バックナンバー: 2006年 4月 15日
● トップ: この3月、ハワイ州は1951年以来の大雨
                その原因を気象庁やハワイ大学の気象学者に聞く

  * 「ハワイに貿易風が吹かなかったことも長雨の原因の一つです」
    --- NOAA(米海洋大気局)気象庁・ネゼッテ・ライデル気象学者
  * 「この冬のハワイは、典型的なラニーニャ気象です」
    --- NOAA(米海洋大気局)・NCEP(米環境予測センター) 
         気候予測センター・開発支局長のコウスキー・ヴァーノン博士
  * 「ラニーニャ現象だけではない。その要因を調査中です」
    --- ハワイ大学・SOEST(海洋地球科学技術校)海洋学教授
         IPRC(国際太平洋研究センター)センター長のジュリアン・マッククレアリー博士
  * 「ラニーニャ現象に加えて、アリューシャン低気圧も弱かったのが原因です」
    --- ハワイ大学・IPRC(国際太平洋研究センター)海洋気候研究チームリーダー/気象学教授
          謝尚平(しゃしょうへい)博士
  * エルニーニョ現象とラニーニャ現象
● ハワイは今
 * ハワイアン・テレコム  --- 今年からテレビ事業に進出
 * 「ベイ・ビュー・ゴルフパーク」 新しいオーナーに変わる
 * ホノルルなど五空港  --- 大整備計画発表
 * マストランジット計画  --- 具体的停留所案を発表
 * ミリラニ周辺に新住宅五万五千計画  --- 地元は猛反対
 * ハワイ電力会社がエタノールの使用を発表
バックナンバー: 2006年 4月 15日
● トップ: この3月、ハワイ州は1951年以来の大雨
   その原因を気象庁やハワイ大学の気象学者に聞く
  * 「ハワイに貿易風が吹かなかったことも長雨の原因の一つです」
    --- NOAA(米海洋大気局)気象庁・ネゼッテ・ライデル気象学者
  * 「この冬のハワイは、典型的なラニーニャ気象です」
    --- NOAA(米海洋大気局)・NCEP(米環境予測センター) 
         気候予測センター・開発支局長のコウスキー・ヴァーノン博士
  * 「ラニーニャ現象だけではない。その要因を調査中です」
    --- ハワイ大学・SOEST(海洋地球科学技術校)海洋学教授
         IPRC(国際太平洋研究センター)センター長のジュリアン・マッククレアリー博士
  * 「ラニーニャ現象に加えて、アリューシャン低気圧も弱かったのが原因です」
    --- ハワイ大学・IPRC(国際太平洋研究センター)海洋気候研究チームリーダー/気象学教授
          謝尚平(しゃしょうへい)博士
  * エルニーニョ現象とラニーニャ現象
今年2月中旬から4月にかけて、ハワイ州では日本の梅雨のような曇天が続き、 時折ドシャ降りとなった。 気象
庁の発表によると、州全体の降雨量は1951年以来の記録的な大雨で、世界一降雨量の多い場所であるカウ
アイ島ワイアレアレ山の3月の降雨量は、観測史上最大の約2メートル38センチを記録。ホノ ルル国際空港でも、
1月から3月の降雨量は、昨年一年間の総降雨量より上回る異常事態になった。
 
この大雨により、カウアイ島ではダムが決壊して7人が亡くなった他、ハワイ各地で川が決壊して洪水になり、山
では地滑りも起こり、水量増加のため下水処理が充分に出来ず、アラワイ運河を経由してワイキキなどに流され
た。 また、大雨が原因でショッピングセンターや映画館が閉鎖されたり、農作物、観 光業をはじめ、長雨による
経済的被害は、州や市郡政府がまとめた4月上旬現在の見積もりは、2000万ドルに上ると言われている。
 
この異常な大雨の原因は何か、また、ハワイのいつもの天候と違う原因は何か、気象庁、気候予測センター、ハ
ワイ大学の気象学者に聞くと共に、この大雨の原因の一つとされるラニーニャ現象や、その反対のエルニーニョ現
象など、地球規模の異常気象の起こる仕組みなども聞いた。
  
