バックナンバー: 2005年 6月1日
● トップ: 下水処理の充実に乗り出すホノルル市


下水処理の充実に乗り出すホノルル市
“そのために各家庭への負担額は上がります”

● ハワイは今:
   ・ハワイアン航空 再建へ向けてGOサイン
   ・州の税収入好調 前年比で 14.6 % アップ
   ・医療界危機! 救急外科医、産婦人科医激減
   ・マカプウ・ポイントの整備近く始まる 総工費は四百七十万ドル
   ・州の最低賃金 来年1月から6ドル75セント 〇七年からは7ドル24セントに
   ・ハワイ島南部でM 5.1 の地震発生
   ・ハセコー・ホームズ社九百一戸の住宅開発を申請 エワビーチのオーシャン・ポインテの第二計画
   ・ダウンタウンに建設予定の高級コンド 発売五日で九〇%が売れる
   ・ホノルル警察が飲酒運転取り締まり強化 五月末から夏休みシーズン
● アメリカ定点観測:
      ・ロサンゼルス・ガーディナ市から
バックナンバー: 2005年 6月1日
● トップ: 下水処理の充実に乗り出すホノルル市
五月十八日のホノルル市議会に、向う十年間の下水処理費用引上げ案が緊急上程され た。現行の下水処理料金、標準家庭の月額三十三ドルが二〇一四年には八十三ドル二 十セントに引き上げられる内容になっている。 予算不足から整備が遅れている現状を指摘していたハネマン市長は、一月の市長就任 の施政方針演説で、ハリス前政権の行政ミスのため、新政権は大幅な下水処理費増額 を強いられたと、二〇一〇年までの六年間に現行料金を二倍の月額六十六ドルにまで 引き上げる方針を明らかにしたが、今回はその先の四年間、二〇一四年までに更に、 一七%の引上げを申請した。 下水行政はどんなに遅れているのか、タカムラ・ホノルル市環境サービス局長などに 直撃インタビューを試みた。同局長は下水処理の他、都市ゴミ処理、ランドフィルと 大都市ホノルルの衛生管理を一手に担当している。二〇〇五〜六会計年度予算として 同局は下水処理に六千七百万ドル、ゴミ処理に一億二千三百万ドルと合わせて一億九 千万ドルを計上している。 予算案は現在、ホノルル市議会で審議中で、六月上旬には審議を終えるが、生活に関 わる同予算は計上通り承認される予定である。同局は更に土木建設予算(CIP)と して約二億五千万ドルを別途下水管整備費として同年度に要求している。
 
ホノルル市郡政府が下水行政に危機感を感じ始めたのは一九七〇年代後半である。立 州後、ホノルルの人口は急上昇していった。人口増加は都市化が進むことを意味し、 上下水道の整備が主要課題として市郡政府に重くのしかかっていた。 ゴミ処理に新技術導入が検討されたのは一九七〇年代の後半で、実際に導入されたの は十年以上経った一九九〇年だった。一方下水処理も多様に亘る業務が審議された。 すでに敷設された配管の維持、また急増するホテル、コンドミニアム、レストランに 対し、新たな配管の増設が急がれた。 立州前のオアフ島の民家のほとんどはセスプール(汲取り式)が主流であった。そこ で都市部から新宅地開発に対し下水設備の義務付けを強要したが、すべては後手後手 となった。上水道と下水道は水道局と廃水業務に分離され、水道局は独立採算性で、 統括計画は何度か浮上したが、実際に統括されることはなかった。上水道は早く整備 されたが、下水道の整備は遅々として進まなかった。 理由は簡単である。上下水道は全て無料だったのである。商業、軽工業用は業者が設 備投資して整備するか、低い利用料を支払った。また、一般市民、アパートメントな どは利用料はゼロだった。 その後、下水行政の圧迫から市郡政府は有料化に動き出し、その結果、一九八四年、 下水処理料金が広く一般市民から徴収されるようになった。同資金は下水処理関連の 整備のみに使用するといういわゆる目的税として導入された。以後二度程、料金が引 き上げられ、現在は一家四人の平均的家庭で月額三十三ドルの利用税が徴収されてい る。
 
