二万六千ガロンとして現 行の四十九ドル七十二セントから
試算したもの。 水道代だけが収入の水道 局の年内予算を賄うために必要な値上げと説明している。一億二千
百万ドルの予算には年間一千万ドルの余剰資金が含まれている。
過去十一年間も値上がりがなかった水道代だが、今の四十九ドルから七十 八ドルと四年間で五八%の値上げ
となる。 一三%から五%と小刻みに上げ る必要については説明されていない。しかし値上げを理事会が決定し
た以上、最終決定となる。
 
* 州政府、ホノルル・シンフォニーに400万ドル支援
非営利団体のホノルル・シンフォニー財団が州政府から基礎基金として四百 万ドルの支援を受けることになった。
その他十五万ドルを青少年音楽基金と して受ける。 同基金を利用して、資金難で着手できなかった青少年音
楽教育 プロジェクトを始める。
 
五月に閉幕した州議会が、割り当てた四百万ドルをリングル州知事が、支出 を許可した。 財団ではそれまでに
集めた基礎基金と合わせると千四百万ドル になり、州議会の援助金条件の同額以上を積み立てることという条
件をクリアしたとして財団立て直しに明るい見通しが出来たと喜んでいる。 基礎基金 を二千万ドルまで集め、金
利だけで運営できる見通しが初めて立ったとコメ ントしている。
 
州政府は十年前にも運営難に直面したシンフォニー財団に二百万ドルを支援 している。 シンフォニー運営コスト
は年間三十万ドルと言われるが三十万ドルではシンフォニーの充分な公演活動が出来ない。 基礎基金の稼ぐ
金利が五%として、基金を早く二千万ドルまで集めたいとしている。
 
同財団のリン・ジョンソン理事長は、「シンフォニーの健全運営には二千万ドルの基礎基金が必要です。 州政府
からの後押しでやっと健全運営の見通しが立ちました。 これで演奏からコミュニティー活動まで動き出せます」と
嬉しそうに語っている。
 
* 今夏のサマー・ファン、キャンセル? --- 目玉バス・ツアーはコスト高
夏休みにホノルル市が主催するサマー・ファン・プログラムに参加する子供 たちは一万人に達するが、その子供
たちが最も楽しみにしているのが、バス に乗って遠距離ツアー(エキスカーション)。 今夏のバス・ツアーはキャ
ンセルされるかもしれないとプログラム担当者は頭を悩ませている。
 
今夏、バス業者が提示したバス利用代が二倍以上に跳ね上がり、四倍近くに跳ね上がった区間もある。 ひと
夏にサマー・ファンで利用されるバス・ツア ーは五百回を越え、今夏も五百三十回が予定されていた。
 
「去年までは一回のバス・ツアーの本人負担費は二ドルで済んだのですが、 今年は一回七ドルになるんです。 
高すぎるから、ツアーをキャンセルするし かないのです」と嘆くのはワイルア・ワイマナロ地区の支部長を勤める
マイ ルス・ハザマさん。 「バス・ツアーに代わる行事を模索中ですが、ウォター・アドベンチャーなど島の反対側
に行ったことのない子供たちにはバス・ツアーキャンセルは全く悲しい知らせになるでしょう」。
 
オアフ島のバス会社四社が提示した新料金は燃料費と人件費高騰によると説明されている。 最大手のバス
会社ロバーツ・ハワイ社のロバート・モアー支配人は、「経費の高騰に加え、今年からバス拘束時間も計算され
るようになったのです。 子供たちの事を思うと何らかの方法でバス・サービスが提供で きるように関係者を協議
しているんですが...」と苦しい事情を説明しながら も、前向きに協議したい発言をした。
 
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