  * 「ハワイに貿易風が吹かなかったことも長雨の原因の一つです」
    --- NOAA(米海洋大気局)気象庁・ネゼッテ・ライデル気象学者
ハワイは熱帯の近くにあるので、通常、アメリカ本土のような冬の嵐の影響 を受けることは殆どありません。 でも
、今年は地球規模で異常気象が起こっ ていて、北半球では特にそれが顕著です。アメリカ本土では非常に乾燥
して いますし、海岸線ではよく暴風雨になっています。 いつも冬季に嵐を引き起 こす太平洋の低気圧が、今年は
平年よりかなりハワイ寄りにあります。 そのため、ハワイは平年より冬型(雨季)の気象が著しく現れています。
 
この嵐を引き起こす気圧の状況が、ハワイの上層にずっと停滞したまま同じ 場所にありました。 熱帯性低気圧が
平年より南寄り(ハワイ付近)にあるこ とで、熱帯特有の水分を多く含んだ空気を刺激し、ハワイ上空に雨雲を作
り、雨を降らせました。 通常、ハワイではこのような嵐は、1、2回ありますが、 今冬は六週間以上も続きました。
 
雨は2月19日から降り始め、3月中旬までは、雨量も多く、強い雨が降りまし た。 3月後半は、雨が絶えまなく降
るようになり、晴れ間のない状態が続きま した。 州全体の3月の降雨量は、1951年以来の大雨を記録し、今年3
月のハワイ上空や北半球全体の大気の状態は、1951年3月の状態によく似ていました。 1951年は、3月だけが
異常に雨が多く、洪水による被害や農作物の被害総額は、130万ドルにも上りました。 しかし、3月以外の月には
あまり雨は降りませんで した。
 
カウアイ島のワイアレアレ山では、昨年12月、観測史上最も少ない降雨量を記録したのですが、今年3月には、
観測史上最大の降雨量を記録しました。こういうことは滅多にありません。特にカウアイ島の降雨量が多く、1月か
らこれまで の降雨量は、既に平年の降雨量を上回っています。リフエでは、通常年間約1メ ートル20センチの降
雨量がありますが、今年は、もうすでに約1メートル35センチの雨が降っています。
 
ホノルルでは、今年これまでに約48センチの降雨量があり、平年の年間降雨量に六センチほど満たないだけです。
今年のカウアイ島の3月の降雨量は、平年の3倍から6倍を記録し、オアフ島の3月の降雨量は、平年の2、3倍
を記録しました。  この冬、ハワイでは大量の雨が降りましたが、これは地球規模の異常気象の一つで、ハワイだ
けが異常なのではありません。
 
今年の冬は、ペルーやエクアドルで大雨が降り、洪水になっていますし、エチオピア、ソマリア、ケニアでは干ばつ
が長く続いています。 オーストラリアやマダガスカルの近くではサイクロンが発生していますし、世界各地で異常気
象が起こっています。 この冬、ハワイに貿易風が吹かなかったことも長雨の原因の一つで す。三月初旬、ウィンド
ワードのプナルウ付近に大雨が降ったのは、南東の風が 吹いたことが原因です。その後、3月下旬にオアフ島に
大雨が降ったのは、南南西の風が原因です。
 
通常の貿易風は、北東方向からハワイ諸島に風が吹いていますから、オアフ島では、風はコオラウ山脈に真正面
から当り、そのまま急速に山を駆け上がります。 山の気温は、高度が上がるにつれて低くなりますから、風は、山
の斜面に沿って登りながら冷やされ、次第に水分を含むようになります。 水分を多く含んだ冷たい空気は、雨雲や
霧になり、山の上では、雨が降ったり霧が発生したりします。ヌウアヌやパリで霧が発生したり、雨がよく降るのは
このためです。
 
これが通常オアフ島でよく見られる雨ですが、11月から四月の冬季になると、ハワイでは貿易風が弱まり、南か
らの風が吹きやすくなります。 この風は、ハワイでは 通常コナ風と呼ばれています。 コナというのはリーワード側
(南側)という意味で、 暖かく水分を多く含んでいます。 暖かい空気と冷たい空気が接すると、すぐに混じ り合
わず前線を作ります。コナ風が吹くと、前線面の下に寒気があり、その上に暖 気が乗り上げる形になります。 こ
の時、暖かい空気は前線面をゆっくりと上昇し、 段々水分を含むようになります。 この現象が前線上に乱層雲
を作り、雨を降らすことになります。
 