下水基金の行政ミス
下水行政のミスは二〇〇一年に起った。ホノルル市のジェラミー・ハリス市長が最後 の任期に再選されたばかりの時である。そんな時にハリス当時市長は大きな読み違い をした。最後の任期に楽々と当選した市長は次は州知事と照準を二年後の知事選に合 わせていた。当時の政界を誰が分析しても、カエタノ知事の後釜の最有力候補はハリ ス市長だと疑わなかった。それまで歴代の民主党知事交代は、副知事がそのまま州知 事選で例外なく選出されてきた。とすれば、メイジー・ヒロノ副知事の知事昇格は当 然予想されてきた。ところが、民主党にはハリス市長が知事候補として台頭し、政界 もホノルル市民も大多数が市長の知事選出馬を疑わず、声援を送った。 ハリス市長のその時の支持率は異常なくらい高かった。市長当選を決めて翌年三月に は州知事選出馬を公の場で平然と口にした。市長選に当選したばかりの時である。最 後とは言え四年の任期に就任したばかりである。市長職に専念することが公選職の義 務である。それなのに市長職が半期終る二年後の州知事選に標準を合わせたのである。 そんな市長にホノルル市民は寛大であった。そんな流れは行政にも現われた。ホノル ル市の歳入源は不動産税がメインであるが、財政は苦しかった。不動産税を上げて補 う不足分を、目的税基金に手をつけたのである。
 
ある局長は、「はっきりした額は定かではないが、少なくとも一億七千万ドルを下水 基金から一般会計に流用したはずです。下水基金は枯渇状態になったのです」と証言 する。その他、ハイウエイ基金も流用したはずだと言う。これ等の基金の流用権は市 長が持っている。市長はその資金をワイキキの美化に使い、人気かせぎの〈ビジョン ・チーム〉に使った。いずれも市民には改善された結果がよくわかる分野に資金を流 用したのだ。とにかく票につながるプロジェクトには大判振るまいをしたハリス市長 だった。次の州知事選に有力とされていたメイジー・ヒロノ副州知事がその辺の情勢 に合わせて、〈知事選出馬断念〉を早々と決断し、ハリス市長に道を譲り、自らも知 事選出馬で空席となるホノルル市長選出馬を表明した。
 
二〇〇二年五月の民主党ハワイ大会の席上で、ハリス市長の〈知事選出馬断念〉の発 表が出席者を驚かせたのは記憶に新しい。民主党大会前に一体何が起きたのかは未だ にベールに包まれたままだ。しかし、その後州選挙委員会がハリス陣営の政治献金疑 惑の捜査に着手。次々と後援者を逮捕、起訴していった。その後、州知事選に逆戻り したヒロノ副知事がリンダ・リングル氏に敗れ、共和党が四十年振りに政権を奪回し た。ハリス市長の下水基金流用は、それ以後一向に進まない下水施設整備の理由とし て取り上げられてきた。つまり市民の生活水準の基礎的公共サービスである下水整備 の遅れは今年になって特に顕著になった。新市長の誕生による政府内情報の公示。異 常な集中豪雨の頻度などで下水管の破損が続出した。ミリック・タカムラ環境サービ ス局長は、「市の下水基金が枯渇状態だったのには驚きました。ゼロです。ゼロ!」 と就任したばかりの頃に唖然としていた。ハリス前政権は自分の政治的や棒のため、 下水行政を犠牲にして均衡予算を偽造してきたのである。
 
二〇〇五〜六会計年度の下水処理部の予算要求額
二〇〇五年七月一日から二〇〇六年六月三十日の会計年度の下水処理化の計上予算は 別表の通りである。環境サービス局はゴミ処理をするゴミ収集・処理課と下水処理課 に二分される。ゴミ収集・処理部はHパワー焼却炉とランドフィル(ゴミ埋立地)を 管理している。Hパワーは年間約六千五百万ドルを収集費と売電で歳入に貢献してい る。人件費が千九百万ドル弱を要求している。四百十五人が同部に雇用されている。 ゴミ処理部は一億二千二百七十万ドルを要求している。
 
一方、下水処理部は総務課を抱えている。六百万ドル余りで三十五人が勤務。 環境課はゴミ、下水が環境に与える影響をモニター、研究している。九十三人が所属、 人件費は六百万ドル弱、ポンプ・ステーション、処理場には三百九十八人が従事して いる。人件費として千五百二十五万ドルが計上されている。環境サービス局としては 千百三十人が雇用、年間人件費は四千六百二十万ドル弱である。前年度比で一〇%増 である。なお、この予算は経常経費だけである。同局にはCIP(土木建設予算)と して約二億五千万ドルが計上されている。このCIPも当然、下水処理基金から賄わ れるが、全貌は把握し難い。
 