この暖気と寒気がぶつかる時に出来る前線は、双方の勢力がほぼ同じなので停滞しやすく、停滞前線になりま
す。 前線上に出来た乱層雲は横に広がっている上、停滞前線が移動しないため、何日も天気の悪い日が続き
やすくなります。日本でも停滞前線が動かない年は、長梅雨になります。 コナ風が吹くと、平野部や南側のいつ
もは乾燥している所に雨が降ります。この地域では、年間降雨量の殆どがこのコナ風による雨です。
 
これがいつものハワイの冬季の状況ですが、今年は、風がコオラウ山脈とほぼ平行に吹いたことにより、より雨が
多くなりました。 暖かい空気がコオラウ山脈のひだに入り込み、その空気が更に上に登るにつれて、ますます湿
気を含み、山ひだに停 滞しやすくなって、雨や霧をもらします。 三月上旬の雨は、風がコオラウ山脈と平行に吹
いたことによりますが、三月下旬には、風がさらに南寄りから吹き、ホノルル側にもかなりの雨を降らせました。
 
今冬のハワイの雨は、通常の冬季の雨より、コロラド州のデンバーや、ミズーリ州のセントルイス、オクラホマ州北
部に降る雨に似ています。 オアフ島には、雨を作 り出しやすい、ひだ状のコオラウ山脈があるのが雨の降る原因
の一つですが、今年は、南からの暖かい風が吹き続き、停滞前線が停滞し続けたことも長雨や大雨の原因の一
つです。 ですから、たとえオアフ島にコオラウ山脈がなかったとしても、この冬は雨が降る状態でした。
 
また、今は太平洋の海水の温度がやや低く、弱いラニーニャ現象になっています。 ラニーニャ現象になると、ハワ
イでは冬季に雨が降りやすい傾向になります。 今回の長雨や大雨がラニーニャ現象が原因だと断定することは
出来ませんが、ラニーニ ャ現象が助長していることは確かです。 通常、冬季は長くても四月くらいまでですから、
4月になると、それまでより雨が少なくなり、晴れ間が増えてきます。 また、いつもの貿易風も吹き始めますが、最
初の頃は湿った貿易風が吹くはずです。 ホノ ルル側は晴れ間が増えますが、コオラウ山脈付近は、まだ多少雨
が降る見込みです。
 
  * 「この冬のハワイは、典型的なラニーニャ気象です」
    --- NOAA(米海洋大気局)・NCEP(米環境予測センター) 
         
  気候予測センター・開発支局長のコウスキー・ヴァーノン博士
ハワイは、この冬典型的なラニーニャ気象だといえます。ラニーニャ現象になると、大気の対流が変わり、コナ低気
圧が出来やすい気圧配置になります。 今冬もカウアイ島の西にコナ低気圧が出来、その中心から反時計回りに
風を送り出しました。そ の大気は、動きながら段々水分を多く含むようになり、ハワイ方向に進んできます。 この
コナ低気圧が同じ場所に長く停滞したことが原因で、長期に亘りハワイ諸島に雨を降らせました。
 
通常、ハワイの冬季には、主にウィンドワード側に雨が降りますが、今回は、ウィ ンドワード側だけでなく、ハワイ
諸島全土に大雨が降っています。 また、今冬は、通常ハワイに吹いている貿易風も、平年に比べて弱くなって
います。これらは全てラニーニャ現象の影響だといえますから、今回の長雨の主原因はラニーニャ現象だ と言っ
て間違いないです。 「気候予測センター」では、今年初頭から太平洋のラニーニャ現象を確認しており、5月か
ら7月頃まで続くと予測しています。 でも、このラニーニャ現象が北アメリカの気候に与える影響は弱い見込み
です。
今年4月から6月にかけての地域別予測は、カリフォルニア州からカリブ海沿岸の州は、平年より気温が高くなる
見込みです。 ワシントン州からミネソタ州までの地域では、平年より気温が低くなりますが、その他の地域では、
平年より低くなる確率と高くなる確率がほぼ同じです。 アラスカ州西部、ハワイ州の北西部では、平年より高い
気温になり、ハワイ州全島、フィリピン、インドネシア北部で平年より降雨量が多くなる見込みです。
 