下水処理部の不思議
下水処理は環境汚染を監視するEPA(連邦環境保護庁)の下で安全に運営されるよ うになっている。地方自治体が市民の安全を確約出来る基準内で稼動しているかどう かをEPAが監視する。規制に従わない場合には当然の罰金措置もEPAは課すこと ができる。ここでは特に下水処理行政だけを取り上げる。ゴミ処理はランドフィル処 理がある以上、市民の目にも鼻にもつく。下水の場合、大雨の時の送水管の逆流、道 路破損による下水管の破裂、放流された下水の海面浮上、下水処理場の事故による悪 臭、未処理下水の放流といろいろあるが、いずれも何らかの予想外事故によるものが 多い。「私が市長に就任して三か月以内にホノルル市では十三回も下水管破損が報告 されたのには驚いた」とハネマン市長は下水管事故の多発に事態の重大さを実感した。 カイルア、カネオヘではちょっと集中豪雨があるとトイレが逆流するそうだ。EPA からは最後通告まで言い渡され、連邦法廷からもEPAに対応しない場合は最悪の事 態を招くかも知れないことが示唆された。一九九七年には罰金を言い渡されたことも ある。
 
勤続二十年というヨール・ウング下水処理部部長補佐は次のように説明する。 「下水処理の行政は難しいのです。処理場の整備から配管の維持、更にはセスプール 家庭の指導と全く終わりがないのです。EPAの罰金ですか?、確かに何もしなけれ ば罰金措置を高じる、といわれています。でも支払ったことはありません。我々はE PA指導通り動いていますので、その努力を認めているから罰金措置に処せられない のです」
 
ホノルル市の下水処理場は八か所
ホノルル市の人口は最近の調査で九十万人を超えた。その中には軍人とその家族が含 まれているので多少の変動はある。更に観光客は一日平均一万七千人がなんらかの形 で生活している。ホノルル市の下水処理部は全オアフを行政区として監督しているが、 米軍基地の一部、及びハワイカイは民営、カハルウからノースショア、ハレイワ、ワ イアルアには下水管は敷設されていない。昔ながらのセスプール方式で糞尿、生活下 水を掘った穴に放流している。下水設備は全島の八割と下水処理部では言うが、もっ と低いパーセントではないかとタカムラ局長は語る。 「就任してまだ充分な時間が経っていないので勉強不足と言われるかも知れませんが、 本当のところ、オアフ島にセスプールがいくつあるのか見当がつきません。そう言う 地域にも早く下水設備を完備させたいです」
 
これらの地域は広大な地域で人口密度も低いことから敷設コストは割高になる。現時 点での整備計画はない。(ある調査ではハワイ州のセスプール家庭は十六万戸を超え るそうだ。もちろん、全米一のセスプール最多州である。先きの四月五日の連邦政府 のセスプール整備規制は、二十人以上が利用するセスプールの改善指令で、幸いに一 戸建て住宅は除外されていた。残りの地域に八か所の処理場がある。最大規模はホノ ルル都市部の下水を処理するサンドアイランド処理場。同処理場はホノルル国際空港 手前のサンドアイランドの広大な敷地に建設された。同処理場が建設される以前はホ ノルルの下水は直径七十八インチの下水管で未処理のまま三千フィート沖合い、海面 よりわずか四十フィートの海中に放流されていた。同処理場では、六基の大型円筒タ ンクに運ばれてきた下水が入れられ、ゆるやかな沈降作用で沈殿物を分離する第一処 理後の下水を、直径七十八インチの管で、一万三千九百フィート沖合いの海中、二百 四十フィートに放流している。二百四十フィートは世界でもっとも深い海中放流だそ うだ。海洋学者の調査では二百四十フィートの深さなら放流物が海面に浮上してくる ことなく、全ては海洋生物のエサになる。また海洋の流れから、ワイキ方面に向かう ことは皆無で、流れるとすれば西方向に行くという。
 