  * 「ラニーニャ現象だけではない。その要因を調査中です」
    --- ハワイ大学・SOEST(海洋地球科学技術校)海洋学教授
             
IPRC(国際太平洋研究センター)センター長のジュリアン・マッククレアリー博士
通常ハワイは、ラニーニャ現象になると雨が降りやすくなりますが、ラニーニャ現象になると必ずしも雨が多くなると
いうわけではありません。 また、ラニーニャ現象の時でも、今冬ほど大量の雨が降ったことはありませんから、何
か他にも原因があるはすだと考えています。
 
ラニーニャ現象になると大気が赤道付近で沈みます。 その結果、この余剰の大気が赤 道付近で両側に広がり、
海面近くに広がります。 この大気は、多くの水分を含んでいるので、ハワイ付近に近付くにつれ、ハワイの雨量が
増加します。 エルニーニョ現象になると、この反対の現象が起こり、ハワイでは雨が少なくなります。
 
通常オアフ島では、コオラウ山脈が誘因した雨が山脈付近に降ります。 ですから、もしコオラウ山脈が平地だった
ら、いつもあの辺りに降る雨は降りません。 しかし、今回の大雨は、ラニーニャ現象が誘因した大規模な地球規
模の大気の移動により、引き起こされています。 また、今回の雨は、ハワイ諸島がすっぽりと入る広範囲で雨が降
っていますから、いつもの雨とは違います。 今回のハワイの大雨は、ラニーニャ現象に加えて、何か別の要因もあっ
て起こったと考えています。 国際太平洋研究センターでは、数名の科学者が現在それに関する研究をしています
が、詳しい研究結果が出るのは少し先になりそうです。
  
  * 「ラニーニャ現象に加えて、アリューシャン低気圧も弱かったのが原因です」
    --- ハワイ大学・IPRC(国際太平洋研究センター)海洋気候研究チームリーダー/気象学教授
            謝尚平(しゃしょうへい)博士
今回のハワイの大雨の原因は、ラニーニャ現象が大いに関与しているという研究結果が出ています。 昨年12月
から今年3月までの太平洋熱帯地域の水温データを(大気大循環 モデル)という気象分析プログラムでシミュレ
ーションしたところ、今回の大雨の主原因は、ラニーニャ現象だという結果が出ました。 まだこれから詳細に結果
を分析しない といけませんが、10回のシミュレーション結果を平均してみただけでも、ラニーニャ現 象の影響で大
雨が降ったというのは明らかです。
 
ラニーニャ現象になると、必ずしもハワイに雨が多くなると限りませんし、毎回同じ状 況になるわけではありません。
でも、ラニーニャ現象が起こると、同じ気圧配置が暫く 続くことがあります。 これをブロッキング現象といいますが、
今回、ラニーニャ現象が前提状況となってブロッキング現象が起こり、ハワイの西方にコナ低気圧が停滞し、雨の
降る状態が続いたことも長雨の原因の一つです。
 
エルニーニョ現象とは別に、10年から何10年という長期にかけて起こる気候変動を(太平洋十数年気候変動
”Pacific Decadal Oscillation”)といいます。エルニーニョ現象と似ているところもあり、周期など違うところもあり
ます。 この(太平洋十数年気候変動)が、ハワイ付近を通る低気圧の位置や強さに影響し、ハワイの降水量に
変化をもた らします。今回、コナ低気圧とは別に、アリューシャン低気圧というアラスカ付近から ハワイ北部にまた
がる大きな低気圧もハワイの長雨の一因になっています。
 
アリューシャン低気圧は、「太平洋十数年気候変動」の影響で強くなったり弱くなったりし、長期的な気候変動
に大きな影響を与えます。 1976年頃は強かったですが、ここ数年弱くなっています。このアリューシャン低気圧
が弱くなっていることも、今回の長雨の一因です。 つまり、今回のハワイの長雨は、ラニーニャ現象が前提状況
となり、ブロッキング現象も起こり、加えて、アリューシャン低気圧が弱いことが重なって起こったことが原因だと思
います。
 