一日に八千二百万ガロンの下水を処理できる施設だが別表にみられるように二〇〇三 年度は一日平均六千六百万ガロンしか処理していない。同処理場には東はクリオウオ ウから西はモアナルア谷までの三大ポンプ・ステーションを経てサンドアイランドに 下水を送り込んでいる。アラモアナが六十インチ、ハート街が四十八インチ、フォー ト・シェフターが二十四インチの下水管で昼夜、休むことなく下水を送り込んでいる。 次に大きな施設はホノウリウリ処理場でバーバース・ポイントにある。処理方法はサ ンドアイランドと同じ、二段階の固物分離方式で下水を処理し、クラリファイヤーと 言う大型タンクで沈降作用で沈殿物を底にためる。固体物の少なくなった第一処理済 みの下水を沖の海中に放流する。一日約二千六百六十万ガロンが海中に放流されてい る。ワイアナエ・コーストにあるワイアナエ下水処理場には、第二、第三処理設備が 稼動している唯一の処理場。第三処理された下水は更に工業用と農業用の二種類に分 けられ、リサイクルされている。同施設の第三処理設備には最新の紫外線殺菌様式が 導入されている。しかし同処理場も海中に放流されている下水は第一処理済み下水で ある。EPAは海に放流する下水は少なくとも第二処理済みの下水のみと規定してい る。海洋汚染としてシェラ・クラブが提訴しているのも第二処理の下水を放流してい るからだが、ウング課長補佐は、「ハワイの下水は米本土の下水と根本的に異なるの です。米本土の下水処理場はメーカーや大工場の工業廃水が多いのです。これらの廃 水には多様の有害物質が含まれています。EPAの第二処理規制はこれらの工業用廃 水の処理を命じたものなのです。ハワイの場合、ほとんどが生活用廃水なのです。ハ ワイにも工業廃水はありますが、統べて別途に処理させています。普通の下水には工 業廃水が入っていないのがハワイの特徴なのです」と説明する。
 
EPAがホノルルの下水処理に無理難題を強要しないのはその辺に理由があると言う。 その他、カイルア下水処理場は海に放流しているが、残りの四か所は違う。カフク、 パアラア・カイ、ワイマナロの三か所は地中に放流。ワイアワはウイルソン湖に放流 している。去年、ウイルソン湖に異常繁殖した水草は、処理場から放流した下水によ ると言うことで、ウイルソン湖の水草の実態のモニターを始めている。ホノルル市は サンドアイランド処理場の大改装を計画している。第一期改装工事費として三億ドル を投じると言う。クラリファヤー・タンクの増設と諸設備の向上。そして下水処理の 殺菌作用をする紫外線ランプ(UV)を導入する。ところが、一日六千六百万ガロン の下水を第一処理した段階でのUVランプ利用は効力がない、と日本の技術者は言う。 「三億ドル?もったいないですね。塩素を利用した旧式殺菌法の方が数倍も効果があ り、安上がりです」と勧告している。下水処理の他に下水管の整備と、全く別問題も 抱えている。共通しているのはどちらも金がかかり、終わりがないことである。タカ ムラ局長は、「下水管の整備、維持もどこまでやったらよいのか見当がつきません。 下水処理も同様でどの技術を導入したらもっとも効果的なのか、現時点では分かりま せん。でもUVランプの導入を進めているのは全米最高と言われる下水コンサルタン ト会社です。日本の方の意見を否定する訳ではありませんが、今はやはり信頼憑性か ら言っても米国の会社でしょう。ここは米国ですからね」と笑いながらUVランプ導 入計画を弁護した。三億ドルは設備改装、拡張とUVランプを含む予算だそうだ。
 
エリック・タカムラ局長との一問一答
――局長になられて五か月ですが、入局前といまでは違いますか。
局長――下水処理だけでなく、ゴミ問題も含んでホノルルはいま過渡期にあると思い ます。いろんな新技術が台頭して目移りがするのも事実です。特に下水処理の場合は 基金の他目的流用が全てを狂わした原因ですから……。市民から集めた利用税をどう 利用するかは重大なことだと思います。流用で一番不自由を経験しているのは市長で すから。今の市長は下水基金を一般会計に流用するようなことはないと確信していま す。私の仕事はその資金をどう有意義に使うかを局全体で考えて行くべきだと思いま す。就任して実態は思っていた以上にひどいと痛感しています。
 