  * エルニーニョ現象とラニーニャ現象
世界各地に大雨、干ばつ、熱波などの異常気象を引き起こす原因と言われるエルニーニ ョ現象や、今回の
ハワイの長雨の原因の一つといわれるラニーニャ現象について、NOAA (米海洋大気局)に聞いた。
■ エルニーニョ現象
南米のペルーやエクアドル沿岸沖では、毎年クリスマス時期に海面の温度が一時的に高 くなる現象が見られ、
昔から地元の人は、エル・ニーニョ(el nino/スペイン語で小さ な男の子という意)と呼んでいた。 気象庁や大
学などの研究者たちが調査を始めたところ、南米沿岸だけでなく、太平洋の日付変更線あたりまでに及ぶ広い
海域で、海面水温が平年に比べて数度Cも高い現象が半年から1年半ほど続くことがあり、その現象は、数年
に一度起こることがわかった。
 
NOAAでは、この海域の月平均海面水温の平年偏差が六か月連続して〇・5度C以上の時を エルニーニョ現
象と定義した。 エルニーニョ現象が起こると、赤道海域で上昇気流が活 発になる。 それにより北太平洋高気
圧が強まり、大規模な地球上の大気の流れを変え、世界的に異常気象が起こりやすくなる。
 
1982〜3年にかけて起きたエルニーニョ現象は、今世紀最大規模といわれ、インドネシア、オーストラリアで干ば
つ、日本では長崎豪雨、山陰豪雨が起きた。 また、世界各地で疫病が流行し、世界中で約二千人の死者を
記録したほか、この時のエルニーニョ現象による被害総額は約81億1000万ドルにも上った。 人的被害に加え、
太平洋の珊瑚礁が破壊されたり、海洋生物の食物連鎖が崩れたことにより、ペルーやチリでは漁獲量が著しく
減少し、アメ リカ本土の一部地域では、蚊が大発生した。
 
エルニーニョ現象になると、日本では梅雨あけが遅くなり、極地的な大雨が降りやすくな るほか、冷夏や暖冬に
なりやすい。 アメリカ本土の一部地域では、12月から4月にかけて大雨になりやすく、ハワイでは渇水やハリケー
ンが起こりやすくなる。 1982年のハリケーン ・イヴァ、1992年のハリケーン・イニキは、エルニーニョ現象と深く関
係があるといわれている。
 
1997〜8年にかけて起きたエルニーニョ現象では、ハワイ島とマウイ島で深刻な渇水が起こ り、ハワイ島のパパイ
ヤ、マカデミアナッツ、コーヒー、タロ芋などの収穫が減り、生産 者や消費者に大きな経済的影響を与えた。 エル
ニーニョ現象に伴い、太平洋熱帯地域の気 圧配置も通常と異なり、タヒチとオーストラリアのダーウィンの気圧差
がエルニーニョ現象の時は負の値になる。この気圧差の変動を『南方振動(Southern Oscillation)』といい、変
動の周期が、エルニーニョ現象の起きる時期と一致している。 海洋現象のエルニーニョ現象と大気現象の南方
振動を合わせてエンソ(El Ni撲Southern Oscillationの頭文字 ENSO)と呼んでいる。
 
■ ラニーニャ現象
今回の長雨の原因の一つといわれるラニーニャ現象は、エルニーニョ現象と反対の現象で ある。南米のペルー
とエクアドルの沿岸から東太平洋赤道域にかけて、月平均海面水温が平年より0.5度C以上も低くなる現象を
ラ・ニーニャ(la nina/スペイン語で小さな女の 子)という。 東寄りの貿易風が弱いとエルニーニョ現象になり、
強いとラニーニャ現象に なる。
 