――下水処理費が引き上げられますが、どこまで引き上げるつもりですか。
局長――そうですね。基金はいくらあっても足りないでしょう。下水管の整備と維持 はこれからも終わりなしに続きます。今日、設備したらそれで終わりと言う訳にはい きません。十五年から二十五年後には維持費を容易しなければなりません。それにオ アフ島全島の下水管配備は不可能ですが少しずつ整備してくことが大切です。処理場 の整備も今はEPAなどから大目に見てもらっていますが、これから先、どんな厳し い規制が施行されるか分かりません。いまの処理場は全く使えませんと言う時がある かも知れません。 ホノルル市民はゴミや水道などで無料でサービスを受けることが 普通になっていますが、人口が増え、生活様式が変わって行きますので、特に生活に 直接結びつく、上下水道、ゴミ問題には進んで税金を払うという気構えが欲しいです ね。他の米本土都市に比べますとホノルルは恵まれています。 それもいつかは変わ るということを頭のどこかに置いて欲しいですね。いますでに下水処理費を八十ドル から九十ドル払っている都市はかなりあります。 ホノルルは十年先に八十ドルにし ましょうというのですから理解して欲しいですね。
 
――市民も下水処理に使われるなら払っても良いという市民が多いと思います。問題 は市長が守れますかでしょう。
局長――ハネマン市長は大丈夫です。守ってくれます。ハネマン市長が市長としてや らなければいけないことは、前政権のミスガイドを早く是正することです。それにゴ ミと下水道は、新技術導入の過渡期にきています。彼の任期以内に出来なかったら市 長失格と言われるでしょう。歴史に残る市長となるチャンスがいま到来しています。 市長もチャンスの方が大きいと言っていますから、失速するようなことはないでしょ う。私も勿論後押しします。
 
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● ハワイは今:
   ・ハワイアン航空 再建へ向けてGOサイン
   ・州の税収入好調 前年比で 14.6 % アップ
   ・医療界危機! 救急外科医、産婦人科医激減
   ・マカプウ・ポイントの整備近く始まる 総工費は四百七十万ドル
   ・州の最低賃金 来年1月から6ドル75セント 〇七年からは7ドル24セントに
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   ・ダウンタウンに建設予定の高級コンド 発売五日で九〇%が売れる
   ・ホノルル警察が飲酒運転取り締まり強化 五月末から夏休みシーズン
・ハワイアン航空 再建へ向けてGOサイン
二〇〇三年三月に倒産し、会社更生法(チャプター・イレブン)を申請したハワイの 最大手ハワイアン航空会社(HA)が、再建策にそった運営計画に向けて五月下旬か ら動き出すことになった。この再建はRCアビエション社の資金導入により進められ る。連邦破産法廷はHAの六組合の労使契約成立が出来てからと、再建策承認を再三 に亘り延期してきた。特にパイロット組合は退職金の会社側積み立て負担額と昇給案 の協議で決裂をくり返してきた。労使双方はそれでも契約交渉を継続し、四月二十八 日やっと妥結し仮契約に署名した。組合は五月十日までに仮契約の批准投票が行われ、 承認されれば五月下旬には会社更生法の適用からはずされる。なお、アロハ航空も会 社更生法の適用を申請中である。
 
・州の税収入好調 前年比で 14.6 % アップ
四月のハワイ州の税収入は三億二千三百万ドルで、前年同月比一四・六%増加したと、 州税務局が発表した。去年七月から今年四月までの今会計年度十か月の累計は、三十 二億ドルを越えた。四月の税収入の内訳は最も多いGE(消費税)が同比で一〇%伸 びたのをはじめ、TAT(ルーム税)も七・九%増。個人所得税は一五・八%増と最 も大きい伸び率だった。州歳入委員の予想では八・八%の増収だったが、リングル州 知事は税収入を一五%増と予想していた。十か月過ぎた現在、税収入の状況は前年度 比で一四・六%増と州知事予想の方が委員会よりも的中している。三十二億ドルを越 えて十か月の税収入は残り二か月で三十八億ドルと、記録を更新しそうだ。委員会は 今後の予想として、短期的にはまだ強いが、来年以降はやや弱含みで推移するとして いる。なお、去年までは多くの企業に与えられていた免税措置が今会計年度からなく なったことで、税収入が大幅に増えたように見えるだけという関係者もいる。来年か らも他の免税措置も期限切れになることから税収入は更に増えると、予想されている。
 