エルニーニョ現象とラニーニャ現象はシーソーのようなものだと考えられ、2年から7年く らいの周期で移行してい
る。 1988年春にエルニーニョ現象が終息した後にラニーニャ現象 に移り、中国で熱波や干ばつが起き、バングラ
デッシュでは大洪水が起きた。 ラニーニャ 現象は、エルニーニョ現象に比べて知られていないが、アメリカ経済全
体から見ると、ラニーニャ現象による経済的損失の方が、エルニーニョ現象による経済的損失より大きいという報
告がある。
 
ラニーニャ現象が起こると、北半球の冬と春の天候に影響が出やすい。 ハワイではラニーニャ現象になると、年の
初めに雨が降りやすい。インドネシア、マレーシア、オーストラ リア北部、太平洋西部地域、アフリカ南東部、ブラ
ジル北部も雨が多くなる傾向がある。 インド北西部では、夏季にモンスーンによる雨が多くなり、ブラジル南西部、
アルゼンチン中部では、平年より乾燥しやすくなる。 日本、アラスカ南部、カナダ中西部では平年より気温が下が
り、アメリカ南東部では平年より気温が上がり乾燥しやすくなる。
 
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● ハワイは今
    * ハワイアン・テレコム  --- 今年からテレビ事業に進出
    * 「ベイ・ビュー・ゴルフパーク」 新しいオーナーに変わる
    * ホノルルなど五空港  --- 大整備計画発表
    * マストランジット計画  --- 具体的停留所案を発表
    * ミリラニ周辺に新住宅五万五千計画  --- 地元は猛反対
     * ハワイ電力会社がエタノールの使用を発表
ハワイアン・テレコム  --- 今年からテレビ事業に進出
ハワイの地上電話サービス最大手のハワイアン・テレコム社は、昨年一年間で四万三千件余の顧客を失ったと
発表した。 これは一年前の顧客数の六・三%に当る。同社では地上電話がワイヤレス・サービスに変わる数字
を向こう三年間、年平均一・ 三%と予想していたことから、この大きな減少に驚いている。
 
しかし、同社の地上電話顧客数は六・三%減少したが、DSL(デジタル・ハイスピード)の顧客は六・六%増え
た。 DSL加入者の増加で千百十万ドルの増収になったが差し引きは二千万ドルの売上げ減少となった。
 
ハワイアン・テレコム社は地上電話の加入者は減少したが、今年からテレビ事業にも進出する予定。 インターネ
ット、テレビ、電話の三業種のサービスはオーシャニ ック社に次ぐものになる。なお、ハワイアン・テレコムは前オー
ナーのベライゾン社から去年、カーライル・グループが十六億ドルで買収。 本社機能もハワイに移転 させた。 
社名もハワイにふさわしいハワイアン・テレコムと改名した。
 
* 「ベイ・ビュー・ゴルフパーク」 新しいオーナーに変わる
カネオヘのショートホール・コース「ベイ・ビュー・ゴルフ・パーク」(パー3の 十八ホール)が新しく結成されたローカル
投資家グループのKベイ有限会社に買収された。買収価格は千百万ドル。
 
同コースは一九六三年、ハワイの知名ゴルファー、ジミー・ウカウカ氏がカネオヘの宅地内百二十エーカーに設計
したショート・ホールのゴルフ場。 唯一夜間でもプ レー出来る照明設備付きのコースで地元民に親しまれてきた。
日本投資グループのパシフィック・アトラス社が一九八八年に二千三百万ドルで買収、同コースの十八 ホール公
式ゴルフ場として開発計画を申請したが、芝生に使う、農薬が近くの水域 を汚染すると地元民の強い反対を受
けた。 練習場、ミニゴルフ場等を増設し、9ホールを十八ホールのショート・ホールのゴルフ場として生まれ変わった。
パシフィック・アトラス社は収益悪化から、二〇〇三年遂に運営をあきらめ、同パークを三百四十万ドルでシドラー
・グループ(ローカル)に売却した。そしてこの度の転売となった。Kベイ社のグループ代表は、「ベイ・ビューの練習場
や、ミニ ・ゴルフ場は大改修を行わなければならない」と語っているが、大改修は一度に行 わず、部分的に改修を
始めるという。 ゴルフ場は平常通り営業を続けながら、改修 していく。当分は夜間の照明設備は経費削減のため
使用しない。
 
「週日が十六ドル、週末が二十ドルというグリーン・フィーは我々のグループには それなりに喜んでいます」と、地元
の若者ゴルファーはそれなりに満足しているが、また一方「ゴルフ場のコース全体の整備は絶対に必要です。 他の
コースがそれなりに改良されたのをみますと、ベイ・ビューは整備不足といえるでしょう」と言う人もいる。 現在、年間
六万ラウンドのゴルファーをどう引き戻すか、新会社の経営陣に期待される。
 
* ホノルルなど五空港  --- 大整備計画発表
ハワイの五空港が、五か年と十二年の二段階に分けて大改装及び増設計画案が州議 会に提出された。 DOT
(州運輸局)の空港課は、三月下旬、州議会に総額二十三 億ドルの設備投資計画を提出した。 同計画は
ホノルル国際空港とカフルイ(マウイ)空港の第一期とコナ、ヒロ、リフエ空港とホノルル国際空港の新ゲート増設
計画を第二期としている。
 
特にホノルル国際空港ではウィキウィキバスの老朽化をはじめ、施設の改善が進み、利用者に不快感を与えて
いるとして「動く歩道」の導入を中心に第一期を進める。 その他、空港内の発着便の電子掲示板の取り替えから
、搭乗口の整備、現在利用されている三十二番ゲートのエワ側に一千台収容の新駐車場ビルを新設。 広い空
港内を結ぶ「動く歩道」の導入で総額十九億ドルを見積もっている。
 
◎カフルイ空港
  チケット・カウンターの増設と、空港とウハナ・ハイウェイへのアクセスの改善に。 (総工費一億三千二百万ドル)
◎コナ空港
  ターミナルと駐車場の整備 ビデオ・モニターの導入で警備設備の近代化。 航空救助隊と消防士養成所の整備。
  チケット・カウンターから搭乗口(ゲート)へアク セスの改善。 (総工費六千八百万ドル)
◎ヒロ空港
  爆発物探査機の導入を含む警備施設の向上、洪水防止対策、貨物施設の整備、駐車場の拡張。
  (総工費四千七百 万ドル)
◎リフエ空港
  ロビー施設の改善、バゲージエリアの整備、ヘリコプター利用施設の改善。警備制度の近代化、爆発探査機の
  整備、ゲート口の増設。 (総工費四千三百万ドル)
 
二十三億ドルは利用航空会社と空港の売上げから全額が賄われる。 これから各航空会社と負担額の最終調整
に入る。 この計画に対し、ジョー・スーキ委員長(下院運輸委 員会)は、「これだけの大型予算だから、何らかの間
違いで州民の税金が使われることのないよう、それに消費者にツケが回らないようにじっくり話し合いたい」と懸念を
表明している。 それに対しリンダ・リングル州知事は、「空港等の公共施設が改善されるとその負担は消費者に回
される。 ハワイの空港は改修と増設が必要な時期にきている。 どうしてもしなければならない設備投資で消費者
にツケを回したくないという論調は空論である」と一蹴した。
 
* マストランジット計画  --- 具体的停留所案を発表
オアフ島の朝夕の交通渋滞緩和策として導入されるマストランジットの四ルートの停留所予定地が提示された。
同案はホノルル市議会に送付され、交通委員会が必要な公 聴会を開き、十二月までに最終決定する。 現段
階では四ルートの他、軽鉄道、モノレール等の機種も決定される。
 
鉄道導入案に二十年反対してきたクリッフ・フレーター氏は、今回も根強い反対運動 を続けており、停留所案が
公表された時点で改めて導入すべきでないと強調している。 「前回でもそうだが、市政府が公開した導入費は大
きな計算間違いがある。当初は導入費に十六億ドル、今回は二〇二五年までの運用費として四十七億ドルを
計上している。 とてもそのような数字では運営できない。まず市債(ボンド)の利子の加算がさ れていない。 試
算では二十二億ドルになるはずだ。どうして市当局は無責任な数字を羅列するのか理解に苦しむ。
 