・医療界危機! 救急外科医、産婦人科医激減
医療コスト高が続く現象に政府の介入によるコスト・ダウンが模索される中で、医者 不足が深刻な事態に陥っていると、ホノルル・アドバタイザー紙が伝えている。 交通事故等で必要な整形外科医(救急外科医)と、赤ちゃんが生まれる手伝いをする 産婦人科医が極端に減少し、モロカイ島では産婦人科医はゼロの状態になっていると いう。このような状況が続けば、突然の天災で負傷者が大量に出た時は大混乱が予想 され、救急外科医不足による不要な死者が続出することになると、アラン・アラカワ ・マウイ郡長は医者不足の現状に危機感を表わしている。
原因は、医療ミスが起きた時の医者がかける保険の掛け金の急騰。産婦人科医(お産 専門医)でこの二年間で五三%上がり、年額は六万二千五百ドルとなった。事故で負 傷した被害者の手術をする整形外科医の治療ミスに対する保険の掛金はこの二年間に 四五%上がり、五万九千ドルとなった。これらの掛金は個人開業医には大きな負担と なっている。といって治療費に上乗せすることは競争の激化でままならず、それなら 医院を閉めるしかないと中高年以上の医者は廃業し、若い医者は米本土に移住し、今 では産婦人科医は百四十六人しかいない。整形外科医の場合は、救急患者を二十四時 間引き受けているクイーン病院でも週の半ばは救急外科医は配置していないと言う。 特に他島の現状はひどくハワイ島のカイルア・コナ、モロカイ、ラナイ等にはゼロ状 態が続いている。これまでも救急治療のたび、ホノルルに搬送された患者は少なくな い。そのほとんどが治療遅れにより苦しんだ人が多い。救急患者がホノルルの病院に 搬送されるには少なくとも、三〜四時間の治療の遅れが出る。
「患者(負傷者)の治療は時間とも闘っています。遠距離の上に事故後数時間もかか って搬入されて起きた別症状を私らの責任にされては困ります。そんなことで訴えら れるのなら初めから患者を受けない方がよい」と、救急外科医は訴える。残っている 医師でも五〇%が年内に閉鎖すると答えている。更に個人開業医で治療した患者の治 療費のほとんどはグループ医療保険やメディケア、クエスト等からも払われるが、こ れらのグループもコスト・ダウンを強いられ、治療医に払われる治療費は年々少なく なり、手取りは減るばかりと言う。「医療業界全体の見直しをしないと部分的な手直 しでは業界全体を救出することは出来ない状況にきた」と、より多くの政府介入をア ラカワ郡長は強調している。
 
・マカプウ・ポイントの整備近く始まる 総工費は四百七十万ドル
オアフ島の最東端、マカプウ・ポイントの整備工事計画が五月十一日、ホノルル市議 会を通過した。ハイキング・ルート、灯台付近の展望台などの工費は四百七十万ドル。 同地区は表海岸のクイーンズ・ビーチから裏オアフのマカプウ・ビーチ・パークを見 下ろせる自然景勝地として利用されてきた。カラニアナオレ・ハイウェー沿いにある 同地区にホテル建設案が浮上し、ハワイアン・グループから猛反対されたこともある。 ハワイアン・グループから所有権を州政府に移すことで、公園として整備されること になった。一九九六年に、公園整備計画がホノルル市に申請されたが、観光バス、ヴァ ン、一般乗用車が利用できる整備された駐車場や歩道がないまま利用されてきた。 州公園局の整備計画ではマカプウ灯台方面に一か所、展望台方面に一か所と駐車場が 整備される。一か所八台分の駐車場は利用者の安全のためにカラニアナオレ・ハイウ ェーから少し入った内陸部に造られる。展望台も従来より見晴しの良い高台に二か所 整備され、景勝美を害していた古い五本の電柱も撤去される。この付近の海岸線の美 しさは新しい名勝地としてスポットを浴びるだろうと、同公園愛好者は満足している。
 
・州の最低賃金 来年1月から6ドル75セント 〇七年からは7ドル24セントに
ハワイ州の最低賃金が来年一月一日から五十セント上がり、時給六ドル七十五セント になり、〇七年一月からは七ドル二十四セントになる。最低賃金引き上げ案は州知事 事務所に送付されている。州知事の拒否権行使は予想されない。例え州知事が署名に 拒否しても同法案は七月十二日に成立する。もし賃上げが認められればハワイ州は全 米十位から七位に上がる。中小事業が九〇%以上といわれるハワイの経済体制は低賃 金就労者が多い。全就労者の六%は最低賃金で働いていて、そのうち、四五%はレス トラン業界に従事している。
労働界全体に与える影響は小さいと思われるが、外食産業のほとんどの会社がメニュ ーの値上げを考えている。「競争が激しい外食産業の多くは従業員数人で賄っていて、 しかもギリギリの運営を続けている。五十セントから一ドルの賃上げはメニューに二 十五〜五十セントの値上げとして反映されるでしょう。価格据え置きの事業主は考え られませんネ」と、従業員八人のステーキ・レストラン店主は語る。
 
・ハワイ島南部でM 5.1 の地震発生
去る五月十四日、ハワイ島南部でマグニチュード五・一の強い地震が襲った。過去六 年間で最も強い地震と火山・地震観測所では説明しているが被害は報告されていない。 今回の地震の震源地はハワイ島最南端の町、ナアレフより南東二十七マイルのロイヒ 海底火山の地下二十五マイルとされている。二〇〇〇年一月からマグニチュード五以 上の地震は三度あるが、今回の地震が最も強かったと観測所では説明している。心配 される火山活動について、「マウナロアはいつ爆発してもおかしくない様な動きは続 いている」と警告している。
 
・ハセコー・ホームズ社九百一戸の住宅開発を申請 エワビーチのオーシャン・ポインテの第二計画
ハセコーUSA社の子会社であるハセコー・ホームズ社が、すでに着手しているエワ ・ビーチの宅地総合計画「オーシャン・ポインテ」の第二段階計画案をホノルル市郡 政府に提出した。四千八百五十戸の住宅を含む、ゴルフ場、人工海岸、商業地区、公 園を開発する「オーシャン・ポインテ」計画は、一九九八年に着手。これまで千五百 戸の住宅、タウンハウスを開発中で、現在までに約六百戸が売却済、三百戸は建設中 だ。この度申請した第二計画は九百一戸の一戸立て住宅とタウンハウスを建設する。 百四十三エーカーはバーバス・ポイント・ゴルフ場の南エセックス・ロードに面する。 リチャード・ダン副社長は、「最近の不動産市場は活気に溢れている。この好調市場 が続行すると云う強い確信から第二計画を申請した」と語る。着工は二〇〇七年の予 定。隣接するゴルフ場の開発工事もほとんど同時に行われるとみられる。
 
・ダウンタウンに建設予定の高級コンド 発売五日で九〇%が売れる
ホノルルの、ダウンタウンの中心に建設される三十九階建ての高層コンドミニアム (三百九十四ユニット)は、五月七日に売りに出され、初日に五〇%以上、四日間で 三百五十万ユニットが売却された。同計画はベレタニア街とクイーン・エマ街に面す る市営駐車場を、自動車ディーラーのフルーガー・グループが千五十万ドルで買収し た一角に開発され、一階にはホンダの新車展示場がメイン・テナントとなる。ペット 犬の為の広場、プール、ジャクジー、遊び場、音楽室、ジムなどが設営される。駐車 場もテナント用の他に百五十台分は一般市民に貸し出される。
発売初日だけで四百人余りが応募し、五日間で三百五十人が契約に署名した。コンド は一ベッド・ユニットが三十四万五千ドルから四十五万ドル、二ベッド・ユニットが 四十三万ドルから八十万ドル、三ベッド・ユニットは六十七万五千ドルから百十万ド ル。平均価格は六十六万ドル。同開発にはフルーガーの他、マクノートン・グループ とコバヤシ・グループが共同開発者として加わっている。「一ベッド・ユニットは初 め二十万ドルくらいからと思っていた。不動産業界が好調なことから、七五%アップ の三十四万ドルから売りに出したら飛ぶように売れていったから驚きましたネ最初は 三段階くらいに分割セールを予定していたが、初日の殺到で急遽、予定を変更して全 ユニットの一斉販売に切り変えました。完売は時間の問題です」とコバヤシ・グルー プの関係者談。総工費は公表されていないが三百九十四ユニットを完売した時には二 億六千万ドルを超える。
 
・ホノルル警察が飲酒運転取り締まり強化 五月末から夏休みシーズン
ホノルル警察は、この卒業式シーズンから夏休みにかけて飲酒運転取締を強化すると 発表した。今年一月から四月の間に、すでに千百九十四人が飲酒運転で検挙されてお り、これは昨年の同時期に比べ九百五十五人の増加。昨年は過去五年間で最高の三千 九百人が摘発されているが、このままのペースでは、さらに最高記録を更新すると、 憂慮されている。検問は五月二十日から始まっており、場所や時刻は一切知らされて いない。
 