それはこの種の鉄道は二十〜二十五年使用すると大規模な改修が必要だ。 そんな簡単 なことも計画のどこに
も含まれていない。 市政府は低い数字で計画に着手させ、後々 追加予算で帳尻を合わせるつもりなのだ」と、
強い口論で導入反対論を述べている。 このような反対論に対して、カチョラ市議は、「私の地元にはいくつかの
停留所が予 定されているが、最終的費用はまだ煮詰まっていない。 数字だけはちゃんと見極めて結論したい」
と慎重である。 ムフィ・ハネマン市長も賛否両論が出ていることで、「 マストランジット案に代わる計画があったら
、教えてください。 これまでの経緯で今の案がベストだという気持ちには変わりありません。ただその気持ちを変え
る計画にはまだぶつかっていないんです」と語っている。
 
* ミリラニ周辺に新住宅五万五千計画  --- 地元は猛反対
オアフ島の中央、ミリラニ、ワイピオ、ワイアワ地域に、これから二十年間に五万五千戸のコンド、タウンハウス、
一戸建て住宅の建設が計画されているが、地元民は開発過剰と猛反対している。 ミリラニ周辺に土地を持つ
開発グループのキャッスル&クック(C&C)とジェントリー開発会社の子会社・ワイアワ開発社は周辺の宅地開
発計画をホノルル市に提出した。
 
C&Cが七千五百戸、ワイアワ開発が一万七千五百戸、高層コンド、タウンハウス、 一戸建てユニットはその
後二〇二五年まで五万五千戸を開発するという。しかし、地元の二つのネイバーフッド・ボード(ミリラニ、ワイピ
オ、メレマヌ地区とミリラニ ・マウカ、ラウラニ・ヴァレー地区)は、過剰開発阻止に動き出した。
 
「カポレイ都市開発計画は、市と州の関係局が連携作戦を取り、すべてがスムーズに推進した。ミリラニ周辺の
開発には市も州も何も連携していない。 住宅バブルで売れるから、新しい宅地をミリラニに造ろうという民間業
者の金儲けが先走りしている。 ミリラニの交通、学校、公園、上下水道はこれ以上の開発を容認できる公共
整備が全 くされていない。ただ、売れるから、造るでは行政の機能を果たしていない」と、ミ リラニ周辺の開発
を禁止るモラトリウムの申請も法廷に出している。
 
* ハワイ電力会社がエタノールの使用を発表
砂糖キビの糖液から作る代替エネルギー・エタノールを、HECO(ハワイ電力会社)が石油燃料に混合すると
発表した。 エタノール混合を電力会社に義務づけた州政府は、期限の二〇〇九年までに対応するとする
HECOの発表を歓迎すると、コメントしている。
 
石油燃料に代わるエネルギーの開発を推進する州政府は、今年の四月一日からガソリンに二〇%までエタ
ノールを混合することを義務づけた。 合わせて石油を燃料とする火力発電のHECOにも二〇%のエタノール
を二〇〇九年までに混合することを義務 づけた。 HECOのメイCEO(最高経営責任者)は三月二十二日、
記者会見を開き、HECOとしての対応を発表した。
 
「代替エネルギーの模索は当社の最大目標として研究を進めている。 すでに当社の電 力のうち、八%は風
力発電等の代替エネルギーで賄っている。 今回のエタノール使用 は会社にとっても長い目でみれば経済効
果も期待できそうなのでぜひ利用したい」。 HECOは二〇〇九年までに新発電所(総工費一億三千万ドル)
を完工する予定。 メイCEOは同発電所を最初の代替エネルギー(エタノール)を使用する施設としたいと意気
込んでいる。
 
砂糖キビから抽出する糖液(モラセス)を燃料に利用出来るとしてすでにガソリン等には混入させているが、走行
距離やエンジンの動力にどの様に影響するのか、未知数が多い。 エタノールは現在まだハワイでは量産されて
おらず、オアフ・エタノール製造会社等六社がハワイでのエタノール生産準備を進めているが生産ラインが整備
する時期も公表されていない。 当面はエタノールは輸入に依存するしかない。 モラセスの代替エネルギー利用
は二十年前から伝えられていたが、ハワイの三大砂糖耕地は選択を誤って耕地閉鎖の道を取った。 残された一
部の耕地で大量のエタノール製産できる か、流通経路の整備から再スタートを切ろうとしている。
 
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