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● アメリカ定点観測:ロサンゼルス・ガーディナ市から
久しぶりにベトナムを訪れた。一九六〇年代後半に二年半ほど特派員として滞在し、 その後も取材やプライベートな理由で頻繁に足を運んだが、最後はサイゴン陥落直前 の七五年三月で、それからは足が遠のいていた。  ホーチミン市と改名したものの、 航空会社の行き先コード表示は依然として変わっていないサイゴンを拠点にして古都 フエからメコンデルタまでの南部各地を三週間旅行したが、二十八年ぶりのベトナム は、当然ながら色々な面で変わっていたが、到着早々気が付いたのは、ベトナム人の 英語のアクセントが、四半世紀以上前にはフランス語なまりが多かったが、現在では はっきりとアメリカ化していることだった。ベトナム戦争で撤退を余儀なくされたア メリカだが、ベトナムでの外国語文化では〈アメリカ語〉が支配しており、この面で は〈アメリカの勝利〉といえそうだ。もはやさびついたベトナム語では意志疎通がで きないため、専ら英語に頼った今回の旅だったが、観光に力を入れているためか、共 産主義政権下でも英語を学ぶ人が多いことから、外国人と接触する人々相手では、な んとか英語で用が足りた。そして、これらのベトナム人の話す英語は、つたなくても 〈アメリカなまり〉がはっきりと聞き取れるもので、ベトナム戦争時代に日常的に耳 にしていた〈フランス語なまりの英語〉はまったく姿を消していたのが意外だった。
 
〈フランス語なまりの英語〉とは、たとえば「HONEST(正直)」と「ホネスト」 と発音する類いだ。フランス語のつづりでは通常Hは発音しないので、英語ならば逆 にHは必ず発音するのだという思い込みがあったようだ。フランス語に次いで英語を 学んだというベトナム人教師が多かったことが、フランス語なまりの英語の普及に一 役買ったこともある。ベトナムはフランスの植民地だったことから、ベトナム人にと ってはフランス語は〈第一外国語〉は旧宗主国の言葉だっただけでなく、それを会得 することは〈出世の近道〉であり、また教養人として欠かせないものだった。 たと えば、フランスのベトナム撤退の引き金となったディエンビエンフーの戦い(一九五 四年)で名将としての地位を確立したボー・グエン・ザップ将軍は、要人や外国報道 陣の取材などの外国人との応対では、通訳がいるにもかかわらず、フランス語で応じ ることが多かった。本来は敵国であり、植民者の国の言葉を話すことは屈辱であった はずだが、教養人としての誇りからか、終生フランス語にこだわっていた。その敵対 者であったグエン・バン・チュー南ベトナム大統領(サイゴン政権)も、フランス語 が第一外国語で、英語はフランス語なまり丸出しのものだった。そんなベトナム人が、 いわば第二外国語として習得した英語には、フランス語なまりが色濃く出ていたのは 当然だった。
 
しかし現在では、そんなフランス語なまりの英語が姿を消しているのは、やはり時代 の流れなのだろう。フランスの植民地時代ははるか過去のこととなり、その歴史的評 価は別として、六〇年代から七〇年代にかけてのアメリカ軍介入時代に、必要に迫ら れて〈アメリカ語〉を身につけたベトナム人が現在の英語普及の基盤だとすれば、 〈アメリカなまりの英語〉が共産主義国家ベトナムの必修外国語となっているのは当 然だろう。フエの旧王宮内を歩いていたら、ベトナム人ガイドに率いられた何組かの 外国人グループに出会った。日本人、ドイツ人、オーストラリア人などさまざまだっ たが、何組かのフランス人観光客がいたのは、過去の両国の関係からすれば当然だろ う。しかし、ちょっと耳にはさんだガイドたちのフランス語は、六〇年代にベトナム 人が当たり前のようにしゃべっていたりゅうちょうなものとは程遠い、いかにも外国 人が話すフランス語だったのは、最近のベトナムでの外国語習得の優先順位を物語っ ているようだった。 サイゴンへの行き帰りには台湾の航空会社、ベトナム国内での 遠出にはベトナム航空を利用したが、女性の客室搭乗員あるいはパイロットによる客 室への英語のアナウンスは、いずれも〈国籍不明のアメリカ訛りの英語〉だった。や や聞き取りにくい英語だったものの、国際共通語としてのアメリカ英語が体制を超え て普及していることを示していた。
 
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バックナンバー: 2005年 6月1日